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エンディング 幸せを配りに
第20話 幸せを配りに
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次の日、リューと母さんは魔法の研究を始めた。
「クリーン、最高のギフトだけど、魔力を使うのね。制限回数と一度にできる範囲が狭くて思ったほどじゃなかった。でも一気に終えようと思わなかったらいいのよ!」
リューの魔法は、母さんが大喜びで絶賛した。
「食材を凍らせることができる! 保存がかなり楽になるわ。リュー、このスライムは冷やす。こっちのスライムは凍らせてみて」
冷えたスライムのシロップがけは、冷たくてそのままのスライムよりおいしかった。凍らせたスライムは、シャリシャリとした食感になって、全く違う料理だよ!」
「シャーベットになったわね。舌触りが最高!」
「リューこれ好き!」
「リューのおかげね」
「やったあ」
ルナは元の姿に戻っている。自由に姿を変えられるけど、女の子の姿は嫌みたいだ。
僕たちは、幸せな時間を魔女の家で過ごした。
◇
一週間後、これからのことを話し合った。
「ルゥのギフトは、他の街に行かないと発揮しないみたいね」
「うん」
僕は、何度も魔物を倒しに行ったけれど、クリームシチューのルゥを取ることができなかった。
「リューのことを考えると、ここで平和に暮らすのもいいわね」
ギフトのクリームシチューは気になる。でも、家族のためにはあきらめた方がいいのかもしれない。
「ルーはどう思う? 本当の気持ちを教えて?」
僕は……。
「僕はリューを。家族を守りたい。だけど……僕のギフトをもっと知りたい。このカレールゥも、新しいクリームシチューも、もっと可能性があると思うんだ」
母さんもリューもルナも、静かに聞いてくれている。
「僕は考えているんだ。あの歌に『VER』がついているわけを。幸せを配る意味を」
この街で母さんのやってきたことを思いながら続ける。
「スライムのお肉で、この街の人が健康になったよね。お腹いっぱい食べられるようになったよね」
母さんが頷く。
「冒険者も、解体所のみんなも、従獣使いの人たちも、役に立つって伝わったよね」
ルナが頷く。
「母さんが料理教室を開いたから、おいしい料理が広まったよね」
リューが「おいしいご飯、いっぱいできたの」と言った。
「僕たちは、いつの間にか街の人たちに幸せを配っていたんだ。だから、僕たちも幸せなのかもしれない」
みんなが笑顔で頷いてくれた。
「モンド家のギフトは、たくさんの人に、幸せを配るためにあるのだと思ったんだ。だから」
みんなを見て、僕の考えた思いをぶつけた。
「まだ幸せになっていない人たちに、幸せを配るのが僕の役目だと思ったんだ。だから、次の街に行くことが、クリームシチューを入手できる条件になっているんじゃないかな」
みんな、何かを考えている。シーンと静まり返った部屋の中で、リューが声を上げた。
「ルー兄さまのシチューが食べてみたい。甘くてトロトロのシチューっておいしいんでしょう」
にこにことリューが言うと、母さんが「そうね。私のお母さんも旅に出ろって言っていたわ。せっかくの人生、後悔しちゃだめよ、ルー」と肯定してくれた。
僕たちは、『幸せを配る旅』をすることに決めた。
◇
翌日、街の人にお別れを言いに行った。「魔女様も行ってしまったが、ママ魔女様も行ってしまうのか」と残念がられた。
母さんは、「ママは浅海さんの方なのに」とよく分からないことを言っていたが、街の人からはたくさんの感謝の言葉を貰った。
解体所のみんなは、僕と別れることを惜しんでくれた。所長は「餞別《せんべつ》だ。戻ってきたらまた教えてやる」と、愛用の解体用ナイフを僕にくれた。
銀杯の祝宴の三人は、長期の遠征で出会えなかった。ギルド長にお別れの挨拶をした後、三人に渡す手紙を預かってもらった。
旅立つ最後の夜、僕たちはこの家と姿を見せない猫にお別れをするため、お別れのパーティーを開いた。いろんな料理を大皿に盛って、猫さんがこっそり食べてもいいように並べた。
みんなで食べていたら、猫さんの声がした。
「残念だ。お前たちも出ていくのか」
さびしそうに猫さんが話す。
「猫さん、いつも来ている三人が、管理人に決まったんだ」
「あやつらか。まあよい」
「僕たち、かならず帰ってくるから」
猫さんは「待っておるぞ」と一言だけ言うと、もう声をかけてこなかった。
翌日、僕たちは次の街へ向かった。
まだ見ぬ人たちに、笑顔と幸せを配るために。
(カレールゥ編 完)
※おまけで、あと1話あります。お楽しみに。
「クリーン、最高のギフトだけど、魔力を使うのね。制限回数と一度にできる範囲が狭くて思ったほどじゃなかった。でも一気に終えようと思わなかったらいいのよ!」
リューの魔法は、母さんが大喜びで絶賛した。
「食材を凍らせることができる! 保存がかなり楽になるわ。リュー、このスライムは冷やす。こっちのスライムは凍らせてみて」
冷えたスライムのシロップがけは、冷たくてそのままのスライムよりおいしかった。凍らせたスライムは、シャリシャリとした食感になって、全く違う料理だよ!」
「シャーベットになったわね。舌触りが最高!」
「リューこれ好き!」
「リューのおかげね」
「やったあ」
ルナは元の姿に戻っている。自由に姿を変えられるけど、女の子の姿は嫌みたいだ。
僕たちは、幸せな時間を魔女の家で過ごした。
◇
一週間後、これからのことを話し合った。
「ルゥのギフトは、他の街に行かないと発揮しないみたいね」
「うん」
僕は、何度も魔物を倒しに行ったけれど、クリームシチューのルゥを取ることができなかった。
「リューのことを考えると、ここで平和に暮らすのもいいわね」
ギフトのクリームシチューは気になる。でも、家族のためにはあきらめた方がいいのかもしれない。
「ルーはどう思う? 本当の気持ちを教えて?」
僕は……。
「僕はリューを。家族を守りたい。だけど……僕のギフトをもっと知りたい。このカレールゥも、新しいクリームシチューも、もっと可能性があると思うんだ」
母さんもリューもルナも、静かに聞いてくれている。
「僕は考えているんだ。あの歌に『VER』がついているわけを。幸せを配る意味を」
この街で母さんのやってきたことを思いながら続ける。
「スライムのお肉で、この街の人が健康になったよね。お腹いっぱい食べられるようになったよね」
母さんが頷く。
「冒険者も、解体所のみんなも、従獣使いの人たちも、役に立つって伝わったよね」
ルナが頷く。
「母さんが料理教室を開いたから、おいしい料理が広まったよね」
リューが「おいしいご飯、いっぱいできたの」と言った。
「僕たちは、いつの間にか街の人たちに幸せを配っていたんだ。だから、僕たちも幸せなのかもしれない」
みんなが笑顔で頷いてくれた。
「モンド家のギフトは、たくさんの人に、幸せを配るためにあるのだと思ったんだ。だから」
みんなを見て、僕の考えた思いをぶつけた。
「まだ幸せになっていない人たちに、幸せを配るのが僕の役目だと思ったんだ。だから、次の街に行くことが、クリームシチューを入手できる条件になっているんじゃないかな」
みんな、何かを考えている。シーンと静まり返った部屋の中で、リューが声を上げた。
「ルー兄さまのシチューが食べてみたい。甘くてトロトロのシチューっておいしいんでしょう」
にこにことリューが言うと、母さんが「そうね。私のお母さんも旅に出ろって言っていたわ。せっかくの人生、後悔しちゃだめよ、ルー」と肯定してくれた。
僕たちは、『幸せを配る旅』をすることに決めた。
◇
翌日、街の人にお別れを言いに行った。「魔女様も行ってしまったが、ママ魔女様も行ってしまうのか」と残念がられた。
母さんは、「ママは浅海さんの方なのに」とよく分からないことを言っていたが、街の人からはたくさんの感謝の言葉を貰った。
解体所のみんなは、僕と別れることを惜しんでくれた。所長は「餞別《せんべつ》だ。戻ってきたらまた教えてやる」と、愛用の解体用ナイフを僕にくれた。
銀杯の祝宴の三人は、長期の遠征で出会えなかった。ギルド長にお別れの挨拶をした後、三人に渡す手紙を預かってもらった。
旅立つ最後の夜、僕たちはこの家と姿を見せない猫にお別れをするため、お別れのパーティーを開いた。いろんな料理を大皿に盛って、猫さんがこっそり食べてもいいように並べた。
みんなで食べていたら、猫さんの声がした。
「残念だ。お前たちも出ていくのか」
さびしそうに猫さんが話す。
「猫さん、いつも来ている三人が、管理人に決まったんだ」
「あやつらか。まあよい」
「僕たち、かならず帰ってくるから」
猫さんは「待っておるぞ」と一言だけ言うと、もう声をかけてこなかった。
翌日、僕たちは次の街へ向かった。
まだ見ぬ人たちに、笑顔と幸せを配るために。
(カレールゥ編 完)
※おまけで、あと1話あります。お楽しみに。
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https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144
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