異世界来たんだから気ままに過ごしたっていいんじゃない?

華町はる

文字の大きさ
12 / 15

11話 『吸収』って素晴らしい

しおりを挟む
 ケータのステータスは、以下の通りになっていた。

----------

【ステータス】
名前:ケータ
年齢:6歳
職業:フリーター
レベル:1(表記追加)
種族:人族

攻撃:150 → 2,000
防御:130 → 500
速度:120 → 1,000
知識:150 → 200
魔力:150

【保有スキル】
魔力粘土作成:1
キャラ作成:1
イメージ力:2
共有:2
物理耐性:10(上限MAX)
吸収:1 → 2
溶解液:1 → 2
気配探知:1

【魔法】
土魔法:1
闇魔法:1
火魔法:1

【称号】
異世界転生
土弄りの天才

----------

 「おい、ケータっ!静かにしろって…森の中で大声なんて出すな。ってか突然どーしたんだ?」

 「すいませんっ。ただ、いや、なんというか……強くなってました…何ででしょうか。」

 「いや、分からん。とりあえず転生してから、今までの事とにかく話してくれ。あとステータスを見せろ。」

 俺は今まで起きた事を事細かく話して言った。
 巨大グマに襲われた事とか、その巨大グマが謎の触手に絡まれて、滝壺に沈んでいった話などは、大爆笑しながらも興味深そうに聴いてくれた。

 「……ここまでが、俺のこの世界に来てからの出来事です。あと、これがステータスです。」

 「あっははは、お前よく生きてたなっ!奇跡だ、うん、奇跡だな。」

 「何が面白いんですか?めちゃくちゃ怖かったんですからね。」

 「いやー、すまんすまん、昔の俺を思い出しちまってよ。それよりだ、大体お前が何故強くなったのか分かったぞ。ただ、こんな話聞いた事ないから、あくまでも仮説だけどな。」

 「え、今ので分かったんですか!?教えてください!」

 「まぁ、そんな焦るな。まずは、スライムの習性からだな。まず、スライムってのはE級のモンスターだ。主に持っているスキルは『吸収』『溶解液』だな。ただ、このスライムってのは不思議で、食べた物によって独自に進化していくと言われている。スキルも増えていくんだ。要は、何を『吸収』してきたかで、個体差が生まれてくるんだ。まぁただ、基本は進化できずに一生を終えるんだ。何故だか分かるか?」

 「うーん……元々が弱いからですか?」

 「7割方正解だな。基本的には進化する前に、他のモンスター達や、冒険者、ハンター達に狩られる。そして、もう一つの要因としては、そもそもスライムには意思がない。だから強くなりたい、進化したいと生物的本能もないんだ。」

 「でも、モンスターの死体がたまたま残ってた場合はどうなるんですか?死体を吸収しただけでも成長するんじゃ…?」

 「まぁ出来ないこともない。ただ、冒険者、ハンター達は死体を残さずに持って帰るし、モンスター同士の殺し合いで死体が残った場合でも、スライムよりも強いモンスターが死体を食料として狙ってたら?スライム達は、吸収できずに終わるよな?」

 「だから進化したスライムはいない…と言うことですか?」

 「いや、いないわけじゃないんだ。偶然進化出来た奴もいる。ただ、ごく稀だな。俺も長いこと、この職業をやっているが、進化しても精々C級だな。それに一回しか会ったことがないな。…ゴホン、まぁ話を戻すぞ。」

 「あ、はい、すいません。」

 「いや、いい。お前は、自分のスキルで、スライムを作り上げて、そしてそのスキルを共有してるっていってたな?って事はだ。お前は、スライムの『吸収』の様に、喰らったモンスターからそのモンスターの力を糧として成長、もしかしたら進化出来る可能性を秘めているって事だ。」

 「え、ってことは俺は食うだけで強くなるって事…?」

 「いや、それは多分……違う。C級スライムってのは、他のC級に比べて弱い…ステータスは高いはずなのに、弱いんだ。何故か分かるか?」

 「うーん…すいません、分からないです。」

 「まぁ、まだ難しいか。要はレベルと経験だな。お前のレベルはまだ1だろ?それは、経験値が無いからだ。経験値を貯めるとレベルが上がる。そうすると、ステータスも少しは上昇するが、本質はそこじゃない。本質は、自分のステータスを上手く使様になる為にレベルを上げるんだ。例えば、攻撃ステータスが10,000でもレベルが1じゃあ、攻撃力が10と大差ないみたいな感じだな。」

 「なるほど…じゃあ経験ってのは?」

 「それは、言葉の通りだ。例えば、強いパーティに寄生してるだけでも、経験値は貰えてレベルは上がるが、経験がない分、対個人での戦闘は全く出来ない。って事だな。」

 「すいません、ピンと来ないです……」

 「ははっ…正直な奴だな。要は自分で苦労してレベル上げした奴と、苦労してないでレベルを上げた奴とでは、同じステータス、同じレベルでも差が生まれてしまうんだ。」

 「あ、理解できました。簡単に言えば、自分で努力して経験を積んでレベル上げをしろって事ですね?」

 「そう言うこった。ただこの仮説が当たっていればだがな。だがまぁ、何せステータスはモンスターを喰うだけで上がる、これはめちゃくちゃ恵まれてるぞ。後は自分で努力してレベル上げと経験を積めば、いくらでも強くなれるからな。」

 それからしばらく他愛もない話をしていると、どんどんと眠気が襲ってきて、俺は眠りについたのだった。


◆◇アンリside

 「どうして捜索隊を出さないのですかっ!?」

 アンリは、冷静さを忘れ、王とマラトン公爵に声を荒げながら進言していた。

 「アンリよ、一緒にいた兵士達も、消息を絶ったのじゃ。それに、彼らを最後に目撃したのは、一緒に訓練に行っていた兵士の4人組チームだそうじゃ。彼らが言うには、ケータを含む4人チームは原始の森に向かったそうじゃないか。儂だって、ケータが心配じゃ、けどな原始の森に向かった場合、捜索も困難なのじゃ。」


 「それでも……それでも、ここには兵士たちが沢山いるじゃありませんか。その内の数十人でもいいんです。捜索隊を出して頂けないでしょうか?」

 「あそこの森はな、恐ろしい『ビックファングベアー』の生息地、しかも、そいつらがあの森では捕食者達に追われる身なのじゃぞ。手練れの冒険者を集めても4人で勝つのはやっとじゃ。ましてや、魔王軍と戦う前に、我が兵士たちに怪我を負わせるわけにも、いかすまい。それに、冒険者に依頼を出すとしたら、依頼料も弾む、戦争前にムダ遣いは出来ないのじゃ。」

 「ムダ遣いだなんて……私たち、転生者をなんだとっ!勝手に召喚しておいて……私達の命なんてどうでもいいと言うことですかっ!?」

 「いや、そうは言っておらん。申し訳ないと思っておるのじゃ。今一度、金銭の確認をし、検討する。本日は下がっておれ。また連絡をする様にする。」

 アンリは、悔しさとケータの命をムダ遣いの一言で片付けられた事に腹を立て、目に涙をたくさん浮かべながら、部屋を出て行った。

 「はぁ……疲れた。マラトン公爵よ、これで本当に良かったのか。例え国の為とはいえ、一つの命じゃ。それに、このまま行くと、アンリが暴走する未来が見えるぞ。なんとかしてくれ。」

 ラクト王は、アンリが居なくなり、先程までの喧騒が嘘の様に静まり返った部屋で、椅子に深く腰掛けながら、隣にいるマラトン公爵に声をかけた。

 「はっ。ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません。こちらの息がかかった者を捜索隊として出します。ついでに、アンリさん、並びに勇者様達には、より一層キツい訓練をし、ケータの事など考えられない様に致します。」

 「分かった、この件もお前に任せる。ただ、儂の望みは、この国の民の命じゃ。勇者が暴走、魔王の襲来、そのどれもか儂達の民にとって害になる事、今一度認識するのじゃ。じゃあ、もう儂も休む。頼んだぞ。」

 「はっ。」


 この夜を境に、ケータを含む他の勇者達、そしてこの国の未来は大きく変わっていくのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...