異世界来たんだから気ままに過ごしたっていいんじゃない?

華町はる

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11話 『吸収』って素晴らしい

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 ケータのステータスは、以下の通りになっていた。

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【ステータス】
名前:ケータ
年齢:6歳
職業:フリーター
レベル:1(表記追加)
種族:人族

攻撃:150 → 2,000
防御:130 → 500
速度:120 → 1,000
知識:150 → 200
魔力:150

【保有スキル】
魔力粘土作成:1
キャラ作成:1
イメージ力:2
共有:2
物理耐性:10(上限MAX)
吸収:1 → 2
溶解液:1 → 2
気配探知:1

【魔法】
土魔法:1
闇魔法:1
火魔法:1

【称号】
異世界転生
土弄りの天才

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 「おい、ケータっ!静かにしろって…森の中で大声なんて出すな。ってか突然どーしたんだ?」

 「すいませんっ。ただ、いや、なんというか……強くなってました…何ででしょうか。」

 「いや、分からん。とりあえず転生してから、今までの事とにかく話してくれ。あとステータスを見せろ。」

 俺は今まで起きた事を事細かく話して言った。
 巨大グマに襲われた事とか、その巨大グマが謎の触手に絡まれて、滝壺に沈んでいった話などは、大爆笑しながらも興味深そうに聴いてくれた。

 「……ここまでが、俺のこの世界に来てからの出来事です。あと、これがステータスです。」

 「あっははは、お前よく生きてたなっ!奇跡だ、うん、奇跡だな。」

 「何が面白いんですか?めちゃくちゃ怖かったんですからね。」

 「いやー、すまんすまん、昔の俺を思い出しちまってよ。それよりだ、大体お前が何故強くなったのか分かったぞ。ただ、こんな話聞いた事ないから、あくまでも仮説だけどな。」

 「え、今ので分かったんですか!?教えてください!」

 「まぁ、そんな焦るな。まずは、スライムの習性からだな。まず、スライムってのはE級のモンスターだ。主に持っているスキルは『吸収』『溶解液』だな。ただ、このスライムってのは不思議で、食べた物によって独自に進化していくと言われている。スキルも増えていくんだ。要は、何を『吸収』してきたかで、個体差が生まれてくるんだ。まぁただ、基本は進化できずに一生を終えるんだ。何故だか分かるか?」

 「うーん……元々が弱いからですか?」

 「7割方正解だな。基本的には進化する前に、他のモンスター達や、冒険者、ハンター達に狩られる。そして、もう一つの要因としては、そもそもスライムには意思がない。だから強くなりたい、進化したいと生物的本能もないんだ。」

 「でも、モンスターの死体がたまたま残ってた場合はどうなるんですか?死体を吸収しただけでも成長するんじゃ…?」

 「まぁ出来ないこともない。ただ、冒険者、ハンター達は死体を残さずに持って帰るし、モンスター同士の殺し合いで死体が残った場合でも、スライムよりも強いモンスターが死体を食料として狙ってたら?スライム達は、吸収できずに終わるよな?」

 「だから進化したスライムはいない…と言うことですか?」

 「いや、いないわけじゃないんだ。偶然進化出来た奴もいる。ただ、ごく稀だな。俺も長いこと、この職業をやっているが、進化しても精々C級だな。それに一回しか会ったことがないな。…ゴホン、まぁ話を戻すぞ。」

 「あ、はい、すいません。」

 「いや、いい。お前は、自分のスキルで、スライムを作り上げて、そしてそのスキルを共有してるっていってたな?って事はだ。お前は、スライムの『吸収』の様に、喰らったモンスターからそのモンスターの力を糧として成長、もしかしたら進化出来る可能性を秘めているって事だ。」

 「え、ってことは俺は食うだけで強くなるって事…?」

 「いや、それは多分……違う。C級スライムってのは、他のC級に比べて弱い…ステータスは高いはずなのに、弱いんだ。何故か分かるか?」

 「うーん…すいません、分からないです。」

 「まぁ、まだ難しいか。要はレベルと経験だな。お前のレベルはまだ1だろ?それは、経験値が無いからだ。経験値を貯めるとレベルが上がる。そうすると、ステータスも少しは上昇するが、本質はそこじゃない。本質は、自分のステータスを上手く使様になる為にレベルを上げるんだ。例えば、攻撃ステータスが10,000でもレベルが1じゃあ、攻撃力が10と大差ないみたいな感じだな。」

 「なるほど…じゃあ経験ってのは?」

 「それは、言葉の通りだ。例えば、強いパーティに寄生してるだけでも、経験値は貰えてレベルは上がるが、経験がない分、対個人での戦闘は全く出来ない。って事だな。」

 「すいません、ピンと来ないです……」

 「ははっ…正直な奴だな。要は自分で苦労してレベル上げした奴と、苦労してないでレベルを上げた奴とでは、同じステータス、同じレベルでも差が生まれてしまうんだ。」

 「あ、理解できました。簡単に言えば、自分で努力して経験を積んでレベル上げをしろって事ですね?」

 「そう言うこった。ただこの仮説が当たっていればだがな。だがまぁ、何せステータスはモンスターを喰うだけで上がる、これはめちゃくちゃ恵まれてるぞ。後は自分で努力してレベル上げと経験を積めば、いくらでも強くなれるからな。」

 それからしばらく他愛もない話をしていると、どんどんと眠気が襲ってきて、俺は眠りについたのだった。


◆◇アンリside

 「どうして捜索隊を出さないのですかっ!?」

 アンリは、冷静さを忘れ、王とマラトン公爵に声を荒げながら進言していた。

 「アンリよ、一緒にいた兵士達も、消息を絶ったのじゃ。それに、彼らを最後に目撃したのは、一緒に訓練に行っていた兵士の4人組チームだそうじゃ。彼らが言うには、ケータを含む4人チームは原始の森に向かったそうじゃないか。儂だって、ケータが心配じゃ、けどな原始の森に向かった場合、捜索も困難なのじゃ。」


 「それでも……それでも、ここには兵士たちが沢山いるじゃありませんか。その内の数十人でもいいんです。捜索隊を出して頂けないでしょうか?」

 「あそこの森はな、恐ろしい『ビックファングベアー』の生息地、しかも、そいつらがあの森では捕食者達に追われる身なのじゃぞ。手練れの冒険者を集めても4人で勝つのはやっとじゃ。ましてや、魔王軍と戦う前に、我が兵士たちに怪我を負わせるわけにも、いかすまい。それに、冒険者に依頼を出すとしたら、依頼料も弾む、戦争前にムダ遣いは出来ないのじゃ。」

 「ムダ遣いだなんて……私たち、転生者をなんだとっ!勝手に召喚しておいて……私達の命なんてどうでもいいと言うことですかっ!?」

 「いや、そうは言っておらん。申し訳ないと思っておるのじゃ。今一度、金銭の確認をし、検討する。本日は下がっておれ。また連絡をする様にする。」

 アンリは、悔しさとケータの命をムダ遣いの一言で片付けられた事に腹を立て、目に涙をたくさん浮かべながら、部屋を出て行った。

 「はぁ……疲れた。マラトン公爵よ、これで本当に良かったのか。例え国の為とはいえ、一つの命じゃ。それに、このまま行くと、アンリが暴走する未来が見えるぞ。なんとかしてくれ。」

 ラクト王は、アンリが居なくなり、先程までの喧騒が嘘の様に静まり返った部屋で、椅子に深く腰掛けながら、隣にいるマラトン公爵に声をかけた。

 「はっ。ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません。こちらの息がかかった者を捜索隊として出します。ついでに、アンリさん、並びに勇者様達には、より一層キツい訓練をし、ケータの事など考えられない様に致します。」

 「分かった、この件もお前に任せる。ただ、儂の望みは、この国の民の命じゃ。勇者が暴走、魔王の襲来、そのどれもか儂達の民にとって害になる事、今一度認識するのじゃ。じゃあ、もう儂も休む。頼んだぞ。」

 「はっ。」


 この夜を境に、ケータを含む他の勇者達、そしてこの国の未来は大きく変わっていくのであった。
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