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第7説
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無事に薬草も購入できて、いよいよ村の外にまで行動範囲を広げる時がやってきた。(はよ行けや)
先程考えていた、この村で『ある程度強いのは保証されている』仲間の目星。
それは、この村の入口を常に守ってくれている『守衛さん』だ。
僕が装備品などプレゼントしなくても、既に防御力の高そうな分厚い鎧を着込んでいるし、モンスターを何匹もまとめて貫けそうな鋭い槍も持っている。
守衛を任されているという時点で既にある程度の戦闘力は保証されているし、この守衛さんをアリュール王国までの味方につけることができれば、手間もお金も省けて一石三鳥というものだ。
この世界でパーティーに加えることができるのは、僕を含めて最大『四人』まで。(別に魔王を倒すことだけを考えれば、大陸中の人間何千万人で、一気に魔王の城に攻め込めばすぐに片はつきそうな気もするが、残念ながらそうは問屋が卸さない。魔王側もそこはよく考えたもので、魔王城内にある強力な魔法陣の力により、四人以上のパーティーは組めない呪いがかけられているのだ)
更に、勇者はあのアホの(?)精霊の力によりパーティーに強制的に加入させられるため、仲間だけを冒険に行かせて自分は裏からそれを操るといった行動もできない。(この事実を知るまでは、自室に引きこもったまま仲間を指揮して世界を救う、『安楽椅子勇者』の説も考えたのだが)
つまり、僕を除いたパーティーの最大編成数は『三人まで』という訳で、できれば守衛さんを最大数である三人まで味方につけられればいいのだが、果たしてそう上手くいくかどうか。
僕は早速村の入口に向かい、立っている二人の守衛さんに交渉を始めた。
「毎日大変なお仕事お疲れさまです!!」
「ん?おお、フラジール殿か。今日も村に異常はないぞ、平和で何よりだ」
「いつもこの村と僕たちを守って頂いて、本当に感謝しています。あの……これなんですけど……」
僕はそう言って、村長に書いてもらった外出許可証を見せた。
「ほう、それは外出許可証だな。確かに村長の直筆。何か外に用事でも?」
「それが、実は僕は勇者なんです。手始めとしてアリュール王国に向かうことになったんですが、なにぶん僕一人では戦力に不安があるもので。できれば守衛さんに三人ほどアリュール王国までついてきて頂けると、本当に助かるのですが」
守衛さんはしばらく二人で何事か話し込んでいたが、やがて僕の方に向き直ると、
「すまぬ、フラジール殿。我々も人員に余裕はなく、ギリギリの人数で警備を回しておるため、とてもそこまでの余裕はないのだ。貴殿は勇者であろう。大丈夫、今はレベルが1だったとしても、この近辺で弱いモンスターを相手に経験値を積んでいけば、自ずと自信もついてくるというものだ」
いや、だからそれができるようなら、初めから守衛さんに頼んでなんかいないでしょ?ということ。
僕がそんなに勇敢な勇者であれば、こんな無駄話など最初からせず、今頃許可証だけ見せてそのまま村の外でスライムあたりを切り刻んでますよ!!
この人もまた、『勇者の既成概念』にとらわれている人だったか……。まったく、精霊と同じようなこと言わないでほしいなぁ……。(普通はそう)
「そこを何とか……。一人、一人でも何とか難しいですかね?」
このように、まず最初に最大級の『三人』という要求をかましておいて、そこから今度は『一人』に要求レベルを下げていくというのは、相手に自分の要求を飲ませるのに非常に重要なテクニックだ。(戦わない勇者の絶対必要テクニック)
「むう……一人なら何とか……交代時間をやりくりすれば……」
と、一人の守衛さんは何となく行けそうな雰囲気を醸し出していたのだが、それを見たもう一人の守衛さんが、行けそうな守衛さんの耳元で何事か呟くと、
「うむ、やはり無理だ無理だ!!さあ、行った行った!!貴殿も勇者ならば、覚悟を決めて冒険に旅立つがよかろう!!」
と、話は全くの白紙に戻ってしまった。
野郎……せっかく話がまとまりそうだったのに、余計なことしやがって……。(?)
あっちの性格の悪い(?)守衛さんに関しては、仲間に加えるのはとても無理(というか来てほしくない)だが、この手前側の思いやりの感じられる守衛さんならば、揺さぶれば何とかという感はある……。
ひとまずその場を離れ木陰で休むと、手前側の守衛さんを何とか味方につける妙案を練った。
先程考えていた、この村で『ある程度強いのは保証されている』仲間の目星。
それは、この村の入口を常に守ってくれている『守衛さん』だ。
僕が装備品などプレゼントしなくても、既に防御力の高そうな分厚い鎧を着込んでいるし、モンスターを何匹もまとめて貫けそうな鋭い槍も持っている。
守衛を任されているという時点で既にある程度の戦闘力は保証されているし、この守衛さんをアリュール王国までの味方につけることができれば、手間もお金も省けて一石三鳥というものだ。
この世界でパーティーに加えることができるのは、僕を含めて最大『四人』まで。(別に魔王を倒すことだけを考えれば、大陸中の人間何千万人で、一気に魔王の城に攻め込めばすぐに片はつきそうな気もするが、残念ながらそうは問屋が卸さない。魔王側もそこはよく考えたもので、魔王城内にある強力な魔法陣の力により、四人以上のパーティーは組めない呪いがかけられているのだ)
更に、勇者はあのアホの(?)精霊の力によりパーティーに強制的に加入させられるため、仲間だけを冒険に行かせて自分は裏からそれを操るといった行動もできない。(この事実を知るまでは、自室に引きこもったまま仲間を指揮して世界を救う、『安楽椅子勇者』の説も考えたのだが)
つまり、僕を除いたパーティーの最大編成数は『三人まで』という訳で、できれば守衛さんを最大数である三人まで味方につけられればいいのだが、果たしてそう上手くいくかどうか。
僕は早速村の入口に向かい、立っている二人の守衛さんに交渉を始めた。
「毎日大変なお仕事お疲れさまです!!」
「ん?おお、フラジール殿か。今日も村に異常はないぞ、平和で何よりだ」
「いつもこの村と僕たちを守って頂いて、本当に感謝しています。あの……これなんですけど……」
僕はそう言って、村長に書いてもらった外出許可証を見せた。
「ほう、それは外出許可証だな。確かに村長の直筆。何か外に用事でも?」
「それが、実は僕は勇者なんです。手始めとしてアリュール王国に向かうことになったんですが、なにぶん僕一人では戦力に不安があるもので。できれば守衛さんに三人ほどアリュール王国までついてきて頂けると、本当に助かるのですが」
守衛さんはしばらく二人で何事か話し込んでいたが、やがて僕の方に向き直ると、
「すまぬ、フラジール殿。我々も人員に余裕はなく、ギリギリの人数で警備を回しておるため、とてもそこまでの余裕はないのだ。貴殿は勇者であろう。大丈夫、今はレベルが1だったとしても、この近辺で弱いモンスターを相手に経験値を積んでいけば、自ずと自信もついてくるというものだ」
いや、だからそれができるようなら、初めから守衛さんに頼んでなんかいないでしょ?ということ。
僕がそんなに勇敢な勇者であれば、こんな無駄話など最初からせず、今頃許可証だけ見せてそのまま村の外でスライムあたりを切り刻んでますよ!!
この人もまた、『勇者の既成概念』にとらわれている人だったか……。まったく、精霊と同じようなこと言わないでほしいなぁ……。(普通はそう)
「そこを何とか……。一人、一人でも何とか難しいですかね?」
このように、まず最初に最大級の『三人』という要求をかましておいて、そこから今度は『一人』に要求レベルを下げていくというのは、相手に自分の要求を飲ませるのに非常に重要なテクニックだ。(戦わない勇者の絶対必要テクニック)
「むう……一人なら何とか……交代時間をやりくりすれば……」
と、一人の守衛さんは何となく行けそうな雰囲気を醸し出していたのだが、それを見たもう一人の守衛さんが、行けそうな守衛さんの耳元で何事か呟くと、
「うむ、やはり無理だ無理だ!!さあ、行った行った!!貴殿も勇者ならば、覚悟を決めて冒険に旅立つがよかろう!!」
と、話は全くの白紙に戻ってしまった。
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