上 下
19 / 47

M-1グランプリ2019 優勝予想

しおりを挟む
さて、例年通り各コンビの優勝期待値を見ていきたいと思うが、今回のM-1、まずはあの優勝最有力候補だった和牛が、いきなり準決勝で敗れるという波乱の展開から幕を開けることとなった。

一時は往年の『笑い飯ポジション』として、このまま常連として決勝に出続けていくものと思われていたが、時代も令和にもなるとそうは問屋が卸さなくなるらしい(和牛だけに腐った肉を仕入れる店はないということか)。

まあ、笑い飯と和牛を比較すると、さすがに面白さでは笑い飯が上になるし、技術はあるものの一向にネタの方向性が代わり映えしない点が、審査員に飽きられてしまったのかもしれないが、それにしても驚きの展開である。

前回は2位に輝いたうるとらブギーズに×を付けるという恥ずかしいランキングを演じてしまったため、今回はまた気合いを入れ直して査定していきたいと思う。

では、まずは【からし蓮根】から。

①【からし蓮根】 △

前回前々回と、筆者が敗者復活戦の総評でもっと個性を出さないとダメだと口酸っぱく語ったコンビだが、今回初の決勝となった。

吉本としても期待を掛けている若手なのだろうが、現状では同年代で言うところの霜降り明星に大きく劣ることは言うまでもない。

去年からどれだけの上積みが出来たかに掛かっているが、今の時点でM-1を優勝出来るだけの個性、実力が身についているとは到底思えない。

基本的には中位から下位がデフォルトのコンビと見て間違いないだろう。

からし蓮根に言いたいのはただ一言、優勝したいならもっと個性を前面に押し出せ!!

②【ミルクボーイ】 ×

牛乳をよく飲んで標準より少し背が高くなったアホと、ボーイスカウトをやり過ぎて自分がキャバクラのボーイにスカウトされたアホ二人が織り成す、一風変わったダイナミズムが自慢の実力派中堅コンビ。

ではなく、例年選ばれるいわゆるM-1ダークホース枠。

今回ネタが幸運にも観れたため、チェリーボーイ……あわわ、ミルクボーイに関しては自信を持って×を付けることが出来た。

無駄にキャリアを重ねているのか、べしゃりの安定感だけはあるものの、お笑いに関して最も重要な『何が面白いか』ということ自体を根本的に勘違いしている。

はっきり言ってネタが本当にどうしょうもなく、筆者の中では最下位争いの筆頭候補と言えるが、あの審査スタイルによる実戦では安定感を評価されて中位あたりに収まることもあるかもしれない。

いずれにしても、筆者が観たオカンネタでは優勝は天地がひっくり返ってもなく、本番でのダダすべりに期待したいところだ。

③【ぺこぱ】 〇

前回ご紹介した通り、筆者がおもしろ荘の時から注目していたコンビ。

ぺこぱの笑いのスタイルに関しては、前回の解説に譲るとして、ネタが会場の空気にピタリとはまれば、爆発力のある笑いのスタイル故、優勝も充分に有り得る。

まさかの和牛敗退という優勝候補不在の中、後述のニューヨークと並んで個人的には優勝候補筆頭のコンビである。

④【オズワルド】 ×

『オズの魔法使い』とそれを憎む『ワルドの魔法使い』がタッグを組んだように世間に装う、アホ二人による若手漫才コンビ。

ではなく、先程のミルクボーイと同じくM-1ダークホース枠パート2。

公式サイトの写真の右側にいる方(おそらく伊藤俊介という名前の方だと思われる。と言っても誰やねんという話である)が、C&Kのクリビーとハマ・オカモトを足して二で割って、闇金の取り立てに追い込まれて家族を捨てて夜逃げした後しばらく橋の下に住んだはいいもののそこでも上手く周囲と馴染めずドヤ街を転々とする中、最終的には毎日ゴミ箱の中をあさって食べ物を探して生活するしかない状況に追い込まれた時のことを悪夢で見て飛び起きた瞬間の顔の感じに似ている。(???)

ポイズンガールバンドのような全体のけだるい雰囲気は悪くはないのだが、それが雰囲気だけに終わっており、肝心の中身が全く伴っていない。

しかし、この程度の実力でM-1の決勝に選ばれるとは、本当にとんでもない幸運の持ち主である。

和牛、天竺鼠、東京ホテイソン、錦鯉、準決勝で落ちたコンビの方が数段面白い、というか比較することすら失礼なレベルであり、改めてM-1準決勝の審査方法を考える必要があるだろう。

⑤【すゑひろがりず】 △

マ『ヂ』カルラブリー等と同じく、す『え』ひろがりずでいいだろ!!マヨ許さないよ!!と、思わずカイヤ(元)川崎のように憤慨してしまうコンビ。

どうせイロモノだろうと全く期待していなかったのだが、意外や意外、ネタのクオリティーはけして低くはない。

去年の『トム・ブラウン』と同じく、ハマれば大爆発も有り得るだろう。

ただ、2002年のテツ&トモと同じく、果たしてこれは漫才なのか?そもそも漫才に小道具を使うのはアリなのだろうか?という疑問符は常に付き纏う。

このコンビの面白さというのは、衣装や小道具によって得られる『安土桃山の空気感』(どんな空気感やねん)に大きく頼っている部分があり、個人的には反則としか思えなかった。

漫才として反則であるため優勝は不可能と思われるが、面白さという点だけで言えば上位に入ってもおかしくはないコンビだ。

⑥【ニューヨーク】 〇

ようやく来たかという感じ。

以前から言っている通り、ネタの選択さえ間違えなければ優勝出来るだけの実力があり、今回のメンツの中では優勝候補と言っても過言ではない。

ニューヨークと言えば、これまでの代表作は『パンツマン炎上事件』という認識が、視聴者の中でも多数を占めていることだろう。

まあ、これは対象が『パンツマン』という非常にサブい名前のオッサンだったことも多分に影響していると思われるが(ニューヨークはそういった人物のイタさをディスっていく芸風のため)、それにしても炎上までしてしまったのはニューヨークのイジリの下手さ、現場に笑いがなかったことの証明であり、今回M-1を優勝することで是非その時とは違う成長したところを見せてほしいと思う。

余談だが、炎上といえば公式サイトの二人が映っている写真の背後にも炎が映って炎上しているため、興味のある方は是非公式サイトのニューヨークの写真をご覧頂ければと思う。

⑦【インディアンス】 △

何度も言う通り、ただの劣化アンタッチャブル。

個人的には一度たりとも面白いと思ったことはないが、漫才の腕はそれなりにあるため、審査員の好みによっては中位あたりに入ってもおかしくはない。

ところで、アンタッチャブルといえば、先日10年ぶりのコンビ復活で話題となったが、やはり2004年にM-1を制した時から比べると、だいぶ力が落ちたと言わざるを得ない出来だった。

最も、かつての漫才のファンである筆者からすれば、これは二人の10年間のブランクによるものだと思いたいし、これから舞台を重ねることでかつての輝きを取り戻していくものと信じたい。

今回のM-1に刺激を受けて、頑張れアンタッチャブル!!(インディアンスの話ほとんどしてねーじゃねえか!!)

⑧【見取り図】 △

去年トップバッターでダダすべりしたコンビ。

去年筆者が下した評価通り『あたおか』は全く流行らなかったが、何故かボロクソに言っていた筆者だけは面白がって使っていたというのだから、本当に人生というものは不思議である。

去年スタジオの底が抜けるぐらいダダすべりはしたものの、持っている実力を全て出し切ることができれば、中位あたりにすべり込むこともけして夢ではない。(出し切っても中位かよ!!ダダすべりしただけに中位にすべり込みセーフ!!違うか!!わっはっはっはっは!!)←あたおかとはこういう奴を言う。

⑨【かまいたち】 〇

さる筋では『自分を可愛いと思い込んでいるパジャマ姿のアホ』と名高い粗品(筆者は何も言っていない)が吉本への忖度……ゲフンゲフン、何かの間違いでR-1との二冠を果たしてしまったため、今年のかまいたちは胸に期するものがあるはずだ。

その実力に何ら疑いの余地はなく、和牛なき今回のM-1の優勝候補筆頭と言えるが、粗品がM-1を取ってからR-1を取ったのとは違い、キングオブコントを取ってからM-1を取る必要があるため、そのハードルの上がり方、二冠難易度は粗品の比ではない。

余程他を圧倒しないと優勝は難しいが、ここは大いなる期待を込めて〇としたい。

⑩【敗者復活枠】 〇

普段なら敗者復活枠には△を付ける筆者であるが、筆者は今回、敗者復活からの優勝も充分に有り得ると思っている。

何しろ、準決勝で落とされた面々が、決勝進出者にも何ら見劣りしない実力者揃いなのである。

和牛が上がってきても勿論面白いし、さすがに今年ぐらいは天竺鼠を決勝の舞台で観たい気もする。

敗者復活はかなりの高確率で和牛が勝ち抜いて来ると思うが、決勝ではなくそちらの方の波乱にも期待である。

あ、個人的にミキはもうお腹いっぱいです。(ステマの件もあるし。違うか!!ゲラゲラゲラゲラ!!)

さて、あたおかはほっといて、最後に筆者が下した優勝期待値をまとめてみよう。

1位 ぺこぱ 〇
2位 ニューヨーク 〇
3位 敗者復活枠 〇
4位 かまいたち 〇
5位 すゑひろがりず △
6位 インディアンス △
7位 見取り図 △
8位 からし蓮根 △
9位 ミルクボーイ ×
10位 オズワルド ×

筆者の予想では、今回のM-1は実力的に四つ巴の戦いになると見た。(ぺこぱが若干の有利、かまいたちが若干の不利)

この四組の内、果たしてどこが歓喜の涙に咽ぶのか、そして筆者は今年も予想を的中させることができるのか、審判の時はもうすぐそこに迫っている。
しおりを挟む

処理中です...