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垢凍結

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数日後。草原ステージにて。
「なかなかテイムできないな」
ジオのお陰でマイホームと捕獲用籠を取得したはいいもののテイマーなのに最小モンスターすらテイムできないなんて。
自分が情けないよ。
僕のモフモフライフが!
「モフモフが不足している」
「俺はスイが不足している」
「わっ!」
ジオが背後から抱きついてきた。
「ちょっ!離れてよ!」
「スイ充電中」
「もう!」
のし掛かってくるジオに押し潰されそうになりながらも笑い声が止まらない。
「あはは」
いつまでも平和で楽しくジオと過ごせたらいいのに。


ピンポーン。
「誰だろう?」
「俺が出るからスイは寛いでろ」
「で、でも」
嫌な胸騒ぎがする。
誰にも住所を教えていないはずなのに人が訪ねてくるなんて。
「大丈夫だから俺に任せろ」
ポンポンって安心させるように頭を撫でられた。
いかないでなんて言えなくなっちゃうじゃん。
ジオが玄関に向かうと入れ違いに窓から青い鳥が部屋の中に入ってきた。
「ピィ」
「また君?よく来るね?」
「ピィピィ」
「あはは。くすぐったいよ」
青い鳥とじゃれていると玄関が騒がしい。
ドカドカと足音をたてながら土足で部屋に入ってくる人影。
「こら、待て!勝手に人ん家に入るんじゃねー!」
「うっせーな!ギルドブルーバードを無断で抜けたくせに青い鳥を奪い取りやがって!」
「青い鳥?しらな」
知らないとジオが言いかけた所でバッチリお部屋の中にいる青い鳥と目があった。
「な、なんで青い鳥がいるんだよ!」
「てめえが誘拐したからだろう!」
「ちげーよ!」
えっと?ジオと侵入者が揉めている。
って?あれこの人何処かで?
「バンお手柄です」
後からもう一人部屋に入ってきた中性的な男性。
服装は違うけどこの人。
「青い鳥の飼い主さん?」
「貴方は青い鳥の誘拐犯」
中性的な男性の眉が僅かに上がる。
「ラックブルーワールドの神鳥を誘拐するのは犯罪です」
「こいつ前も盗もうとしたんだ!」
「前科持ちですか?ならば垢凍結ですね」
「垢凍結って?」

ピーピー。
【強制ログアウトしました。アカウントが凍結されました】
ピーピー。

電子警告音がピーピーと鳴り響く。
VRを取り電源を落とす。
隣にはVRを装着したまま眠る慈恩の姿。
「慈恩」
手を握ると慈恩の温もりが伝わって暖かかった。

「悪い遅くなった」
数分後。
慈恩が戻ってきた。
「辛い思いさせて御免な」
「慈恩のせいじゃないよ。むしろ迷惑かけてごめんね」
ふわりと慈恩が僕を抱き締めてくれる。

ラックブルーワールドも青い鳥もいらない。
慈恩がいてくれるだけでいい。
僕と慈恩は引き寄せられるかのように小鳥が突っつくかのような儚いキスをした。
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