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第2章 剣術競技祭に迫る陰謀
第10話 敵は弱点狙い
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「シルフィ、相手を頼む」
「私なんかでいいの?」
「ああ」
そんな会話を交わした後、ハルクとシルフィが向き合って剣を構える。
勝敗は、寸止めではなく先に相手の身体を捉えた者が勝者となる。
「始め!」
審判役のレイシアの掛け声でシルフィが一気に間合いを詰める。
そして、突きの攻撃を放った。
「なっ……」
ハルクが弾いたせいで、シルフィの剣先は地面に向かっていた。
そして、ハルクの剣がシルフィの剣を弾いた反動を利用して切り返して足元から迫ってくる。
(それだけはやめて……)
シルフィがそう思った時には既にハルクの剣が彼女のスカートの中に直撃していた。
「痛いっ!」
シルフィが悲鳴のような声を上げる。
そして、表情を歪めて股を押さえて座り込んだ。
「ハルクくんの勝ちなんだけど……シルフィ、大丈夫?」
地面に倒れて股間を押さえながら痛みに悶えるシルフィにレイシアが声をかける。
シルフィが年頃の女の子にあるまじき体勢をしている事は言うまでもない。
「うぅ……」
「ごめんな。変なとこ当てちゃって」
「ひどい……」
目に涙を浮かべたシルフィがそう漏らす。
「うぅ……」
「シルフィ! 大丈夫か!?」
地面に倒れているシルフィに気が付いた生徒達が集まってくる。
「だ、大丈夫よ……」
痛そうにしながらも、シルフィは立ち上がって制服をはたいていた。
* * *
「王妃様、1週間後に行われる剣術競技祭ですが、このような物が届きました」
王城で友人と共に優雅にお茶をしていた王妃が封筒を手渡された。
「少し失礼するわね」
友人にそう言って、王妃は自室に戻った。
それから、封を開けて、その中に入っていた1枚の紙を読み始めた。
『ご息女のレイシアの命が惜しければ、次の剣術競技祭で二年二組を優勝させること。ハルク・グランシード』
そんな文面を見た王妃、アイリス・シルクスは慌てて友人の下に戻った。
「アリア! これ見て!」
さっきまでの空気はどこに行ったのか。
王妃のアイリスが学生時代からの友人のアリア・グランシードにその紙を見せた。
「これ……ハルクの字とは違うわ」
「やっぱり? ど、どうしよう……レイシアが……」
大切な娘の殺害予告を真に受けたアイリスが目を潤ませてアリアを見上げる。
「少しは冷静になりなさい。いざとなれば、私とアイリスでどうにかなるでしょ?」
「そ、そうね……。調査命令を出してくるわ」
「私はレイシアちゃんの護衛に行ってくるわね」
アリアはそう言って部屋を後にした。
向かう先は、もちろんハストル学院だ。
……。
…………。
「計画は順調か?」
「もちろんですわ。ハルク・グランシードの名前で脅迫状も送ってありますわ」
雨で人通りの少ない商店街でそんな会話を交わす男女の姿があった。
その姿は、雨の日でもデートをする熱々の……いや、ただの馬鹿なカップルに見えていた。
「1週間後が楽しみだよ。アイツが捕まるところを見るのがな」
「二組が優勝したら、計画は失敗ですわよ?」
シャルアの欲望に、エリアナがそう告げる。
「アイツが捕まるだけでも十分だよ」
「そうですか。貴方のクラスが優勝するのを楽しみにしておりますわ。全ては聖なる国のために」
エリアナはそう言ってその場を後にした。
* * *
「シルフィ、大丈夫?」
「うん。もう平気よ」
シルフィが剣を構えながらそう口にする。
「シルフィ、一組が股を狙う練習してたから、防ぐ練習した方がいいと思うよ。あれやられると痛いからね」
股を打たれた時の痛みは半端では無い。特に男は。
その証拠に、ハルクの言葉を聞いた二組の男子生徒達が青くなった。
「レイシア、ハルクくんが言ってることって本当なの?」
「うん」
レイシアの答えはシルフィの期待を裏切っていた。
「本番で無様を晒す訳にはいかないわよね……。レイシア、相手お願い」
「私、寸止め出来ないよ……」
「それでもいいわよ!」
「じゃあ、いくよ?」
――略。
「うぅ……ハルクくんの時よりも痛いって……どういうことよ……」
一撃だけしか受けていないのにも関わらず、シルフィは地面に倒れていた。
「狙ったか狙ってないかの差じゃないのか?」
「……」
「シルフィ、早く防げるようになろうよ?」
「そうね……」
シルフィが起き上がって剣を構える。
そして……
「ひゃん! うぅ……」
……シルフィの剣はレイシアの剣を掠めただけで、レイシアの剣はやっぱりシルフィに直撃していた。
――略。
「きゃっ! あぅ……」
――略。
略。略。略。略。――略。
「ひゃあっ!?」
9回目もレイシアの剣に直撃を許していた。
だが、地面に倒れる事はなかった。
そして……
キイイィィンッ!
10回目にして、ようやくレイシアの剣が弾かれた。
「じゃあ、反撃まで一通りやろっか」
そんなんで、シルフィの足元からの攻撃を防ぐ練習は続いていた。
「私なんかでいいの?」
「ああ」
そんな会話を交わした後、ハルクとシルフィが向き合って剣を構える。
勝敗は、寸止めではなく先に相手の身体を捉えた者が勝者となる。
「始め!」
審判役のレイシアの掛け声でシルフィが一気に間合いを詰める。
そして、突きの攻撃を放った。
「なっ……」
ハルクが弾いたせいで、シルフィの剣先は地面に向かっていた。
そして、ハルクの剣がシルフィの剣を弾いた反動を利用して切り返して足元から迫ってくる。
(それだけはやめて……)
シルフィがそう思った時には既にハルクの剣が彼女のスカートの中に直撃していた。
「痛いっ!」
シルフィが悲鳴のような声を上げる。
そして、表情を歪めて股を押さえて座り込んだ。
「ハルクくんの勝ちなんだけど……シルフィ、大丈夫?」
地面に倒れて股間を押さえながら痛みに悶えるシルフィにレイシアが声をかける。
シルフィが年頃の女の子にあるまじき体勢をしている事は言うまでもない。
「うぅ……」
「ごめんな。変なとこ当てちゃって」
「ひどい……」
目に涙を浮かべたシルフィがそう漏らす。
「うぅ……」
「シルフィ! 大丈夫か!?」
地面に倒れているシルフィに気が付いた生徒達が集まってくる。
「だ、大丈夫よ……」
痛そうにしながらも、シルフィは立ち上がって制服をはたいていた。
* * *
「王妃様、1週間後に行われる剣術競技祭ですが、このような物が届きました」
王城で友人と共に優雅にお茶をしていた王妃が封筒を手渡された。
「少し失礼するわね」
友人にそう言って、王妃は自室に戻った。
それから、封を開けて、その中に入っていた1枚の紙を読み始めた。
『ご息女のレイシアの命が惜しければ、次の剣術競技祭で二年二組を優勝させること。ハルク・グランシード』
そんな文面を見た王妃、アイリス・シルクスは慌てて友人の下に戻った。
「アリア! これ見て!」
さっきまでの空気はどこに行ったのか。
王妃のアイリスが学生時代からの友人のアリア・グランシードにその紙を見せた。
「これ……ハルクの字とは違うわ」
「やっぱり? ど、どうしよう……レイシアが……」
大切な娘の殺害予告を真に受けたアイリスが目を潤ませてアリアを見上げる。
「少しは冷静になりなさい。いざとなれば、私とアイリスでどうにかなるでしょ?」
「そ、そうね……。調査命令を出してくるわ」
「私はレイシアちゃんの護衛に行ってくるわね」
アリアはそう言って部屋を後にした。
向かう先は、もちろんハストル学院だ。
……。
…………。
「計画は順調か?」
「もちろんですわ。ハルク・グランシードの名前で脅迫状も送ってありますわ」
雨で人通りの少ない商店街でそんな会話を交わす男女の姿があった。
その姿は、雨の日でもデートをする熱々の……いや、ただの馬鹿なカップルに見えていた。
「1週間後が楽しみだよ。アイツが捕まるところを見るのがな」
「二組が優勝したら、計画は失敗ですわよ?」
シャルアの欲望に、エリアナがそう告げる。
「アイツが捕まるだけでも十分だよ」
「そうですか。貴方のクラスが優勝するのを楽しみにしておりますわ。全ては聖なる国のために」
エリアナはそう言ってその場を後にした。
* * *
「シルフィ、大丈夫?」
「うん。もう平気よ」
シルフィが剣を構えながらそう口にする。
「シルフィ、一組が股を狙う練習してたから、防ぐ練習した方がいいと思うよ。あれやられると痛いからね」
股を打たれた時の痛みは半端では無い。特に男は。
その証拠に、ハルクの言葉を聞いた二組の男子生徒達が青くなった。
「レイシア、ハルクくんが言ってることって本当なの?」
「うん」
レイシアの答えはシルフィの期待を裏切っていた。
「本番で無様を晒す訳にはいかないわよね……。レイシア、相手お願い」
「私、寸止め出来ないよ……」
「それでもいいわよ!」
「じゃあ、いくよ?」
――略。
「うぅ……ハルクくんの時よりも痛いって……どういうことよ……」
一撃だけしか受けていないのにも関わらず、シルフィは地面に倒れていた。
「狙ったか狙ってないかの差じゃないのか?」
「……」
「シルフィ、早く防げるようになろうよ?」
「そうね……」
シルフィが起き上がって剣を構える。
そして……
「ひゃん! うぅ……」
……シルフィの剣はレイシアの剣を掠めただけで、レイシアの剣はやっぱりシルフィに直撃していた。
――略。
「きゃっ! あぅ……」
――略。
略。略。略。略。――略。
「ひゃあっ!?」
9回目もレイシアの剣に直撃を許していた。
だが、地面に倒れる事はなかった。
そして……
キイイィィンッ!
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「じゃあ、反撃まで一通りやろっか」
そんなんで、シルフィの足元からの攻撃を防ぐ練習は続いていた。
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