勇者の料理番

うりぼう

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味噌バターコーンラーメン

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適当な場所を見つけ、そこで休憩を取る事になった。
辺りは木々が生い茂り、その隙間から差し込む日の光が眩しくも心地良い。

大自然の中で俺は大鍋で大量の麺を茹で、もう片方のフライパンでこれまた大量の野菜と挽肉を別々に炒めている。

そう、今日のお昼ご飯はラーメンです!
しかもしかも味噌ラーメン!
ラーメンの中で味噌ラーメンが一番好きなんだよね。

もやしとキャベツとにんじんとコーンを大量に入れて更にちょっと唐辛子もかける。
ネギは白髪ネギにして水にさらしておく。
木耳とかニラとか入れてもまた美味しいんだよね。
挽肉は甘辛く味付けしておく。
そんでもって一番忘れちゃいけないのがバター!
味噌とバターって何でこんなに合うんだろ。

ああ、炒めていた野菜が良い感じになってきた。
麺もそろそろ頃合いだな。
うんうん、良い感じ。

器にそれぞれスープを入れて麺を入れてその上に挽肉とたっぷりの野菜を乗せて白髪ネギとバターをオン!
ラーメンの熱で少しずつ溶けるバターが堪らん。
匂いも堪らん。

器はラーメン丼に似ているものを選んで収納袋に入れておいた。
他にも色んな食器が入っている。
食器の種類に悩まなくても良いなんて、テントの時も食材の時も思ったけど収納袋様様だ。

そして我が家でラーメンを作る時にはおにぎりもつけるのが鉄則。
俺はひとつで良いけど、太陽はみっつくらい余裕だろうし、他の人もどれくらい食べるかな。
わからないからとりあえず大量に作ってみた。
枝豆の混ぜご飯にしたから緑が良い感じだ。

「ご飯ですよー」
「待ってましたー!」

そう言うと真っ先に駆けてくるのが太陽。
というよりもすぐ傍でスタンバイしてたみたいだけど。
そして続々と騎士団の人達が集まってくる。

「うおー!美味そう!」
「何だそれ、普通のヌードルと違うな」
「ラーメンって言うんだと」
「っかー!めちゃくちゃ美味いぞこれ!」
「箸が止まらん……!」
「米と交互に食うと無限にいける」

などなど、初ラーメンは好評のようで良かった。
みんなの反応に満足して腰に手を当てうんうんと頷いていると、すぐ隣にいたたまに気付いた。

「ちょ、たま!」
「何だ?」
「髪の毛ー!スープに浸かっちゃうじゃん!」

慌てて駆け寄り背後からたまの髪の毛を集める。
この前もそうだったけど、こんなにキレイな髪なのにたまの奴無頓着すぎる。
嫌だよこんなキレイなお兄さんの髪の毛から味噌の匂いがしてきたら。
いや、美味しそうだからそれはそれでアリなのかもしれないけど。

「後ろで纏めとくからね」
「ああ、すまないな」

俺もラーメン食べたいからさっと適当に纏める。
かなり適当に結んだはずなのにこうも絵になるのは何なんだろう。
素材か。
素材の違いか。

「さーて、俺もたーべよ!」
「朝日、これめっちゃ美味い!」
「ほんと?」
「マジマジ、ていうかバターなんてどうしたんだよ」
「決まってんじゃん、これだよこれ」
「……ああ、なるほど」

これと言って見せたのは魔法具のお玉。
バターくらいなら隣国にもあるし、買おうと思えば買えるんだけどどうせならと魔法具で出してみた。

「この子本当に最高だよ、欲しいと思った調味料がパッと出てくるんだもん」
「お玉じゃなくても出せそうだけどな」
「お玉だと上に出してそのまま入れられるから便利なんだよ。それに美味しくなる魔法もかけやすいし」
「美味しくなる魔法?」

太陽の隣でラーメンを上品に食べていたウェイン王子が首を傾げる。
多分ウェイン王子が思っているような魔法じゃない。

「美味しくなーれって思いながら作るんです」
「???それだけで美味しくなるの?」
「気分の問題ですけど、心がこもってる感じするでしょう?」
「ははっ、確かに」

良くお母さん達がやるやつだ。
それを単純にお玉でやってるだけ。
今の所汁ものにしか使えないのが難点だけど。
ちなみに汁もの以外には上に翳してやっていたりする。
やらなくても良いんだけど、やはり気分の問題でなんとなくやりたくなってしまうのだ。
実際に魔力を込めている訳じゃないから魔法はかかってないし、もちろん味に影響なんてない。

「はあああうまー!」

自分で作ったからばっちり自分好みの味になっていて最高。
野菜もしゃきしゃきに炒められてるし麺の固さもばっちり。
味噌風味のスープをコーンと一緒に食べるのがまた美味しい。
一口で甘いしょっぱいを楽しめるのが良い。

おにぎりも豆が良い食感で美味しい。
誰かが言ってたけどおにぎりとラーメンを交互に食べると止まらない。
普通にご飯混ぜて食べても美味しいよね味噌ラーメン。
溶き卵も一緒に混ぜると雑炊みたいになって尚良し。
ご飯足りない人がいたらそれを作ろうかと思っていると。

「朝日、おかわり!」
「俺も!」
「お、俺も欲しい!」
「俺もー!」

なんと、ほとんどの人がおかわり希望だった。
嘘でしょ、ラーメンもかなりの量作ったし、おにぎりも一人みっつは行き渡る計算だったのに。
この人達の胃袋怖い。

……なんて思いつつも、おかわりと言ってもらえるのは嬉しい。

「はい、じゃあおかわりの人スープ持ってきてくださーい」

それぞれスープの中に白いご飯を入れ、白髪ネギを作った時に余った分のネギを刻んで入れる。
そして最後に溶き卵を入れ、ひとつずつお玉でかき混ぜ魔法の力で生だった卵に火を通した。

「うわああこれも美味い!」
「同じミソ味なのに全然違う!」
「最高だー!」
「あ、朝日くん!俺のも早く……!」
「俺も!」
「はーい、ただいま!」

まだかまだかとおかわりを待つみんなの瞳が子供みたいに輝いているのが面白い。
全員分を作り終えた後。

「我にもそれをくれ」
「熱いよ?」
「わかっている」
「ちゃんとふーふーしてね」
「それもわかっている」
「はい、じゃあどうぞ」
「……ん?これは……」
「しー、たまだけにおまけ」

こっそりと残っていた挽肉を混ぜたのに気付いたらしい。
他の人には入れなかったから内緒だ。
配分間違えてちょびっとしか残らなかったんだよね。
最後の最後だからこそ入れられるおまけである。

「残り物には福があるんだよ」
「ふっ、そうか」

人差し指を立てて笑う俺に、たまがふわりと微笑んだ。
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