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4.合格と告白
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「寿志さん!!大学、受かりました!!」
三月のある日。
店のドアが勢いよく開いて、祐飛が飛び込んできた。
「おお、マジか!」
俺はカウンターを拭く手を止めて笑った。
「おめでとう。今日は貸切パーティーだな。ケーキでも焼くか?」
「ほんとですか!」
子どもみたいに目を輝かせる。
……受験を終えたばかりの顔だ。
緊張が抜けて、少し大人びたようで、それでもまだ幼い。
「……あの」
ふと、声のトーンが下がる。
「寿志さんは……受かりましたか?」
小首を傾げて、探るような視線。
俺は、わざと少し間を置いた。
「実はな……」
机を拭きながら、もったいぶる。
「受かった」
「……!」
「まあ、近所の私大だけどな」
次の瞬間。
「やった!!」
思い切り抱きつかれた。
「ちょ、ちょっと……!」
「これで、二人で大学通えますね!」
「別に、同じ大学じゃないだろ」
「それでもです!」
力いっぱい言い切る。
……こいつは、本当に。
嬉しそうな顔を見ると、胸の奥があったかくなる。
それが、少し悔しい。
俺は、20歳からの大学生活だ。
遅いスタートだと思っていたけど——悪くないのかもしれない。
「……寿志さん…」
背筋を伸ばして、こちらを見る。
「改めて、言います」
急に、真剣な顔になる。
「俺と、付き合ってください」
まっすぐで、逃げ道のない言葉。
胸が、どくんと鳴る。
……本当に、しつこい。
でも、三年間。
毎日じゃないにしても、
逃げずに、誠実に、ここに通い続けた。
「……はい」
短く、答えた。
「……はい?」
聞き返される。
「だから」
少し、照れて視線を逸らす。
「付き合うって言った」
祐飛の顔が、ゆっくりと変わる。
驚いて、理解して、
それから——泣きそうになる。
「……マジですか……?」
「言っておくけどな」
先に、釘を刺す。
「今でも、美形は嫌いだ」
「……はい」
「でも」
一息、置く。
「三年も告白され続けて、何もなかったって言うのも嘘だ」
「……」
「そろそろ、信じてみたくなった。それだけだ」
言い終わる前に、抱きしめられた。
「……嬉しいです……」
声が、震えている。
「絶対、幸せにします」
「……何言ってんだよ」
俺は、背中を軽く叩く。
「俺が、幸せにしてやるんだよ」
一瞬、静かになる。
それから、そっと距離を詰めてきて——
「あの……」
「ん?」
「キス、してもいいですか?」
「……調子、乗んな!」
俺は思いっきり抵抗した。
三月のある日。
店のドアが勢いよく開いて、祐飛が飛び込んできた。
「おお、マジか!」
俺はカウンターを拭く手を止めて笑った。
「おめでとう。今日は貸切パーティーだな。ケーキでも焼くか?」
「ほんとですか!」
子どもみたいに目を輝かせる。
……受験を終えたばかりの顔だ。
緊張が抜けて、少し大人びたようで、それでもまだ幼い。
「……あの」
ふと、声のトーンが下がる。
「寿志さんは……受かりましたか?」
小首を傾げて、探るような視線。
俺は、わざと少し間を置いた。
「実はな……」
机を拭きながら、もったいぶる。
「受かった」
「……!」
「まあ、近所の私大だけどな」
次の瞬間。
「やった!!」
思い切り抱きつかれた。
「ちょ、ちょっと……!」
「これで、二人で大学通えますね!」
「別に、同じ大学じゃないだろ」
「それでもです!」
力いっぱい言い切る。
……こいつは、本当に。
嬉しそうな顔を見ると、胸の奥があったかくなる。
それが、少し悔しい。
俺は、20歳からの大学生活だ。
遅いスタートだと思っていたけど——悪くないのかもしれない。
「……寿志さん…」
背筋を伸ばして、こちらを見る。
「改めて、言います」
急に、真剣な顔になる。
「俺と、付き合ってください」
まっすぐで、逃げ道のない言葉。
胸が、どくんと鳴る。
……本当に、しつこい。
でも、三年間。
毎日じゃないにしても、
逃げずに、誠実に、ここに通い続けた。
「……はい」
短く、答えた。
「……はい?」
聞き返される。
「だから」
少し、照れて視線を逸らす。
「付き合うって言った」
祐飛の顔が、ゆっくりと変わる。
驚いて、理解して、
それから——泣きそうになる。
「……マジですか……?」
「言っておくけどな」
先に、釘を刺す。
「今でも、美形は嫌いだ」
「……はい」
「でも」
一息、置く。
「三年も告白され続けて、何もなかったって言うのも嘘だ」
「……」
「そろそろ、信じてみたくなった。それだけだ」
言い終わる前に、抱きしめられた。
「……嬉しいです……」
声が、震えている。
「絶対、幸せにします」
「……何言ってんだよ」
俺は、背中を軽く叩く。
「俺が、幸せにしてやるんだよ」
一瞬、静かになる。
それから、そっと距離を詰めてきて——
「あの……」
「ん?」
「キス、してもいいですか?」
「……調子、乗んな!」
俺は思いっきり抵抗した。
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