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世界大会編
食べ物の恨みは恐ろしい
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向日葵が釣り上げようと格闘している大きなレインボーサーモン。
それを狙って何かが近づいてきている。
「ひぃちゃんの!ダメ!ひぃちゃんのなの!!!」
御剣家に5つ存在する禁忌。
通称、 五大禁忌。
家族を悲しませてはいけない。
桜に胸の話をしてはいけない。
桜の料理に文句を言ってはいけない。
そして今明かされる4つ目。
向日葵のものに手を出すな。
主に食べ物。
特にデザートが対象となる事が多い。
この世界に来て初めて向日葵が露わにした怒りという感情。
喜怒哀楽のうち、本気で怒るところは見せたことがなかったため、守護者たちもフィーネたちも驚いた。
その驚きを吹き飛ばすかのように、レインボーサーモンに迫る魚影に向けて向日葵は雷魔法を放った。
「ほほう。見事じゃな」
魔素を練り発動するまでも速く、選択した魔法の種類も正しい。
感心してリルが言葉を漏らした。
大人のように頭で考えているわけではなく、心の赴くままに動いてるからこその滑らかさだ。
バリバリバリィ!
「ひぃちゃんのかちぃ!」
レインボーサーモンを追っていたであろう巨大なデーモントラウトという魚は感電し、水面へを浮かんだ。
それを見て向日葵は勝利のポーズを決め、再び糸を巻き始めた。
「す、凄い量だね」
デーモントラウトに向けて放った雷魔法により、向日葵が釣ろうとしていたレインボーサーモンはもちろん、近くにいた様々な魚が巻き添えを喰らい水面に浮かんだ。
感電したショックで気絶はしているが死んでもいなければ焦げてもいないようだ。
「みてみて!ひぃちゃん1ばん!わーい!」
「やりましたね。ヒマちゃん様。凄いです」
ユグドラシルの補助と桜の支援魔法に助けられながら、向日葵はやっとの思いでレインボーサーモンを釣り上た。
ユグドラシルにも褒められ、向日葵は喜びのあまり不思議な踊りを始めた。
「見事な雷魔法であったな。大したものだ」
「凄いわね。私でも釣り上げられないくらいの大物じゃないの」
「きゅるるる!」
守護者もそれぞれ向日葵を褒めるために近寄る。
ドラコに至っては大げさにもほどがあるが、悪いことではないため指摘しないでおこう。
「凄い凄い!一番大きいね!」
「お姉ちゃん本当に負けちゃったね!凄いねぇ!」
蓮と桜も褒めちぎり、フィーネたちは頷きながら拍手で称えた。
向日葵の機嫌はより一層良くなり、勝利の舞だろうか不思議な動きを始めた。
万が一にも蓮が勝っていれば向日葵の機嫌は一日中悪かっただろう。
本当に向日葵が優勝でよかった。
「きゅるる」
向日葵がひとしきり褒められた後、カエデが向日葵の頭から飛び立った。
水面の浮く魚たちの上で止まり、魔素を高め、木の蔓を編んで網を作り、その網を引くように蓮の元へと戻ってきた。
「す、すごいね」
「きゅるるぅ!」
カエデの作った網にはキングトラウトやクイーンサーモン、デーモントラウト、スイートフィッシュなど向日葵が感電させた様々な魚が入っていた。
型も良く、最も大きいものはデーモントラウト。
向日葵と変わらないくらいに大きいため、100CMほどあるのではないだろうか。
カエデは網の綱を蓮に渡し、肩に止まり、褒めてくれと言わんばかりに頭を下げた。
「本当になんでもできるね。ありがとう」
蓮が撫でると嬉しそうに小さく鳴き、満足げに向日葵の頭へ戻り伏した。
「さぁ、片付けて朝食にしましょうか」
第一回テルセニア釣り大会は無事に向日葵の優勝で閉会。
蓮は網の魚を収納しながら、朝食を促した。
「うん。魚の下処理すぐ終わらせるねぇ」
そう言うと桜は風魔法で素早く魚たちを3枚に下ろし、湖でさっと洗い収納した。
出た生ごみは風魔法で湖の中央付近に運び捨てると、魚が音を立てて群がった。
向日葵が全滅させていなくてよかった。
「桜。この魚たちであれできないかな?」
「私も同じこと考えてた。後で確認しておくね」
全員で食堂に向かう中、蓮と桜は何かを思いついたようだ。
朝食は蓮のリクエストに応じて魚の塩焼きと味噌汁と白米。
向日葵の号令で食事を始める。
どの種類の魚も脂が乗っており、小骨も少なく食べやすい。
焦げた皮も美味さしかない。
「くぅぅ!ネギが良い仕事してくれるぜぇ!」
「絶対に言うと思ったよ。蓮兄ネギ好きだもんね」
桜が昨晩にカエデに頼んで青ネギと長ネギの畑を増設。
味噌汁に刻んで入れたのだ。
薬味ができた事で味の幅が格段に広がった。
「ふん。大袈裟じゃのう」
ネギの破壊力を知らないリルが言葉にした。
聞き捨てならない。
「リル、ドラコ。すり潰したニンニクとネギを混ぜて肉に乗せて食べるとね。世界が変わるほどの奇跡が起きるんだよ」
蓮は意味深な表情を浮かべ、眉を動かしながらリルとドラコに伝えた。
その言葉に、肉に齧り付いていた2人は止まり、桜を見た。
「まぁまぁまぁ。ネギくらいでって思ってるんなら聞き流してくれても良いんだけどね?」
ダメ押しと言わんばかりに蓮は畳みかけた。
そのままでも涎が出る美味さ。
そこに桜の調理が加わり革命的とも言える美味さ有している。
それがさらに?
世界を変えるほどに?
リルとドラコはゆっくりと桜を見た。
「も、もう!ちゃんと言葉にしなよ!」
桜を見つめ涎を垂れ流すリルとドラコ。
桜は慌てておろしニンニクとカットネギを作り、リルとドラコの食べていた肉塊に塗り込んだ。
嗅覚の鋭い2人には、食べずして美味さが伝わった。
桜が塗り終わる瞬間には齧り付いていた。
「なんたる美味じゃ!」
「こ、こんなの食べたら他のもの食べれないじゃいの!」
蓮は『そうだろうそうだろう』と言葉にしながら頷き納得した。
「ひぃちゃんも!ひいちゃんも!」
「ぬ、ぬぅ。わ、我のものを少しやろう。少しじゃぞ」
あまりの美味さに、過保護代表のリルが量に制限をかけた。
桜がリルの口のつけていない部分を切り取り、少量のニンニクとネギを乗せて向日葵の口に運ぶ。
「んんっんん!んんんんー!」
おそらく『最っ高!おいしいー!』と言っているのだろう。
目を輝かせながら咀嚼している。
その様子をを見てウィステリアも涎を流す。
「み、みなさんにも少し出しましょうか?」
ウィステリアだけでなく、フィーネもフローネもリルたちを見て箸が止まっている。
桜が声をかけると首がとれるほどに頷いた。
「うっっっまーーーい!」
「こ、これは美味しいですね!」
「今まで食べたお肉の味付けで1番ですよ!」
ホーンブルの切れ端を焼き、おろしニンニクとカットネギを混ぜて乗せて食べる。
蓮の言葉が過言ではないかった事が証明された。
「まぁ、食後に口が臭くなるのが難点なんですけどね」
蓮が笑いながら言うと女性陣は口臭を気にして口を噤んだ。
その様子を見て桜は浄化を発動。
一瞬にして全員のニンニク臭さを消してみせた。
「そうか!その手があったか!」
「えっへん!盲点だったでしょぉ」
蓮の驚きに桜は自慢げに言葉にした。
元いた世界では一苦労も二苦労もしたニンニクの匂い。
この世界では気にせず好きな時に好きなだけ食べられそうだ。
それを狙って何かが近づいてきている。
「ひぃちゃんの!ダメ!ひぃちゃんのなの!!!」
御剣家に5つ存在する禁忌。
通称、 五大禁忌。
家族を悲しませてはいけない。
桜に胸の話をしてはいけない。
桜の料理に文句を言ってはいけない。
そして今明かされる4つ目。
向日葵のものに手を出すな。
主に食べ物。
特にデザートが対象となる事が多い。
この世界に来て初めて向日葵が露わにした怒りという感情。
喜怒哀楽のうち、本気で怒るところは見せたことがなかったため、守護者たちもフィーネたちも驚いた。
その驚きを吹き飛ばすかのように、レインボーサーモンに迫る魚影に向けて向日葵は雷魔法を放った。
「ほほう。見事じゃな」
魔素を練り発動するまでも速く、選択した魔法の種類も正しい。
感心してリルが言葉を漏らした。
大人のように頭で考えているわけではなく、心の赴くままに動いてるからこその滑らかさだ。
バリバリバリィ!
「ひぃちゃんのかちぃ!」
レインボーサーモンを追っていたであろう巨大なデーモントラウトという魚は感電し、水面へを浮かんだ。
それを見て向日葵は勝利のポーズを決め、再び糸を巻き始めた。
「す、凄い量だね」
デーモントラウトに向けて放った雷魔法により、向日葵が釣ろうとしていたレインボーサーモンはもちろん、近くにいた様々な魚が巻き添えを喰らい水面に浮かんだ。
感電したショックで気絶はしているが死んでもいなければ焦げてもいないようだ。
「みてみて!ひぃちゃん1ばん!わーい!」
「やりましたね。ヒマちゃん様。凄いです」
ユグドラシルの補助と桜の支援魔法に助けられながら、向日葵はやっとの思いでレインボーサーモンを釣り上た。
ユグドラシルにも褒められ、向日葵は喜びのあまり不思議な踊りを始めた。
「見事な雷魔法であったな。大したものだ」
「凄いわね。私でも釣り上げられないくらいの大物じゃないの」
「きゅるるる!」
守護者もそれぞれ向日葵を褒めるために近寄る。
ドラコに至っては大げさにもほどがあるが、悪いことではないため指摘しないでおこう。
「凄い凄い!一番大きいね!」
「お姉ちゃん本当に負けちゃったね!凄いねぇ!」
蓮と桜も褒めちぎり、フィーネたちは頷きながら拍手で称えた。
向日葵の機嫌はより一層良くなり、勝利の舞だろうか不思議な動きを始めた。
万が一にも蓮が勝っていれば向日葵の機嫌は一日中悪かっただろう。
本当に向日葵が優勝でよかった。
「きゅるる」
向日葵がひとしきり褒められた後、カエデが向日葵の頭から飛び立った。
水面の浮く魚たちの上で止まり、魔素を高め、木の蔓を編んで網を作り、その網を引くように蓮の元へと戻ってきた。
「す、すごいね」
「きゅるるぅ!」
カエデの作った網にはキングトラウトやクイーンサーモン、デーモントラウト、スイートフィッシュなど向日葵が感電させた様々な魚が入っていた。
型も良く、最も大きいものはデーモントラウト。
向日葵と変わらないくらいに大きいため、100CMほどあるのではないだろうか。
カエデは網の綱を蓮に渡し、肩に止まり、褒めてくれと言わんばかりに頭を下げた。
「本当になんでもできるね。ありがとう」
蓮が撫でると嬉しそうに小さく鳴き、満足げに向日葵の頭へ戻り伏した。
「さぁ、片付けて朝食にしましょうか」
第一回テルセニア釣り大会は無事に向日葵の優勝で閉会。
蓮は網の魚を収納しながら、朝食を促した。
「うん。魚の下処理すぐ終わらせるねぇ」
そう言うと桜は風魔法で素早く魚たちを3枚に下ろし、湖でさっと洗い収納した。
出た生ごみは風魔法で湖の中央付近に運び捨てると、魚が音を立てて群がった。
向日葵が全滅させていなくてよかった。
「桜。この魚たちであれできないかな?」
「私も同じこと考えてた。後で確認しておくね」
全員で食堂に向かう中、蓮と桜は何かを思いついたようだ。
朝食は蓮のリクエストに応じて魚の塩焼きと味噌汁と白米。
向日葵の号令で食事を始める。
どの種類の魚も脂が乗っており、小骨も少なく食べやすい。
焦げた皮も美味さしかない。
「くぅぅ!ネギが良い仕事してくれるぜぇ!」
「絶対に言うと思ったよ。蓮兄ネギ好きだもんね」
桜が昨晩にカエデに頼んで青ネギと長ネギの畑を増設。
味噌汁に刻んで入れたのだ。
薬味ができた事で味の幅が格段に広がった。
「ふん。大袈裟じゃのう」
ネギの破壊力を知らないリルが言葉にした。
聞き捨てならない。
「リル、ドラコ。すり潰したニンニクとネギを混ぜて肉に乗せて食べるとね。世界が変わるほどの奇跡が起きるんだよ」
蓮は意味深な表情を浮かべ、眉を動かしながらリルとドラコに伝えた。
その言葉に、肉に齧り付いていた2人は止まり、桜を見た。
「まぁまぁまぁ。ネギくらいでって思ってるんなら聞き流してくれても良いんだけどね?」
ダメ押しと言わんばかりに蓮は畳みかけた。
そのままでも涎が出る美味さ。
そこに桜の調理が加わり革命的とも言える美味さ有している。
それがさらに?
世界を変えるほどに?
リルとドラコはゆっくりと桜を見た。
「も、もう!ちゃんと言葉にしなよ!」
桜を見つめ涎を垂れ流すリルとドラコ。
桜は慌てておろしニンニクとカットネギを作り、リルとドラコの食べていた肉塊に塗り込んだ。
嗅覚の鋭い2人には、食べずして美味さが伝わった。
桜が塗り終わる瞬間には齧り付いていた。
「なんたる美味じゃ!」
「こ、こんなの食べたら他のもの食べれないじゃいの!」
蓮は『そうだろうそうだろう』と言葉にしながら頷き納得した。
「ひぃちゃんも!ひいちゃんも!」
「ぬ、ぬぅ。わ、我のものを少しやろう。少しじゃぞ」
あまりの美味さに、過保護代表のリルが量に制限をかけた。
桜がリルの口のつけていない部分を切り取り、少量のニンニクとネギを乗せて向日葵の口に運ぶ。
「んんっんん!んんんんー!」
おそらく『最っ高!おいしいー!』と言っているのだろう。
目を輝かせながら咀嚼している。
その様子をを見てウィステリアも涎を流す。
「み、みなさんにも少し出しましょうか?」
ウィステリアだけでなく、フィーネもフローネもリルたちを見て箸が止まっている。
桜が声をかけると首がとれるほどに頷いた。
「うっっっまーーーい!」
「こ、これは美味しいですね!」
「今まで食べたお肉の味付けで1番ですよ!」
ホーンブルの切れ端を焼き、おろしニンニクとカットネギを混ぜて乗せて食べる。
蓮の言葉が過言ではないかった事が証明された。
「まぁ、食後に口が臭くなるのが難点なんですけどね」
蓮が笑いながら言うと女性陣は口臭を気にして口を噤んだ。
その様子を見て桜は浄化を発動。
一瞬にして全員のニンニク臭さを消してみせた。
「そうか!その手があったか!」
「えっへん!盲点だったでしょぉ」
蓮の驚きに桜は自慢げに言葉にした。
元いた世界では一苦労も二苦労もしたニンニクの匂い。
この世界では気にせず好きな時に好きなだけ食べられそうだ。
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