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第一部
第35話 ※
しおりを挟むグラスに赤い液体が注がれた。透ける液体をエルーシアが覗き込む。
「これはワイン?お酒も飲むの?」
「相乗効果です。酒は少しならリラックス効果があります」
「お酒は初めて飲むわ。美味しいの?」
「どうでしょう。女性に好まれる甘いものを選びました」
エデルが焦茶の板を摘みエルーシアに見せる様に口に入れる。ゆっくり咀嚼しワインを口に含み嚥下した。同じようにエルーシアも焦茶のそれを摘み少し齧る。最初は甘いと思ったが後からほろ苦さが口に広がった。流し込もうとグラスを口につけたがワインの濃厚な香りが鼻を抜け咄嗟に口を離す。
「すごい香りね」
「初めてではお辛いですね」
エデルがもう一欠片を口に入れてワインを含む。そしてエルーシアを抱き寄せ口づけてきた。舌で突かれ口を開けば甘い液体と砕かれた欠片が流し込まれた。口から抜ける香りと舌を焼く様な刺激にエルーシアが顔を顰める。舌を絡ませあえば口内でドロリと欠片が溶けた。甘い液体とほろ苦い味をそんままごくんと飲み込めば胃が焼けつく様に熱くなる。息苦しくて浅い息を繰り返した。
「ハァ‥アァ‥‥」
「もう一つ」
エデルが板を咥え口づけてきた。欠片が舌でエルーシアの口内奥に押し込まれる。深い口づけの中でそれも溶けるが、苦いと感じたそれが今はとても甘く感じられた。流し込まれた唾液と共にこくんと飲み込む。酷い目眩でくらくらする。とても熱いのに体の奥にゾクゾクと寒気のような震えが走る。膣の奥が酷く疼く。明らかにいつもと違う。エルーシアは初めての媚薬による興奮状態に怯え助けを求める様にエデルに縋りついた。
「ハァ‥エデル‥たすけ‥何かへん‥」
「もう効いてきたみたいですね。初めては効きが良いですから」
「あつぃの‥からだ‥が‥‥」
「それは酒の効果ですね」
グラスいっぱいに注がれたワインを目の前で平然と呷りエデルが微笑んだ。その笑みにさらに体がじわりと熱くなる。
エデルに優しく押し倒され服を脱がされる音がするもくぐもってよく聞こえない。とにかく熱くて息苦しい。ドレスを脱がされれば息苦しさが和らいだ様に感じられた。下着代わりに着ていた夜着越しに抱きしめられ、二人の吐息が溶ける。抱きしめられただけ、それがこれ程に気持ちいい。
「エデ‥ぁん‥ハァ‥ヤァん‥」
「善くなってきましたか?」
一緒に食べたはずにエデルに一見変化はない。だがタイを外し襟元を緩めた首筋に汗が滴っている。淡いランプの灯りを背にエルーシアを見下ろすエデルの虎目石の瞳が金色に光っているように見えた。
エデルも興奮しているの?
その首筋に手を這わせればエデルの体がびくりと震えた。髪を束ねる紐を解けば褐色の髪がエデルの顔にかかった。エデルはその髪に指を絡めるエルーシアの手を取りシーツに縫いとめる。
「刺激しないでください。我慢が利かなくなる」
「がまん‥しないで‥」
「優しくしたいのに‥なぜそう煽ることを言うんですか?!」
暗闇でも輝く飴色の瞳を細める。吐き捨てるようなセリフ。そして飢えた様にエルーシアを抱きしめ体を弄りだした。エルーシアの熱い吐息がエデルに呑み込まれる。その気持ちよさにエルーシアから涙が溢れ出した。
エデルは忙しく自分の服を脱ぎ捨てながらエルーシアの夜着をはぎとる。乱暴に口を暴かれ胸を揉まれ乳頭を擦られる。いつもの優しい愛撫と違うが薬のせいで体が恐れより快感を拾いビクビクと跳ねる。耳を舐られ齧られれば声を堪えきれない。
「ハァ‥ハァ‥それダメ‥エデル」
「声‥もっと出して‥声を聞きたい‥ずっと聞けなかったから‥」
熱い吐息混じりにそう囁かれ体の奥から熱いものがじわりと溢れ出す。体が炙られたように熱い。体の奥が疼いて辛い。息苦しい。このままでは溺れてしまう。堰を切ったように貪るエデルに助けを求めて逞しい裸体に縋りついた。
「エデル‥もうつらぃ‥ぁん‥」
「ここ‥?」
膝を折られ脚が大きく開かれる。以前は見られることがとても恥ずかしかったが今は酷い疼きでそれどころではない。明るい中で抵抗なく開かれるそこを見下ろすエデルの視線でぞくぞくと背筋を快感が走る。エデルはエルーシアの手を両膝に導いた。
「膝開いて‥自分で押さえて‥ああ、濡れてる‥こんなに。気持ちいいんだ?」
「イィ‥きもち‥エデル‥はやく‥さわって‥」
秘裂を辿り蜜口を指でなぞられビクビクと震えが止まらない。蜜を纏った指が秘肉を探り、開脚で晒け出され硬く膨らんだ肉芽を撫でる。円を描くような指の淫らな動きにエルーシアは堪らず泣き叫んだ。上半身がびくんと大きく跳ねる。寝室にエルーシアの悲鳴のような嬌声が響いた。
「ぃやァッ ああァ‥ンッ エ‥デル‥ぁんッあぁッアアァッ」
「フフッいい声‥ここにも‥キスしないと‥‥もっと善く‥」
獰猛な笑みを浮かべたエデルがエルーシアの秘所に顔を近づける。熱い吐息と共に蜜口に深く口づけられ膣道に舌を差し込まれた。じゅぼじゅぼと尖る舌を抜き差しして膣壁を舐め未だ無垢な膣中を蹂躙する。その初めての口淫にエルーシアの体が陸に上がった魚のように跳ねるもエデルに両腕で太腿を抱き込まれていて動けない。指で転がされ舌で舐られて唇で食まれて。触れられ舐められたところが熱く疼く。
「ハァ‥‥エ‥ハァ‥あつッああァんッヤァァッ」
性急な愛撫、でも滾る今は何をされても快感しかない。息苦しい。涙が止まらない。浅い呼吸の中でその口淫の嬌悦に身悶え、耐えられず背が弓の様に反った。
蜜口から長い指がエルーシアの中に侵入する。指を出し入れせず膣壁を探られ、ざらつく一点を擦り上げられる。寝室で睦み合った夜に散々攻められた場所。そこは媚薬で神経に繋げられたようになっていた。
「エデルッそこダメ‥おかしくなっちゃ‥あ‥あ‥あぁッィヤァアッ」
「おかしくなって‥もっと善くなって‥」
指で膣壁を擦りあげられ秘裂に熱い舌を這わされ、エルーシアは顔を仰け反らせ体は狂ったようにのたうった。逃れようと身をよじっても腰を抱き込まれ拘束された快楽から逃れられない。じゅぶじゅぶと蜜口から蜜が溢れそれをエデルが音を立てて啜り上げる。もう何をされても気持ちがいい。嬌声と咽び泣きが寝室に響く。
「ヤッもうダメッやめてッもぅゆるし‥」
真っ赤に熟れた秘芯を舌で転がししゃぶるエデルがわずかに顔をあげ涙するエルーシアを見上げた。感じやすいところに吐息がかかりそれさえも刺激になった。
「確か‥これも‥善かったよね?エル‥イって」
「————ひんッ それダメッダッあッあッアァァッ」
何をされるか悟ったエルーシアがもがいたがエデルの顔が股間に深く埋められ赤く勃ちあがった秘芯を優しく齧られた。以前の寝室の淫行でそこを散々歯で貪られて攻められて愛された。愉悦が込み上げ強烈な快楽が一気に体を駆け抜けて脳を直撃した。強すぎる快楽に体がビクビクと痙攣する。音も視界もない世界。その孤独に恐怖を感じ真っ白な思考の中で両手が空を掻いてエデルを探した。
「エデル‥どこ‥エデル‥」
「エルシャ様‥僕はここです」
「エデル‥」
震える体を抱き寄せられ流れる涙がキスで吸い取られた。ぬくもりが嬉しくてぎゅっとエデルを抱きしめる。
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