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第三章 ウサギとオオカミの即位編

第三十三話 ※※ 「これも悪くない」①

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 ぐったりと力なく首にすがりつく私を横抱きに、アウル様が城の廊下を無言でずんずん進む。私の寝室に近づけば侍女達が心得た様に下がっていく。これから起こることを悟られていると思うと気恥ずかしくて勝手に顔が赤くなった。その様子にアウル様が笑みを溢す。

「ん?まだ慣れないのか?」
「慣れません、こんなの‥‥」
「問題ないだろ?夫婦なんだから」

 アウル様が私の部屋の寝室を通り抜けて躊躇いなく浴室に向かう。私の部屋の浴室はものすごく立派で普通の部屋サイズの上に浴槽は一日中温泉が引き込まれている。思い立ったらすぐお風呂に入れる贅沢仕様だ。

 その浴室に向かうアウル様の意図に気がついて制止の声を上げた。

「え?お風呂入るんですか?!」
「要らないか?いい匂いがなくなるのは勿体無いしな。お前が気にするかと思ったがこのままでいいならベッドに‥‥」

 私の首筋に顔を埋めてくんくん匂いを嗅ぎながらベッドに早足に向かおうとするアウル様を慌てて制する。

「じゃなくて!やだ!もう匂い嗅がないで!入りますよ?私一人で!」
「なんだ入るのか。時間が惜しい。風呂なら二人で問題ないだろ?夫婦なんだから」
「夫婦って‥‥そのセリフで全部片付けるつもりですか?!雑すぎます!!」
「風呂なんて今更どうってことない」
「それはアウル様がでしょ!ダメッ!ホントダメですッ!!」

 そう!お風呂は私の最後の牙城だ。まだアウル様の侵入を許していない。今更感はあるけど明るいところでアウル様にまだ私は裸を見せてない。さっきの着替えもギリギリ下着姿だ。それにお風呂はえっちな感じがする。だから死守してたのに。

 だがこの男は今そこに侵入しようとしている。そして私は本日の崖を飛び降りるという鬼畜絶叫コースの後でぐったりしていて全然抵抗ができないのだ。

 これは絶対に悪意がある!計画的犯行だ!

「だッ!ダメですって!お風呂だけは~!」
「そーらいい子だ。俺が泡泡でキレイに洗ってやるからな。よーしよし」
「ホントダメですッ明るいところで裸を見られるとか恥ずかしすぎる!!」
「そんなに喜んで嬉しいか?今脱がせてやるから。ホント俺のウサギは可愛いなぁ」

 ぎゃぁぁッダメだって!毎度のことだけど全然話を聞いてくれないし!

 力の入らない体で何とか暴れる私に構わずアウル様は洗い場に入った。そして魔法の様に私は服を剥ぎ取られ、そのまま鼻歌混じりに肘に乗せられ片腕で抱えられる。アウル様は移動しながら服を脱ぐという器用芸だ。そして二人でざぶんと浴槽の湯に浸かった。

 浸かってしまった。あっさりと。
 お風呂とは思えない広さの浴室に私の悲痛の声が響いた。無駄だけど何とか両手で裸の体を隠そうとする。

「ああぁッ!私の砦が!最後の牙城が!!」
「よくわからんが俺は嬉しいな。ウサギと一緒で癒される」

 二人並んでもゆったりな大きい浴槽なのにアウル様の膝の間に置かれて背後から抱きしめられた。ツインテールのリボンが解かれ湯に髪が落ちたところをアウル様の手で髪が耳にかけられる。優しく扱われて私の心はあっさりと喜びでうっとりとなった。

 うぅ、私ってば毎度なんてチョロい‥‥

「しかしなんで風呂をそこまで嫌がった?ウサギは水が嫌いか?」
「違います!お風呂は好きです!でもアウル様と一緒はちょっと‥‥」
「ちょっと?」

 真っ赤になってもじもじ言いよどめばアウル様が無遠慮にツっこんでくる。

 そこは察して欲しかったのだが。恥ずかしいでしょ!はっきり言わせたいのか?どうせなら牽制のためにも言っておこうかな。

「だって‥浴室は声が響くし」
「うん?」
「広くてなんか色んなことできそうだし。明るいし。色々見えちゃって恥ずかしいし」
「‥‥‥‥‥」
「石鹸ぬるぬるだし。汚れてもすぐ洗えちゃうし。リラックスしてるから開放的だし」
「‥‥‥‥‥」
「百戦錬磨のアウル様のことだからどうせ色んなエロエロなことしたがるでしょ?絶対ダメですからね!!」

 牽制成功!とばかりに鼻息荒いドヤ顔の私にアウル様の感心したような声が響く。

「‥‥そうか、風呂場はそんなにイイのか。知らなかった」
「はい?」

 ぼそりとつぶやいたアウル様の言葉に耳を疑い、そしてギョッとする。

「え?今なんと?」
「風呂場の良さを初めて知った。言われてみれば確かにそうだな。良いことづくめだ。流石は俺のウサギだ。発想が柔軟だ」
「え?うそ?冗談‥ですよね?」

 ぎゃぁぁ?!なんか私、余計なこと言った?!

 アウル様のスイッチが入り粘るような色気がダダ漏れに溢れ出した。濃厚な色香にこっちが鼻血吹きそうだ。

「他は試したが風呂場はまだだったな、そういえば。こんなに素晴らしく誘われては乗るしかないじゃないか。んじゃ早速堪能するか」
「い!いやいやいや!違います!誘ってません!ここは滑りやすいですし危ないです!のぼせたり湯冷めの心配もあるんで!安全性と健康上の観点からやはり浴室は危険です!やめましょう!」
「ここでお約束の寸止め焦らしか?逆効果だ。誘ったのはお前だろ?危ないからお前はじっとしていればいい。俺が動く。長く浸からなければのぼせないだろうしな」

 そう言うアウル様の手がウキウキと私の体を這い出した。脇の下から回された両手が私の乳房をゆっくりと揉みしだく。頂を同時にくすぐるように転がしてみせた。
 私が悶え動けば湯がザバリと鳴って浴槽から溢れる。それでも私は必死で声を殺した。

 浴室でなんて!意地でも叫ぶもんか!!

「———— ッ!!」
「気持ちイイだろ?声我慢するなよ?」
「———ダメッ‥‥響くッ」
「ふーん?いいのか?逆に燃えるぞ?絶対哭かせてやるってな」

 ぎゃぁぁ?!そこでなぜに負けん気が出てきます?!

 尖る乳首を擦りながらアウル様は私の耳にしゃぶりついた。舌を耳孔にねじ込んで舐め上げる。同時に弱いところを攻められて狂おしい快楽に暴れる私の動きで湯がさらにバシャバシャと乱れた。

「ハァ‥‥ッダ‥メ‥ッ!」
「どこまで耐えられるかな?」

 アウル様が悶える私の体を膝上に持ち上げて石鹸を塗りつける。ひんやりとした石鹸でコリコリと胸の尖りを転がされれば気持ちよくってさらに硬くなってしまう。アウル様の手がぬるぬると胸や首筋を滑った。

「————ッ!!」
「お、ぬるぬるすっごいイイな」

 私を湯から出して浴槽の縁に座らせアウル様が口づけてきた。深いキスに私の甘い声が飲み込まれる。同時に私の全身を石鹸を泡立てた手で愛撫してきた。
 泡まみれの私にアウル様が硬い体を擦り付けてくる。抱き合いぬるりと滑りながら胸の頂が擦られてそれがとても気持ちがいい。

「ふぁァ‥‥‥ッ」
「さて、あとはどこを洗おうか?」

 意地悪い囁きと共に私の体中を泡まみれにしてアウル様の手がぬるぬると撫で回す。その愛撫に悶えていれば手を取られアウル様の体に導かれた。
 私もアウル様の胸板や頂に手を這わせればアウル様が嬉しそうに目を細める。

「気持ちいいですか?」
「ああ、でもくすぐったいな」

 硬い胸板から見事に割れた腹筋をたどり手をそそり立つアウル様自身に這わせれば、アウル様から苦悶の声が聞こえた。
 薄暗い閨では毎夜触れていたが、明るいところで見るのは初めてだ。初めてみるアウル様は少し浅黒くて他の筋肉同様に硬そうで大きい。これが私の中に入って気持ちよくしてくれてると思えばドキドキした。

 震える両手で包み込んでぬるりと擦り上げれば手の中でさらに硬く大きくなり、生き物のようにびくんびくんと震える。アウル様の荒い息が聞こえた。
 アウル様が感じていると思えばゾクゾクと歓喜の震えが駆け抜けた。泡のついた手に少し力をこめてぬるぬると扱いていれば、苦笑と共にアウル様に止められてしまった。

 
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