【完結】にゃん!てステキなおんがえし!

ユリーカ

文字の大きさ
52 / 53

最終話: 最後の恩返し発動!《アリス》②

しおりを挟む



 

「みんな大はしゃぎだね?」
「こういう無礼講は滅多にないからね。街では一週間お祭りだよ」
「みんなにお祝いされて嬉しいな」

 リオンがちらりと背後に視線を向ける。誰もいないバルコニー。喧騒がホールから聴これるがここは静かな二人だけの世界だ。

「えっと、ありす、渡したいものがあるんだ。受け取ってくれる?」
「ん?なあに?」

 リオンが緊張したようにしっぽをそわそわと振る。そして胸ポケットを探り何やら取り出した。その一つをアリスに渡す。それは銀色の指輪だ。

「猫族には指輪を嵌める習慣はないからね。でもじいちゃんたちは嵌めてたからさ、理由を聞いたんだよ」
「え?」

 驚くアリスの左手薬指にリオンがするりと指輪をはめる。それはリオンとツガイになれたという証。胸のドキドキが止まらない。

「人の姿限定になっちゃうけど。持っていてほしい」
「うん‥うん‥ありがとう。大事にするね」

 アリスは愛おしげに指輪を撫でる。リオンの気遣いが嬉しい。式は猫族の国で行われた。人族の国でも披露宴は行う予定だったからアリスは全く気にしていなかった。

「ボクのもつけてくれる?」

 アリスはお揃いの指輪をリオンの薬指に嵌めた。にっこり微笑んだリオンがアリスの両手をとった。 

「あの日ボクのことを見つけてくれてありがとう。あの時ありすに助けてもらえたから今幸せになれたんだ」
「私も凄く幸せだよ。あの日市場で助けてくれてありがとう。恩返しの魔法を使ってくれてありがとう。ずっとずっと一緒にいてね」

 リオンとずっと一緒にいたいと願った。
 その望みが今形になって叶った。

 すごいすごい‥願いが叶った。夢みたい‥

 抱き寄せられたアリスがリオンの腕の中で涙ぐんだその時二人の耳に鐘の音が響く。驚く二人に天から降るような声が聞こえた。


 ———恩返しが成就しました


 耳に囁かれる声は天から降ってくる声。今まで何度か聞こえた声、それが天の理の声だと半妖精になったアリスは理解していた。

「え?なんで?このタイミング?」
「え?これは?」
「恩返しが成功したんだよ」

 リオンから恩返しの魔法のことは聞かされていた。アリスの探し物を見つけるという。だがこのタイミングで何が見つかったのだろう?

 リオンは目を閉じて何やら集中していたがふと苦笑をこぼした。

「ボクは随分難しい恩返しを叶えようとしてたみたいだ。“望みを叶えて探し物を見つける”。ありすの探し物と望みは叶ったかな?」

 探し物‥に望み‥?

 そこでアリスは初めて自覚する。自分はずっとずっとリオンを探していたのだと。漠然と満たされない日々の中で取っ替え引っ替え猫を拾ってきた。でも見つからず何を探しているのかもわからず持て余した思いは見つけた猫がリオンではなかったから。だがようやくリオンを探し出して一緒にいたいという望みが叶った。

「うん、りおん君が見つかって一緒にいて欲しいと思ったから。私の望み、これからもずっと叶えてくれる?」

 アリスの囁きにリオンが目を瞠る。そして眩しげに微笑んだ。

「じゃあありすの望みが叶う様におまじないをかけようね」

 リオンがアリスの両手を取った。リオンはしっかりとアリスを見つめ口を開くが声は聞こえない。それは声なき魔法語ルーン。耳に響かない不思議な声だ。


 ———ありすのそばを離れません。一生かけてありすを幸せにします

 ———受け入れられました

 ふわりと温かい魔力がアリスを包み込んだ。

「りおん君?」
「今、魔法をかけたんだよ。ありすのそばを離れません、一生幸せにしますって。望みが叶うまでボクはありすから離れられない魔法。ずっと一緒だっておまじない」
「りおん君‥すごい‥すごく嬉しい」

 ステキなおまじない
 ずっと一緒にいると約束してくれた

 アリスの目から雫が溢れて流れ落ちた。リオンに抱き寄せられればさらに涙が溢れ出した。アリスを抱きしめたリオンから笑みが溢れた。

「あぁそうか。じいちゃんが最強だったわけがわかった気がする」
「え?」
「恩返しの魔法は魔力がとても強くなるんだ。きっとじいちゃんもこの魔法をばあちゃんに使ったんだよ。無敵の猫王が恩返しの魔法で最強になったんだ」

 リオンが輝く笑顔を弾けさせた。

「カラバ家から貰ったのはただの長靴だったけど、もうじいちゃんは最強だったんだ。ただの長靴が神器と思えるほどに。最初にばあちゃんという宝物を貰ったから」

 アリスがなるほどと納得する。カラバに返しきれない恩。伝説の魔物さえ倒しカラバ家を侯爵に導いた猫神さまのそばには優しいメリアがいたのだろう。
 ならば今のアリスも最強だ。リオンに巡り会いこうして二人添えたのだから。

「あの二人は私の理想なの。すごく仲良しでしょ?りおん君、私もああなれる様に頑張るからこれからもよろしくね」
「え?もうボクたち仲良しになれてないかな?」
「もっともっとね!ずっと一緒だよ!」
「フフッそうだね、頑張ろうね」

 満面の笑みを浮かべるアリスにリオンは目を細め、誓いを立てるように優しくそっと口づけた。



 カラバ男爵家は妖精の猫神さまに愛され守られ末長く栄えた。カラバ家には長靴をはいた猫ともう一つ、新しい言い伝えが加えられた。

 女の子に恋に落ちた黒猫と黒猫に恋に落ちた女の子。ツガイになった二人はそれからもずっと仲睦まじく暮らしたという。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います

こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」

イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。 ある日、夢をみた。 この国の未来を。 それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。 彼は言う。 愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?

処理中です...