66 / 209
第66話 ドキドキ大作戦⑤
しおりを挟む
「なにやってんだぁあんたはっ~~~~!???」
ガリガリとカウルの破片を撒き散らしながら車道のど真ん中へと突っ込んでいくスクーター。
そこへ――――、
ギキキキィーーーーッ!!!! ガァンッ!!!!
と、走ってきたどこぞのトラックが激突する。
「あああ、死んだっ!??」
同じく横滑りしながら車道へ躍り出る死ぬ子車。
しかし道路上のどこにも瞬の姿は確認出来ない。
「いや、逃げたわ。――あそこよ」
滑りながらギアをセカンドに入れアクセルを開ける。
タイヤを鳴らし、事故ったスクーターとトラックを置き去りにしながら車線に乗る。砕けたカウル片が舞い上がり、チクチク痛い!!
「逃げた?? どこ!?」
「上っ!!」
「うえ??」
見上げると、ビル屋上の広告看板の上に瞬の姿があった。
彼は私たちを睨むと、もの凄いジャンプ力で次のビルへと飛び移る。
「はあ!? なんであんなところに!???」
スクーターと一緒に転倒したはずだ、一体いつの間に?
「体当たりと同時に跳躍して逃げたみたいね、まったく、面倒くさい」
迫りくる対向車をドリフトで躱し、面倒くさそうに舌打ちする先生。
「おおお、お前には言いたいことがたくさんあるっ!!」
「なに?」
「① なんで撥ねたっ!?
② 事故現場はどうする??
③ 瞬はなんであんなところにいるの!???」
「① とっ捕まえるため。
② しらん。
③ たぶん能力」
「私、あんたみたいな大人には絶対ならんからなっ!!」
横殴りの遠心力に振り回されながら叫ぶ。
瞬はあきらかに人間離れした速さでビル上を走っていた。
車でもなかなか距離が縮められない。
「あいつ弱いベヒモスじゃなかったっけ!? なんだか普通のベヒモスより運動能力高そうなんだけど!??」
「いえ、あれは正真正銘、弱ベヒモスよ。たぶん能力を使って身体能力を補っているんでしょうね」
「能力!?」
「さっきは探れなかったけど、ようすから推測すると……レビテーション系統のPK能力よ」
「……詳しく」
「説明が面倒くさいから後で菜々にでも聞いたらぁ?」
「あんた私の教官だろぅっ!!」
こいつは何だろう、私のことを教え子じゃなく本気で実験動物とでも思っているんじゃなかろうなっ!????
「チッ、じゃあザックリね。
レビテーションって言うのは浮遊能力の事よ。自分の身体や物質の質量をコントロールする能力ね。もちろんその限界値は個人によってさまざま、浮遊とは言っているけども使い手によっては逆に質量を増やす者もいるわ」
「……で、でもあいつ無能力って」
「ほとんど、よ。いままでは本人も自覚できないほどに微弱な能力だったんでしょうね。人よりもちょっと高くジャンプ出来るとか、早く走れる程度のね。よく学校にでもいたでしょう? ろくに体も鍛えていないのにやたら身軽な人間。彼もそのタイプだったんでしょうね。微弱な超能力とただの才能は区別しにくいから、本人も周りの人間もだれも気付かない場合が多いのよ」
「そ、それがベヒモス化で強化されちゃったと?」
「そうね、しかもかなり使いこなしているわね。普通のベヒモスと違って弱ベヒモスは変に意識があるからね、たまにああゆう厄介なやつが出てくるのよ」
「じゃあもう『弱』じゃないじゃんっ!!」
「能力が覚醒してしまっているってだけで、身体のリミッターは外れてないから耐久力は弱いはずよ? ――――だから」
言いながらダッシュボードを開け、そこに入っている大きめの拳銃を私によこす。
おいおい……これで私に何をしろと……?
「ロックは外しておいたわ。さあ、おやりなさい」
迷いのない目で未成年に殺人を促す人格破綻者。
「いやじゃっ!!」
「足を狙いなさい、生け捕りにしないと意味ないから」
「だから、出来るかぁそんなことっ!!」
「あんたマンションの時は殺ったでしょう?」
「あれは正当防衛!! 今回のは完全にこっちのエゴでしょ!?? そんなんで銃なんて撃てるかぁっ!!」
「……さっきは人の奪っていったくせにコロコロ意見変えるのね、あなたは」
「さっきのは救助活動っ!!!!」
私の主張を完全に屁理屈扱いしたジト目で見つめる死ぬ子先生。
いやいや、ちゃんと通ってるよ? 筋。
「……まったく。じゃあいいわ、代わりにハンドル持ってなさい」
そう言ってハンドルから手を離し、銃を構えるエゴイスト。
「ちょちょちょちょ、まったまったっ!!」
慌てた私がハンドルを掴むと同時に、
――――ガンガンッ!!
銃声が二発鳴った。
「はい終わり。ハンドル返して」
見上げると瞬の姿は消えていた。
「どっどっど、どこ行ったの……!?」
「落ちたわよ?」
まるで、引っかかったボールでも落としたかのような言い草。
はぁ~~~~と、ため息をつく私。
理性を失っているのがベヒモスと言うのなら、もしかしてこの女もベヒモスなんじゃないだろうな?
私はわりと本気でそう思った。
ガリガリとカウルの破片を撒き散らしながら車道のど真ん中へと突っ込んでいくスクーター。
そこへ――――、
ギキキキィーーーーッ!!!! ガァンッ!!!!
と、走ってきたどこぞのトラックが激突する。
「あああ、死んだっ!??」
同じく横滑りしながら車道へ躍り出る死ぬ子車。
しかし道路上のどこにも瞬の姿は確認出来ない。
「いや、逃げたわ。――あそこよ」
滑りながらギアをセカンドに入れアクセルを開ける。
タイヤを鳴らし、事故ったスクーターとトラックを置き去りにしながら車線に乗る。砕けたカウル片が舞い上がり、チクチク痛い!!
「逃げた?? どこ!?」
「上っ!!」
「うえ??」
見上げると、ビル屋上の広告看板の上に瞬の姿があった。
彼は私たちを睨むと、もの凄いジャンプ力で次のビルへと飛び移る。
「はあ!? なんであんなところに!???」
スクーターと一緒に転倒したはずだ、一体いつの間に?
「体当たりと同時に跳躍して逃げたみたいね、まったく、面倒くさい」
迫りくる対向車をドリフトで躱し、面倒くさそうに舌打ちする先生。
「おおお、お前には言いたいことがたくさんあるっ!!」
「なに?」
「① なんで撥ねたっ!?
② 事故現場はどうする??
③ 瞬はなんであんなところにいるの!???」
「① とっ捕まえるため。
② しらん。
③ たぶん能力」
「私、あんたみたいな大人には絶対ならんからなっ!!」
横殴りの遠心力に振り回されながら叫ぶ。
瞬はあきらかに人間離れした速さでビル上を走っていた。
車でもなかなか距離が縮められない。
「あいつ弱いベヒモスじゃなかったっけ!? なんだか普通のベヒモスより運動能力高そうなんだけど!??」
「いえ、あれは正真正銘、弱ベヒモスよ。たぶん能力を使って身体能力を補っているんでしょうね」
「能力!?」
「さっきは探れなかったけど、ようすから推測すると……レビテーション系統のPK能力よ」
「……詳しく」
「説明が面倒くさいから後で菜々にでも聞いたらぁ?」
「あんた私の教官だろぅっ!!」
こいつは何だろう、私のことを教え子じゃなく本気で実験動物とでも思っているんじゃなかろうなっ!????
「チッ、じゃあザックリね。
レビテーションって言うのは浮遊能力の事よ。自分の身体や物質の質量をコントロールする能力ね。もちろんその限界値は個人によってさまざま、浮遊とは言っているけども使い手によっては逆に質量を増やす者もいるわ」
「……で、でもあいつ無能力って」
「ほとんど、よ。いままでは本人も自覚できないほどに微弱な能力だったんでしょうね。人よりもちょっと高くジャンプ出来るとか、早く走れる程度のね。よく学校にでもいたでしょう? ろくに体も鍛えていないのにやたら身軽な人間。彼もそのタイプだったんでしょうね。微弱な超能力とただの才能は区別しにくいから、本人も周りの人間もだれも気付かない場合が多いのよ」
「そ、それがベヒモス化で強化されちゃったと?」
「そうね、しかもかなり使いこなしているわね。普通のベヒモスと違って弱ベヒモスは変に意識があるからね、たまにああゆう厄介なやつが出てくるのよ」
「じゃあもう『弱』じゃないじゃんっ!!」
「能力が覚醒してしまっているってだけで、身体のリミッターは外れてないから耐久力は弱いはずよ? ――――だから」
言いながらダッシュボードを開け、そこに入っている大きめの拳銃を私によこす。
おいおい……これで私に何をしろと……?
「ロックは外しておいたわ。さあ、おやりなさい」
迷いのない目で未成年に殺人を促す人格破綻者。
「いやじゃっ!!」
「足を狙いなさい、生け捕りにしないと意味ないから」
「だから、出来るかぁそんなことっ!!」
「あんたマンションの時は殺ったでしょう?」
「あれは正当防衛!! 今回のは完全にこっちのエゴでしょ!?? そんなんで銃なんて撃てるかぁっ!!」
「……さっきは人の奪っていったくせにコロコロ意見変えるのね、あなたは」
「さっきのは救助活動っ!!!!」
私の主張を完全に屁理屈扱いしたジト目で見つめる死ぬ子先生。
いやいや、ちゃんと通ってるよ? 筋。
「……まったく。じゃあいいわ、代わりにハンドル持ってなさい」
そう言ってハンドルから手を離し、銃を構えるエゴイスト。
「ちょちょちょちょ、まったまったっ!!」
慌てた私がハンドルを掴むと同時に、
――――ガンガンッ!!
銃声が二発鳴った。
「はい終わり。ハンドル返して」
見上げると瞬の姿は消えていた。
「どっどっど、どこ行ったの……!?」
「落ちたわよ?」
まるで、引っかかったボールでも落としたかのような言い草。
はぁ~~~~と、ため息をつく私。
理性を失っているのがベヒモスと言うのなら、もしかしてこの女もベヒモスなんじゃないだろうな?
私はわりと本気でそう思った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる