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1章、契約の内容
21.
魔法で色を変えたアシュリーとアリス、侍女服を着たシェリルは本館へと立ち入った。
北の棟よりも明るい。廊下は赤い絨毯が引かれ温かい雰囲気を漂わせていた。
アリスを先頭に進んでいく。
最初に調理場へ行く。
アリスはメイドとして出入りが自由に利くので多少知り合いができたらしい。それでも多少嫌がらせもあるが、本人は適当に流している。
「アリス。来たのかい?そろそろやめる気になったかい?」
いつもの挨拶から始まる。
「いえ。これが今日の食材ですか?」
「まったく、我儘な聖女さんね。うちらの作った物が食べられないなんて、何考えてんだか?」
あんたたちが、腐ったものを出そうと相談していたからだ・・・とは言わない。
「すみません」
「遊び回ってんだろ?街で見たとか騎士の誰かと密会してるとか噂あるよ。聖女の割には身持ち悪いんだねぇ。早くニーナ様に付きなよ。あの方は優しい方だよ」
「この前なんかお礼言われたわ」
「わたしもよ。声をかけて下さったわ」
「お身体がねぇ」
「お可哀想よね」
「お似合いなのに・・・」
ニーナ話に花を咲かせる。
「にしても夫人は、ねぇ・・・」
「ケリー様ね。館夫人気取ってるわよね」
「ただのニーナ様の母親なのに」
「見下し感が半端ないわよね」
「今月で、ドレス何着め?」
「6着?7着?」
「嘘っ、マジで?」
「ニーナ様には使わないのに?」
「ニーナ様を口実に買ってるらしいわよ」
裏で働く者たちの口は軽い。
一つの噂が、ここから尾鰭背鰭をつけ広がるのだから、噂も侮れない。
「失礼します」
ある程度、話を聞いたのち食材を入ったバスケットを手に取り部屋をでる。
楽しく笑っている主人をアリスは見た。
噂話を楽しむ15歳。すれている。
「次はどうします?」
「アリスは家令さん・・・えっと、ザックさん?とアクロンさん、だっけ?探して、わたしの部屋に案内しといて。わたしはニーナさんとケリー夫人を見たいな」
アリスはコクンとうなずくとバスケットを持ったまま去って行った。
「ニーナさんの部屋は?」
「3階の日当たりの良い部屋・・・あの男の隣の部屋です」
「ケニー夫人は?」
「2階です」
「へぇ~」
聞くだけ聞いておいて、関心なしの適当な返事だった。
「行くのですか?」
「行きますとも」
足音を立てないようにして階段を登り部屋の前までやってくる。
開かれたドア。
中からは楽しい声が聞こえて来る。そっと覗いてみる。
「ニーナ様。このお菓子新発売だそうですよ」
「ニーナ様。この本は巷で流行っている恋愛小説ですよ」
「ニーナ様。この髪飾り海の向こうのトレンドになってるそうです」
十数名のメイドたちの賑やかな声。
ニーナはにこにこと笑っているだけのように見える。
「病人にこの数・・・ありえないわ~」
小さな感想にアシュリーも頷く。
「あなたたちなにしてるの?」
後ろから声がかけられた。
北の棟よりも明るい。廊下は赤い絨毯が引かれ温かい雰囲気を漂わせていた。
アリスを先頭に進んでいく。
最初に調理場へ行く。
アリスはメイドとして出入りが自由に利くので多少知り合いができたらしい。それでも多少嫌がらせもあるが、本人は適当に流している。
「アリス。来たのかい?そろそろやめる気になったかい?」
いつもの挨拶から始まる。
「いえ。これが今日の食材ですか?」
「まったく、我儘な聖女さんね。うちらの作った物が食べられないなんて、何考えてんだか?」
あんたたちが、腐ったものを出そうと相談していたからだ・・・とは言わない。
「すみません」
「遊び回ってんだろ?街で見たとか騎士の誰かと密会してるとか噂あるよ。聖女の割には身持ち悪いんだねぇ。早くニーナ様に付きなよ。あの方は優しい方だよ」
「この前なんかお礼言われたわ」
「わたしもよ。声をかけて下さったわ」
「お身体がねぇ」
「お可哀想よね」
「お似合いなのに・・・」
ニーナ話に花を咲かせる。
「にしても夫人は、ねぇ・・・」
「ケリー様ね。館夫人気取ってるわよね」
「ただのニーナ様の母親なのに」
「見下し感が半端ないわよね」
「今月で、ドレス何着め?」
「6着?7着?」
「嘘っ、マジで?」
「ニーナ様には使わないのに?」
「ニーナ様を口実に買ってるらしいわよ」
裏で働く者たちの口は軽い。
一つの噂が、ここから尾鰭背鰭をつけ広がるのだから、噂も侮れない。
「失礼します」
ある程度、話を聞いたのち食材を入ったバスケットを手に取り部屋をでる。
楽しく笑っている主人をアリスは見た。
噂話を楽しむ15歳。すれている。
「次はどうします?」
「アリスは家令さん・・・えっと、ザックさん?とアクロンさん、だっけ?探して、わたしの部屋に案内しといて。わたしはニーナさんとケリー夫人を見たいな」
アリスはコクンとうなずくとバスケットを持ったまま去って行った。
「ニーナさんの部屋は?」
「3階の日当たりの良い部屋・・・あの男の隣の部屋です」
「ケニー夫人は?」
「2階です」
「へぇ~」
聞くだけ聞いておいて、関心なしの適当な返事だった。
「行くのですか?」
「行きますとも」
足音を立てないようにして階段を登り部屋の前までやってくる。
開かれたドア。
中からは楽しい声が聞こえて来る。そっと覗いてみる。
「ニーナ様。このお菓子新発売だそうですよ」
「ニーナ様。この本は巷で流行っている恋愛小説ですよ」
「ニーナ様。この髪飾り海の向こうのトレンドになってるそうです」
十数名のメイドたちの賑やかな声。
ニーナはにこにこと笑っているだけのように見える。
「病人にこの数・・・ありえないわ~」
小さな感想にアシュリーも頷く。
「あなたたちなにしてるの?」
後ろから声がかけられた。
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