【本編完結】聖女は辺境伯に嫁ぎますが、彼には好きな人が、聖女にはとある秘密がありました。

彩華(あやはな)

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1章、契約の内容

27.グレン視点

 この日、朝からマクロンが変だった。

 数日前からおかしかった気がする。いや、おかしかったのはザックだったか。
 数日前ザックは、所用と言って出かけ、帰ってきた時には服は汗でぐっしょり濡れ、顔色が悪かった。

 そして、ザックは帰ってくるなり、手にしていた大量の資料を机の上にのせケリー夫人の不正を提示したのだ。無駄な出費に横領、そして身持ちの悪さ。まさかと思い一つ一つ確認したが、どれも詳しく書かれていて確証の取れたものばかり。

 伯母上・・・。

「旦那様。ニーナ様をお迎えしたいとお思いならばケリー様をどうにかなさいませんといけません。このような証拠がある中でケリー様を放置しますと、ニーナ様の印象にも関わります」
「どういうことだ?」
「旦那様は形とはいえ、聖女様をお迎えしました。
 皆様も旦那様がニーナ様を想っていることはご存じですので、このままでは旦那様がケリー様に操られていると思われかねません。
 ケリー様がニーナ様を使って旦那様をたらし込んだと思われるかと。すでにケリー様は侯爵などとも関係がおありのご様子。
 悪女と言われているやもしれません。
 そうなればニーナ様が聖女様を貶める悪女といわれかねないかと・・・」
「まさか?」
「まさかでございます。
 街では聖女様の悪評がございます。様のですよ。
 その出どころが我が屋敷のメイドらしいです。このままではニーナ様どころか辺境伯家まで評判が落ちるかと・・・。いや、落ちているかと・・・。
 ニーナ様のため悪い膿は出すべきでございます」

 ザックの冷たい表情に喉がなった。
 ニーナの為。
 彼女のためなら・・・。
 ザックの資料もきちんとしたものだから非の付け所はない。証拠として十分なものである。

 ニーナが悲しむかもしれない。
 それでも、それでも、彼女が穏やかな日常を過ごす為なら、悪い噂は潰さなければならない。彼女の心を痛めるものは排除しなければ。

「ニーナ様にはケリー様は保養地に行ったとでもおっしゃれば気づかれませんよ」
「・・・そ、うだな」 

 いい案だ。

「ザック」
「かしこまりました。わたくしめが処理いたします。
 あと、旦那様。先程もいいましたが、メイドたちがいらぬ噂を流しております。だいぶメイドの質も落ちているようですので、人員を整理、教育しとうございますが、お許しいただけますか?」
「いいだろ、ザックに任せる」
「ありがとうございます」

 ザックは淡々と事務的に話すると出て行った。



 ケリー夫人は地下の牢に入った。
 父に手紙をだし、母上に報告した。返信が入り次第、裁判にかける予定だ。

 メイドはザックが一人づつ話を聞きとり、解雇が再雇用かを決めているらしかった。



 マクロンからその報告を聞きながら、大量の執務に追われていた。
 いつもの倍以上ある。
 見てみれば、期限がおかしいものがいくつかあるのと、しなくていいものさえある。

 おかしい!
 何かがおかしい。

「マクロン何を隠している!!」
「何もありません」
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