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14.ミシェル視点
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セイラの前向きになったのを確認したのち、セルジオ兄様の執務室に向かった。
執務室に行くとシェリナ様とアフタル殿下が既にお茶をしていた。
「セイラは?」
「落ち着いていたわ。私の暴走を止めるために元気になる気でいるみたいよ」
「どうしてそんな話に?・・・あぁ、想像はできるが」
私は勧められる前にソファーに座り、昨日今日とあった事をアリスがまとめた即席資料と共に三人に話し始めた。
セルジオ兄様の顔色がだんだん変わっていく。
「やっぱり、『テンフェアール』だと思うのか?」
「匂いに関してはまだ疑問に思うこともありますが、可能性は大きいでしょう」
「まだ、あれを使用している者がいるとは・・・信じられないわ」
シェリナ様は嫌悪感を抱いたように口元に手を当て、セルジオ兄様は頭を抱えていた。
「そんなに問題があるのですか?」
アフタル殿下はことの大きさが理解していないようだった。
なので、説明してあげる。
「あの香水は身体にも影響を与えます。依存性が高いのです。香の量によっては酩酊状態にさせることもあります。
何よりアレは男性によく効き女性には効きにくい性質がある為、昔は他国に娼婦を潜らせて情報を得る等に使っていたという歴史もあるほどです。
確かぁ、・・・現在もこの地下で密偵の尋問に使っているはず・・・」
「ままままっ、待って!それ以上は聞かせるな」
アフタル殿下は慌てて耳を押さえた。
だが私を合わせた三つの視線が彼を捉えた。
シェリナ様がゆっくりアフタル殿下の手を下ろさせながら軽やかに笑ってみせた。
「もう、逃げられませんわよ」
「裏切ってくれるなよ」
セルジオ兄様は獰猛な笑みをアフタル殿下に向ける。
ガクブルと震えているアフタル殿下に私は軽やかに頼み事をしてみせた。
「では、カルロとセイラの婚約破棄をスムーズに運んでくださいますわよね?」
すっと目を細めアフタル殿下を見つめた。
顔が青い。
だが、アフタル殿下は私の目をしっかり見ていた。
「・・・わ、わかりました。オーディン公爵に手紙を送り速急に手続きを進めます。
・・・しかし、なぜ私には効かず、カルロはすぐにそんなことになったのでしょう・・・?」
眉を寄せ不思議がるアフタル殿下に私が答えた。公爵家出身のカルロに効いた理由はまだわからないが、アフタル殿下に効かなかった理由は何となくわかる。
「『テンフェアール』は『王族』には効きにくいようです。
これは私独自の見解にあたりますが、もともと『王族』には耐性があるのではと思われます。公爵も家系を遡れば『王族』に連なるものもいる事が多いですので効きにくいのではと思っています。カルロにいたっては・・・なぜ耐性が弱かったのか・・・」
首を傾げた。
公爵なのに・・・。推理が正しくないのだろうか?
だが、アフタル殿下は『あぁ・・・』といったような表情をした。
「いえ、それなら合点がいきました。あいつはオーディン公爵の遠縁の子供にあたります。長らく子供ができなかった公爵夫妻は遠縁の子供のカルロを養子を迎えたんです。その2年後に公爵は子宝に恵まれましたが・・・」
なるほど。
ならば、耐性が薄いかないのかもしれない。何故聞いたのか納得いく。私の推理にも合点がいく。
「薬を抜くことはできるのですか?」
アフタル殿下が聞いてきた。
気になるわよね。
「実は、セルジオ兄様にそれをお願いしたいです」
私はお兄様に顔を向けた。
お兄様は頷く。
「早く処置をしなければなりません。その場所の提供と各国への連絡、こちらの後見人、保護者への連絡をとっていただけますかしら」
「そうだな。これは国王陛下にも報告がいる案件だろう」
「あの様子では、ファルスは無理な可能性もあります。カルロももしかすると・・・」
言いたくはないが、あの様子を見る限りあまり良くないだろう。
いくら『テンフェアール』をつけていたからといっても、セイラと私に疑問さえ持たないのだから。
もしもの覚悟はいるだろう・・・。
アフタル殿下は唇を噛み締め俯いてしまった。
執務室に行くとシェリナ様とアフタル殿下が既にお茶をしていた。
「セイラは?」
「落ち着いていたわ。私の暴走を止めるために元気になる気でいるみたいよ」
「どうしてそんな話に?・・・あぁ、想像はできるが」
私は勧められる前にソファーに座り、昨日今日とあった事をアリスがまとめた即席資料と共に三人に話し始めた。
セルジオ兄様の顔色がだんだん変わっていく。
「やっぱり、『テンフェアール』だと思うのか?」
「匂いに関してはまだ疑問に思うこともありますが、可能性は大きいでしょう」
「まだ、あれを使用している者がいるとは・・・信じられないわ」
シェリナ様は嫌悪感を抱いたように口元に手を当て、セルジオ兄様は頭を抱えていた。
「そんなに問題があるのですか?」
アフタル殿下はことの大きさが理解していないようだった。
なので、説明してあげる。
「あの香水は身体にも影響を与えます。依存性が高いのです。香の量によっては酩酊状態にさせることもあります。
何よりアレは男性によく効き女性には効きにくい性質がある為、昔は他国に娼婦を潜らせて情報を得る等に使っていたという歴史もあるほどです。
確かぁ、・・・現在もこの地下で密偵の尋問に使っているはず・・・」
「ままままっ、待って!それ以上は聞かせるな」
アフタル殿下は慌てて耳を押さえた。
だが私を合わせた三つの視線が彼を捉えた。
シェリナ様がゆっくりアフタル殿下の手を下ろさせながら軽やかに笑ってみせた。
「もう、逃げられませんわよ」
「裏切ってくれるなよ」
セルジオ兄様は獰猛な笑みをアフタル殿下に向ける。
ガクブルと震えているアフタル殿下に私は軽やかに頼み事をしてみせた。
「では、カルロとセイラの婚約破棄をスムーズに運んでくださいますわよね?」
すっと目を細めアフタル殿下を見つめた。
顔が青い。
だが、アフタル殿下は私の目をしっかり見ていた。
「・・・わ、わかりました。オーディン公爵に手紙を送り速急に手続きを進めます。
・・・しかし、なぜ私には効かず、カルロはすぐにそんなことになったのでしょう・・・?」
眉を寄せ不思議がるアフタル殿下に私が答えた。公爵家出身のカルロに効いた理由はまだわからないが、アフタル殿下に効かなかった理由は何となくわかる。
「『テンフェアール』は『王族』には効きにくいようです。
これは私独自の見解にあたりますが、もともと『王族』には耐性があるのではと思われます。公爵も家系を遡れば『王族』に連なるものもいる事が多いですので効きにくいのではと思っています。カルロにいたっては・・・なぜ耐性が弱かったのか・・・」
首を傾げた。
公爵なのに・・・。推理が正しくないのだろうか?
だが、アフタル殿下は『あぁ・・・』といったような表情をした。
「いえ、それなら合点がいきました。あいつはオーディン公爵の遠縁の子供にあたります。長らく子供ができなかった公爵夫妻は遠縁の子供のカルロを養子を迎えたんです。その2年後に公爵は子宝に恵まれましたが・・・」
なるほど。
ならば、耐性が薄いかないのかもしれない。何故聞いたのか納得いく。私の推理にも合点がいく。
「薬を抜くことはできるのですか?」
アフタル殿下が聞いてきた。
気になるわよね。
「実は、セルジオ兄様にそれをお願いしたいです」
私はお兄様に顔を向けた。
お兄様は頷く。
「早く処置をしなければなりません。その場所の提供と各国への連絡、こちらの後見人、保護者への連絡をとっていただけますかしら」
「そうだな。これは国王陛下にも報告がいる案件だろう」
「あの様子では、ファルスは無理な可能性もあります。カルロももしかすると・・・」
言いたくはないが、あの様子を見る限りあまり良くないだろう。
いくら『テンフェアール』をつけていたからといっても、セイラと私に疑問さえ持たないのだから。
もしもの覚悟はいるだろう・・・。
アフタル殿下は唇を噛み締め俯いてしまった。
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