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18.レイチェル過去
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帰ると案の定、怒られた。
少し遅くなっただけなのに、手をムチで打たれた。
すごく痛くて涙がでてくる。
母が謝ってくれたがなにも変わらない。
なんでよ!すこし遅くなっただけなのよ!なのに・・・。
あたしだってこの家の娘だ。母が平民なだけ。何が違う!
悔しい。
父も助けてくれない。
なら、なんで母とそんな関係になった。
なぜ、あたしを作った?
なぜ、あたしを産ませた?
なにもするつもりがないなら自由にさせてよ。
腹が立つ。
あたしだって美味しいものを食べたい。
こんな痛い思いなんかしたくない。
冷たい作業も辛い労働もしたくない。
ふわふわとは言わないが温かな布団で寝たい。
理不尽じゃない?
自由になりたい。
あたしを認めさせたい。
もし・・・。
もし父たちを認めさせる事ができたなら、あたしの人生は変わるのだろうか?
そう考えると背筋がぞわりとした。
胸がドキドキした。
でもそんな怪しいものに頼っていいのかしら?
頭の中で幾度も自問自答した。もしそれが本当になった時の想像が頭を巡った。『もしも』が繰り返された。
仕事がおろそかになり、幾度も他のメイドたちに怒られた。
でも怒られるたびに『もしも』を想像するのだ。
あたしが彼女たちを下に見下す姿を。
なんて素晴らしいのだろう。ワクワクするじゃないの。興奮で身体が震えた。
就寝までにはあたしの心は決まった。だからか、興奮してなかなか寝つくこともできなかった。明日が待ち遠しくなるなんて初めてだった。
翌朝、いつものように朝早くから仕事を言いつけられた。掃除に洗濯・・・。垢切れの手が痛い。仕事が終わらなくては行くことも叶わない。
昼頃になってどうにかこうにか理由をつけて街へと行く事ができた。
というよりあのクソ男、あたしの荷物から香水を一つ盗んでいたのだ。もしかすれば、こうなる事がわかっていたのかもしれない。
だから、昨日香水の一つが売り切れで今日納品されるから受け取りに行くと言ったのだ。二日連続で街に行く事を渋られたが、姉たちの生け贄でもあるあたしが行く方が都合が良かったのだろう。
あたしは昨日言われた宿屋に行った。
行ったのはいいが、名前さえ知らない。どうすればいいか・・・。そんな事を思っている人と男の方があたしを見つけて来てくれた。
「来ると思ってたよ」
「うるさい」
盗んだ香水をちらつかせながら言ってきたので奪い返してやった。
ニヤニヤ笑う顔が癪に触ったが、それよりも早く知りたい気持ちが勝る。
「早く教えてよ」
「わかったわかった。でもここじゃ話せないから昨日の店で話そう」
そう言って場所を移すことにした。
昨日の店の店主は男を見て嫌そうに眉を寄せたが、店の奥の客室に通してくれた。
男と向き合う。
「お前な・・・」
「大丈夫だって」
水を差し出してきた店主とは仲が良いのか気さくな雰囲気だった。店主は短いやり取りをしただけで部屋を後にした。
男は机に小瓶を見せてきた。小瓶の中には小指の先ほどの小さな粒が一杯に入っていた。
一粒だけ中からだしてあたしの手に置いた。
綺麗な紫色に目が奪われる。
「これを一粒飲むだけだよ」
「それだけ?」
思っていたのとは違う。たったそれだけで良いのだろうか?これで変わるというのだろうか?嘘じゃないのか?
「これを飲むと1ヶ月だが、身体の体臭が変わるんだよ。すると、あら不思議、今まで見向きもしなかった男どもが振り返る。試す価値はあると思うがな~。嘘だと思って試してみなよ」
試す価値・・・。
今の状況を変えるには試すしかない。
変わらなかったら変わらなかった時。今ほど悪くなることなんてないのだから。
あたしは覚悟を決めて飲んだ。
喉に詰まりそうだったが水で流し込んだ。
「これで効果がなかったらそれまで。でも君は絶対に効果はある。人生変わると思うよ」
男はニヤリと笑った。
少し遅くなっただけなのに、手をムチで打たれた。
すごく痛くて涙がでてくる。
母が謝ってくれたがなにも変わらない。
なんでよ!すこし遅くなっただけなのよ!なのに・・・。
あたしだってこの家の娘だ。母が平民なだけ。何が違う!
悔しい。
父も助けてくれない。
なら、なんで母とそんな関係になった。
なぜ、あたしを作った?
なぜ、あたしを産ませた?
なにもするつもりがないなら自由にさせてよ。
腹が立つ。
あたしだって美味しいものを食べたい。
こんな痛い思いなんかしたくない。
冷たい作業も辛い労働もしたくない。
ふわふわとは言わないが温かな布団で寝たい。
理不尽じゃない?
自由になりたい。
あたしを認めさせたい。
もし・・・。
もし父たちを認めさせる事ができたなら、あたしの人生は変わるのだろうか?
そう考えると背筋がぞわりとした。
胸がドキドキした。
でもそんな怪しいものに頼っていいのかしら?
頭の中で幾度も自問自答した。もしそれが本当になった時の想像が頭を巡った。『もしも』が繰り返された。
仕事がおろそかになり、幾度も他のメイドたちに怒られた。
でも怒られるたびに『もしも』を想像するのだ。
あたしが彼女たちを下に見下す姿を。
なんて素晴らしいのだろう。ワクワクするじゃないの。興奮で身体が震えた。
就寝までにはあたしの心は決まった。だからか、興奮してなかなか寝つくこともできなかった。明日が待ち遠しくなるなんて初めてだった。
翌朝、いつものように朝早くから仕事を言いつけられた。掃除に洗濯・・・。垢切れの手が痛い。仕事が終わらなくては行くことも叶わない。
昼頃になってどうにかこうにか理由をつけて街へと行く事ができた。
というよりあのクソ男、あたしの荷物から香水を一つ盗んでいたのだ。もしかすれば、こうなる事がわかっていたのかもしれない。
だから、昨日香水の一つが売り切れで今日納品されるから受け取りに行くと言ったのだ。二日連続で街に行く事を渋られたが、姉たちの生け贄でもあるあたしが行く方が都合が良かったのだろう。
あたしは昨日言われた宿屋に行った。
行ったのはいいが、名前さえ知らない。どうすればいいか・・・。そんな事を思っている人と男の方があたしを見つけて来てくれた。
「来ると思ってたよ」
「うるさい」
盗んだ香水をちらつかせながら言ってきたので奪い返してやった。
ニヤニヤ笑う顔が癪に触ったが、それよりも早く知りたい気持ちが勝る。
「早く教えてよ」
「わかったわかった。でもここじゃ話せないから昨日の店で話そう」
そう言って場所を移すことにした。
昨日の店の店主は男を見て嫌そうに眉を寄せたが、店の奥の客室に通してくれた。
男と向き合う。
「お前な・・・」
「大丈夫だって」
水を差し出してきた店主とは仲が良いのか気さくな雰囲気だった。店主は短いやり取りをしただけで部屋を後にした。
男は机に小瓶を見せてきた。小瓶の中には小指の先ほどの小さな粒が一杯に入っていた。
一粒だけ中からだしてあたしの手に置いた。
綺麗な紫色に目が奪われる。
「これを一粒飲むだけだよ」
「それだけ?」
思っていたのとは違う。たったそれだけで良いのだろうか?これで変わるというのだろうか?嘘じゃないのか?
「これを飲むと1ヶ月だが、身体の体臭が変わるんだよ。すると、あら不思議、今まで見向きもしなかった男どもが振り返る。試す価値はあると思うがな~。嘘だと思って試してみなよ」
試す価値・・・。
今の状況を変えるには試すしかない。
変わらなかったら変わらなかった時。今ほど悪くなることなんてないのだから。
あたしは覚悟を決めて飲んだ。
喉に詰まりそうだったが水で流し込んだ。
「これで効果がなかったらそれまで。でも君は絶対に効果はある。人生変わると思うよ」
男はニヤリと笑った。
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