【完結】わたしの大事な従姉妹を泣かしたのですから、覚悟してくださいませ

彩華(あやはな)

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32.レイチェル視点

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 やっぱりおかしい。
 どうしてこんな事になったのか?

 屋敷に帰ったわたしは部屋のすみで爪をかみながら考えていた。

 今日のブローチ探しは半分も満たさないくらいしかできていない。
 はっきり言って途中で飽きた。量が多くやる気を削がれ
 しかも綺麗なデザインで目移りしそうになった。
 
 欲しいと思った。
 でも・・・シリアルナンバーが彫られていたため自分の物だと言うこともできず、眺めるだけだった。盗んでしまおうとも思っても、周りの目が怖かった。
 
 あの女が憎く思った。

 どれだけお金を使ったのよ。
 なんで、あの女は皇女殿下と優雅にお茶してるのよ。おかしい。
 間違っている。
 

 あの女の理不尽な行動に腹が立っていた。

 あの女のせいで彼らのあたしを見る目に不安がよぎり出した。疑っているように見えた。
 今までそんな視線を見せたことはなかった。

 みんなあの女を気にしている。

 あの女の笑いも気に入らない。
 艶やかに笑ってくる。
 それが人を馬鹿にしているように見えるのは何故だろう。
 姉たちとは違う。
 偏見や軽蔑が混じっていないのに、あの目を見ていると、自分が小さい人間に思えとくる。
 
 あたしを舐めているの?

 許さない。

 
 あたしは自室の本棚の奥にしまっていたガラスの小瓶をとりだした。

 そして小さな紫色の粒を一つ取り出して飲んだ。
 


 瓶の底にはあと五粒しか残っていない。

 以前までは二、三日に一度飲んでいたのに、このところ一週間以上あけて飲むようになっていた。
 飲む量も減らしていた。

 あの女に気を取られていて、注文が遅くなった。
 そろそろ次の薬がきてもいいはずなのに、まだ届かない。

 いつくるのだろう。
 早くきて欲しいのにまだ来ないのはどうしてなのか?
 
 新しい薬がくる前に効果が切れたらどうしよう。飲み切ったらどうすればいいのだろう?
 いつ薬が届くか分からないないため切り詰めるしかなかった。

 あたしはガラスの小瓶を戻すと部屋を出た。あたし宛の荷物はきていないかを確認しに行ったが、届いていないとメイドに冷たくあしらわれてしまった。

 不安が襲う。

 あれがないと、あたしはどうなってしまうのだろうか?

 誰も見てくれなくなるのかもしれない。
 
 そうなれば、あたしは捨てられてしまうのかもしれない。

 そんなのは嫌だ。
 あたしを見て欲しい。
 構って欲しい。一人にしないで欲しい。
 誰かそばにいて欲しい。

 ただでさえ、帝国では薬の効きが悪いと言うのに・・・。

 不安で仕方ない。
 泣きそうになる。


 部屋に帰り、ベッドの上でうずくまる。

 まだ飲みたいという欲求に耐えていた。

 

 
 
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