【完結】君は星のかけらのように・・・

彩華(あやはな)

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「馬鹿にしないでください」

彼女とは思えない真剣な眼差しだった。

「星のかけら、何が悪いのですか?何もしりもしないのに馬鹿にしないでください」

やはり、君は美しい。
こんなに怒った顔が美しいとは・・・。

それより・・・。

「醜い人にはわからないでしょう。星のかけらは。人として大切なものよ。優しさ、愛情。あなたには一生わからないものだわ」
「うるさい、うるさい。何が優しさよ。愛情よ。全て金よ。金。金が有れば幸せなのよ」

ミルは最後に本当の気持ちを言った。
見えていなかった。

ミルは連れて行かれた。
側近たちも。



僕は彼女にひざまづく。

「アナスタシア嬢。今までの事、本当にすまなかった」
「殿下」
「聞き及んでいると思うが、婚約は解消されている。皇帝陛下との婚約おめでとうございます」


再び辺りがざわめいた。

そうだろう。

婚約は既に解消となっていた。

そして、彼女は以前から交流が深かった皇帝陛下との婚約を果たしたのだ。

今まで知られる事なく。

「それを知りながら、我婚約者に触れたのか?」


皇帝陛下が現れた。


「最後の思い出として。思い残す事はありません」

僕は皇帝陛下をみた。

凛としたいでたち。知己に溢れた瞳。

敵わない存在。
皇帝陛下なら彼女を幸せにしてくれる。
絶対にー。


「殿下?」
「わたしはこの騒がせた責任をとり、王太子の座を降り、北の棟に移ります」

彼女の目が見開く。
緑の目が揺らめく。


そんな顔をしないでくれ。

弟が王太子になる。
僕は王族用の牢に永久に入るのだ。


これが、僕の償い。

「アナスタシア嬢・・・」

僕は彼女を見つめる。
言いたい事はたくさんある。
もっと話したかった。
話せばよかった。

もう、遅い。

「お幸せに」

これだけしか言えなかった。

僕は行く。
償うためにー。











*******

思い出すのは彼女の顔。

いっぱい笑わせてあげればよかった・・・。
いっぱい触れたかった・・・。

彼女はあの子。

あの子は彼女。

今はもう、確認のしようはない。

それでもいい。


アナスタシアは幸せだと聞いた。
皇帝妃としてやっていると。

彼女が幸せなら僕はいい。
彼女が笑っているなら、それでいい。

全て僕のせい。

僕の過ち。

僕は彼女の顔を思い出すたび星のかけらが増える。
彼女の幸せを聞くたびに星のかけらが溢れ落ちる。

醜い僕の心。

でも、僕は願うのだ。

彼女が幸せでありますようにーと。

あの夜空の星々にー。

君の星のかけらが増えますようにーと。

満天の星にー。

君は僕の星のかけら。

君は星のかけらのように僕の心の中に住んでいるー。








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