【完結】結び屋 アメリア・ブロー〜他人の幸せを結んでいますが、自分の幸せの相手には気付きません〜

彩華(あやはな)

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三十七話、気を取り直して

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 タリュンは右頰が青くなってしまいました。
 申し訳ない。
 彼の代わりに休みの日に演目に出ることで、話をつけました。

     すみません。

 生活かかっているのに・・・。

「悪かったっス。その貴族の嬢ちゃんですが、いつも目当てがいました。マキシムっす。いつも公演が終わった後に会ってたみたいっス」
「おい、マキシムは?」
「今、演技中っス」

 トリオンは公演が終わり次第会えるようにしてくれた。

「マキシムはどんな人?」
「メリア。掟知ってるよな。昔の事、過去は追求するなと・・・」
「知ってるけど、今回はそうも言ってらんないの」
「どう言うことだ?」

 タリオンはわたしの仕事の事は知っています。なので、隠し事は無意味。
 逆に喋ったほうがいいです。

「王太子殿下からの依頼です」
「はあ~?」
「相手はセジャルス王国サーシャス王女です。彼女がセジャルス王国に来た劇団の一人に恋をしたとかでその相手を調べて、それによっては別れさせて欲しいと・・・」
「王族がらみか・・・」

 今まで無言を貫いつついた、サジュが冷ややかな声をだした。
 ブリザード並みの冷たさです。

「だから、私に礼儀作法を教えて欲しいと言ったわけだな」
「う、うん・・・」

 そうです。サジュに礼儀作法の復習をお願いしました。
 でも、なんでしょう。
 怖いです。
 もともと、ぶっきらぼうですよ、サジュは。
 それでも、ここまで、怖く感じた事はおりませんっ。

 気を抜けば涙が溢れそう。

 あっ、エンリュリッヒ様も固まってるし、タリュンは・・・泣いてます。

 一度はやられてるな・・・。

 怖さを身に染みて体験した者の反応です。
 タリオンは・・・身を縮めてます。

「サジュ・・・、なんで、怒ってるの?」
「あいつらの身勝手さに呆れてるだけだ」
「サジュ、その言い方は!」
「大丈夫だ。はぁ~、仕方ない。協力しよう。だか、深煎りはしないぞ」
「それで構わないわ。こっちで処理するから」

 いつものサジュに戻りました。

 良かった。

 ・・・何か・・・あるのかな?
 父さんもよく王族関係についてはあまり口にしないし、学園長先生も・・・。
 聞かない方がいい・・・よね・・・。


「で、そのマキシムはどんな感じなの?」

 タリュンに聞きました。
 彼は固まったまま。しかも頭を抱えて唸っています。

「俺を巻き込まないでくださいっス。姐さん、俺まだ、死にたくないっスよ~」

 泣いてます。
 依頼が王族と聞いたのとサジュの迫力に本能が限界にきているのかもしれませんね。
 なに、悪いことをしたんだか・・・。
 自業自得といいたいところですが、そうもいきませんよ。

「死にはしないし、直接会うこともないから大丈夫よ」

 笑っていいます。
 気休めかもしれませんけどね。

 その言葉にタリュンは希望を見出したようにキラキラと目を輝かせました。
 
 話次第でだとは、いいません。

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