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連載
番外編.マリーン
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リサが赤ちゃんを産んだ。
すごく小さい。
真っ赤な顔で元気に泣いていた。小さな身体のどこからそんな声がでてくるの?って思うくらい。
昔、お母さんからわたしが生まれた時はお猿さんのようだったっ言ってたけど、絶対にお猿さんより可愛いわ。
手が小さいの。指が細いの。
触ったら壊れてしまいそうだった。
でもリサが『大丈夫よ』って言ってくれた。
『薬を作る時みたいに優しくしてくれたらいいのよ』って。
そうか!って思った。
リサはすごい。
わたしにもわかりやすく言ってくれるから。
わたしは小さい頃からおかしかった。どうおかしいかっていうと、他の子たちが楽しくしている遊びとかが、どうして楽しいのかわからなかった。
わたしは蟻の動きを見るのが楽しかったし、おもちゃの仕組みが気になった。
でも、それが他人はそれを面白いとは思わないらしい。わたしの感性が他の子と違うなんて知らなかった。わからなかった。
大きくなるにつれて、幼馴染たちはいなくなった。
『つまんない』『変だよ』『おかしくない?』『変わってるね』『付き合いきれない』
そんな事を言われて離れていった。
唯一、お父さんとお母さんはわたしを変な目で見なかった。
『マリーンはマリーンよ。
マリーン、一つだけ覚えておいて。世の中には色々な人がいるの。みんな自分自身を守りたいから多数派について少数派を非難することがあるの。異物を排除しようとする事もある。
確かに悪い事だわ。でもそれは仕方ない事でもあるとわたしたちは思っている。人間ですもの。強い人についていこうとしてしまうのは当たり前よ。一人だと怖く思ってしまうから。
でもね。一人だからってそれは悪い事ではないわ。
マリーンはきっとわたしたちに見えていない世界を見ているんでしょう。それを理解してくれる人は少ないかもしれない。
でも、きっとあなたを理解してくれる人がいる。その人に会えた時はその人を信じなさい』
お母さんはそう言いながら笑ってくれた。
その時は意味がわからなかった。
お母さんたちは無理をしてわたしを学園に入れてくれた。
お母さんは家庭教師をし、お父さんも一生懸命働いて、わたしの学園の入学金を工面してくれた。
わたしは一年で、卒業までの内容を終わらすことができた。先生はそんなわたしに『研究』という道をさし示してくれた。
楽しかった。
わたしの『どうして?』『どうなる?』という好奇心を満たしてくれた。
尽きない興味を好きなだけ研究してもよかった。
その間、お母さんは大口だったの屋敷の家庭教師を辞める事になった。
慣れない他の仕事をやりながら費用を工面してくれた。
飛級をした事で奨学金が受けてはいたが、予算も少ない『研究』に対しては費用が嵩んでいた。
いずれ成功して親孝行をしよう。
そんな事を思っていた時にエフタール風邪が流行った。
お父さんもお母さんもあっという間にだった。自分の健康を恨んだ。
わたしも一緒に逝ってしまいたかった。
学園内もエフタール風邪の影響を受けていた。
授業どころでない。
奨学金の手続きさえ、できない有様。
研究もできない。
わたしは退学を余儀なくされた。
どうしよう・・・。
どうすればいいかわからなかった。
しばらくは従兄妹の家に身を寄せた。
でも、やる気も起こらなかった。
しかも、わたしは家事スキルがなかった。
全てを『研究』をする事に捧げていた。
今更のようにお母さんの偉大さを知った。
お父さんの強さを知った。
二人の暖かさが恋しかった。
そんな時、サリーナがやってきた。
お母さんの教え子だと。
サリーナは『一緒に働いて欲しい』『あなたの力を貸して欲しい』と言ってきた。
わたしは不完全な人間である事を告げた。
でもサリーナは笑っていた。
『どこが?同じ人間でしょう?顔があって、考えることができて、血が通っていているんでしょう?世の中、目の見えない人もいるし、生まれつき身体が欠損している人もいるけどみんな人間でしょう?何が違うの?不完全で何が悪いの?』
大真面目に言ってきた。
この人も変わってる。
「わたしは先生に先生からたくさんの事をもらったのにまだ恩返ししてない。あなたもそうじゃない?」
うん。
してない。
「先生が伝えたかった事もまだわからない事もある」
うん。
わたしもまだ見つけてない。
「だから、一緒に行こう」
「うん!」
サリーナはわたしを受け入れてくれた。
サリーナも変わり者だと思う。
頑固だとも思う。
でもでも、サリーナの隣は安心できた。
どんな的外れなことでも話を聞いてくれた。
アドバイスをくれた。
サリーナが名前を変えて帝国に行くと言ったからついて行った。
自由に研究だってさせてくれた。
わたしを縛らないでくれた。
中途半端な研究資料。
途中でつまって飽きたものもある。
それを他のみんなに見せた。
興味を持ってくれた。
楽しい。
わたしみたいな人間がいっぱいいたんだって安心もした。
サリーナ・・・リサに出会えたことは、わたしにとって最高だと思う。
いつの間にか、リサを信じていた。
お母さんの言葉を思い出していた。
わたしはずっと飽きずに赤ちゃんを見ていた。
わたしが知る知識をこの子にも教えてあげたい。
いろんな事を見せてあげたい。
「ねぇ~、いっぱいいっぱいわたしが知ってること教えていい?」
「お手柔らかにね。あと・・・」
「あと?なにぃ~?」
「教えるにあたって噛み砕いて根気よく教える事。基礎はともかく、突っ込んだ分野に関しては子供が興味がなさそうな事は無理やり教えない事。この二つを守るならいいわよ」
いいんだ。
興味を出さすことができれば教えてもいいってことか・・・。噛み砕いてか・・・、難しいな・・・。できるかな?
でも、わくわくする。
これからも楽しみだな・・・。
すごく小さい。
真っ赤な顔で元気に泣いていた。小さな身体のどこからそんな声がでてくるの?って思うくらい。
昔、お母さんからわたしが生まれた時はお猿さんのようだったっ言ってたけど、絶対にお猿さんより可愛いわ。
手が小さいの。指が細いの。
触ったら壊れてしまいそうだった。
でもリサが『大丈夫よ』って言ってくれた。
『薬を作る時みたいに優しくしてくれたらいいのよ』って。
そうか!って思った。
リサはすごい。
わたしにもわかりやすく言ってくれるから。
わたしは小さい頃からおかしかった。どうおかしいかっていうと、他の子たちが楽しくしている遊びとかが、どうして楽しいのかわからなかった。
わたしは蟻の動きを見るのが楽しかったし、おもちゃの仕組みが気になった。
でも、それが他人はそれを面白いとは思わないらしい。わたしの感性が他の子と違うなんて知らなかった。わからなかった。
大きくなるにつれて、幼馴染たちはいなくなった。
『つまんない』『変だよ』『おかしくない?』『変わってるね』『付き合いきれない』
そんな事を言われて離れていった。
唯一、お父さんとお母さんはわたしを変な目で見なかった。
『マリーンはマリーンよ。
マリーン、一つだけ覚えておいて。世の中には色々な人がいるの。みんな自分自身を守りたいから多数派について少数派を非難することがあるの。異物を排除しようとする事もある。
確かに悪い事だわ。でもそれは仕方ない事でもあるとわたしたちは思っている。人間ですもの。強い人についていこうとしてしまうのは当たり前よ。一人だと怖く思ってしまうから。
でもね。一人だからってそれは悪い事ではないわ。
マリーンはきっとわたしたちに見えていない世界を見ているんでしょう。それを理解してくれる人は少ないかもしれない。
でも、きっとあなたを理解してくれる人がいる。その人に会えた時はその人を信じなさい』
お母さんはそう言いながら笑ってくれた。
その時は意味がわからなかった。
お母さんたちは無理をしてわたしを学園に入れてくれた。
お母さんは家庭教師をし、お父さんも一生懸命働いて、わたしの学園の入学金を工面してくれた。
わたしは一年で、卒業までの内容を終わらすことができた。先生はそんなわたしに『研究』という道をさし示してくれた。
楽しかった。
わたしの『どうして?』『どうなる?』という好奇心を満たしてくれた。
尽きない興味を好きなだけ研究してもよかった。
その間、お母さんは大口だったの屋敷の家庭教師を辞める事になった。
慣れない他の仕事をやりながら費用を工面してくれた。
飛級をした事で奨学金が受けてはいたが、予算も少ない『研究』に対しては費用が嵩んでいた。
いずれ成功して親孝行をしよう。
そんな事を思っていた時にエフタール風邪が流行った。
お父さんもお母さんもあっという間にだった。自分の健康を恨んだ。
わたしも一緒に逝ってしまいたかった。
学園内もエフタール風邪の影響を受けていた。
授業どころでない。
奨学金の手続きさえ、できない有様。
研究もできない。
わたしは退学を余儀なくされた。
どうしよう・・・。
どうすればいいかわからなかった。
しばらくは従兄妹の家に身を寄せた。
でも、やる気も起こらなかった。
しかも、わたしは家事スキルがなかった。
全てを『研究』をする事に捧げていた。
今更のようにお母さんの偉大さを知った。
お父さんの強さを知った。
二人の暖かさが恋しかった。
そんな時、サリーナがやってきた。
お母さんの教え子だと。
サリーナは『一緒に働いて欲しい』『あなたの力を貸して欲しい』と言ってきた。
わたしは不完全な人間である事を告げた。
でもサリーナは笑っていた。
『どこが?同じ人間でしょう?顔があって、考えることができて、血が通っていているんでしょう?世の中、目の見えない人もいるし、生まれつき身体が欠損している人もいるけどみんな人間でしょう?何が違うの?不完全で何が悪いの?』
大真面目に言ってきた。
この人も変わってる。
「わたしは先生に先生からたくさんの事をもらったのにまだ恩返ししてない。あなたもそうじゃない?」
うん。
してない。
「先生が伝えたかった事もまだわからない事もある」
うん。
わたしもまだ見つけてない。
「だから、一緒に行こう」
「うん!」
サリーナはわたしを受け入れてくれた。
サリーナも変わり者だと思う。
頑固だとも思う。
でもでも、サリーナの隣は安心できた。
どんな的外れなことでも話を聞いてくれた。
アドバイスをくれた。
サリーナが名前を変えて帝国に行くと言ったからついて行った。
自由に研究だってさせてくれた。
わたしを縛らないでくれた。
中途半端な研究資料。
途中でつまって飽きたものもある。
それを他のみんなに見せた。
興味を持ってくれた。
楽しい。
わたしみたいな人間がいっぱいいたんだって安心もした。
サリーナ・・・リサに出会えたことは、わたしにとって最高だと思う。
いつの間にか、リサを信じていた。
お母さんの言葉を思い出していた。
わたしはずっと飽きずに赤ちゃんを見ていた。
わたしが知る知識をこの子にも教えてあげたい。
いろんな事を見せてあげたい。
「ねぇ~、いっぱいいっぱいわたしが知ってること教えていい?」
「お手柔らかにね。あと・・・」
「あと?なにぃ~?」
「教えるにあたって噛み砕いて根気よく教える事。基礎はともかく、突っ込んだ分野に関しては子供が興味がなさそうな事は無理やり教えない事。この二つを守るならいいわよ」
いいんだ。
興味を出さすことができれば教えてもいいってことか・・・。噛み砕いてか・・・、難しいな・・・。できるかな?
でも、わくわくする。
これからも楽しみだな・・・。
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