19 / 36
19.アルト視点
しおりを挟む
早いもので、冬休み前の終了パーティーになった。
あれからもあの女な行動はとどまるところを知らずにいた。
何組かのカップルの婚約が破綻している。
彼女は媚びを売る。
「わたし知らなかったんですぅ」を常套句にして上目遣いをしてくるのだ。
他の男子生徒をそれで落としながら、殿下や僕にまで縋ってこようとするのだから悍ましい。
その間、ミリアは数えるほどしか学園で見かけることをしなくなった。
あれほどまであの女のそばにいたのが嘘のようだ。
なのに、ミリアの悪女的な噂は広まっていた。
ミリアがあの女をけしかけている、操っている説や、彼女と一緒になってお布施の一部を悪用しているという説まである。
そして、それはバードの調査により事実と確認された。
屋敷の資金が不当に出金されていると執事から密告がはいったのだ。
ミリアが引き出しているのだとー。しかも用途が一向にわからない。
バードはミリアの行いにショックを受けて殿下に泣いて謝ってきた。
見るに耐えない姿を前にして怒りが湧く。
この頃にはミリアが信じられなくなりつつあった。
真実を聞こうにも聞けない。
彼女は僕をもうー。
それも今日までにするのだ。
パーティーには国王陛下や重鎮もいる。この機会を逃してはならない。すべてを明らかにするのだ。
「アルト覚悟はいいか」
「はい・・・」
口の中が乾く。気を引きめるために大きく深呼吸をしてから前を向いた。
殿下を筆頭にメリアーナ嬢、アリナ嬢と共にパーティー会場に足を踏み入れ、ミリアとあの女名前にたちはだかった。
僕らの重々しい雰囲気に誰もが音を失くす。
「王太子殿下~」
花でも咲いたかのような場違いな声をだす聖女。
これが終わりだと気付いていないのだろう。
僕は彼女の横にいるミリアを見た。
初めて僕はミリアにドレスを贈らなかった。
見たことのないドレスを身に纏うミリアの姿。胸がしめつけられる。
久しぶりに真正面から見たミリアの表情は以前と変わらない柔らかなものだった。
パーティー仕様のせいか、いつもより化粧が濃い気がする。
いや、彼女を変化を考えれば、化粧の仕方自体を変えたのかもしれない・・・。
「わたしにごようですか?」
あの女ー聖女は顔を輝かせている。
ウキウキとした声に反して殿下は冷たい声をだした。
「サシャ・エレスト伯爵令嬢。君の聖女としての称号を剥奪させてもらう」
「えっ?」
殿下の声に周囲がざわめき始める。
聖女も目を丸くしていた。そんな彼女を無視して殿下は続ける。
「証拠は揃っている。君が聖女でありながら欲に溺れて、不当なお布施を巻き上げていることは証明されている。平等を謳う聖女が身分によって差別を図っていることお布施の中身によって治療に差をつけていることもわかっている」
「なによ・・・」
聖女は首をコテンと傾げた。
「それの何がダメなのよ?」
不思議そうに聞き返してくる。その顔はいたって真面目だ。
自分が悪いことをした自覚がないのかー。
「わたしは聖女よ?わたしが治療するのだから、どんな治療をしようとわたしの勝手じゃない?ちゃんと聖女としてのお役目はしてるし。きちんと頑張ってるわ。だからちょっと贅沢やひいきぐらいいいじゃんじゃないの?それの何がいけないことなの?」
その発言に誰もが驚いたような顔をしている。
「待って!聖女としての行動を理解してないの?」
メリアーナ嬢がまさか!?といった感じで隣でつぶやく。
「君は・・・」
殿下さえも驚き、手で顔を覆う。
「聖女失格だ・・・」
「えっ?どういうこと?」
「このぶんじゃ、君は自分の聖女としての力も失われかけていることを自覚していないのか?」
「なになに?わかんない」
彼女は思っていた反応と違っていたのか、不安になっているようでキョロキョロと周りを見渡しだした。
それを見るしかない。
「聖女の力・・・は神が認めたことで、癒しの力が発現されるとされている。信仰心次第で強くも弱くもなるものなんだ・・・」
「えっ?どういう・・・・・・」
「知らなかったのか?理解しようとしなかったのか・・・。まぁ、今更どっちでもいい。今の君にはほぼ癒しの力はないだろう。ないからには聖女としては認められないのだから・・・」
聖女は自分の手を呆然と見ていた。
「力弱くなってるの?嘘!?昨日もちゃんと治したわ。お礼だって言ってくれたもの!!」
「治療院にくる人が減っていただろう・・・」
「それは・・・わたしが直したから、病気になる人が減って・・・」
「君にかかっても治らないのがわかったから人が来なくなっただけだ」
本当に気づいていなかったのか。
どれだけご都合主義なんだ。
まだ理解しきっていない彼女に殿下が淡々と語る。
「君は辺境の地にある教会に行ってもらう」
「へっ?なんで?」
「一度は聖女として名を残したからには王都には置いては置けない。だからといって聖女だったからには国外追放もできない。そうなれば君の生きていける場所は情報が制限されている辺境の地しかない」
「・・・やぁだ。せめて・・・両親のところが・・・」
「聖女として送り出したはずが聖女の資格を失った君が帰ってどうなると思うんだ?苦しい思いを両親にもさせるのか?」
欲に溺れて聖女でなくなったというだけで、非難されるとは思わないのだろうか?
「でもでも、だって・・・。ミリア様、助けて!!」
聖女はミリアを振り返り見た。
その顔はにこやかだった。
あれからもあの女な行動はとどまるところを知らずにいた。
何組かのカップルの婚約が破綻している。
彼女は媚びを売る。
「わたし知らなかったんですぅ」を常套句にして上目遣いをしてくるのだ。
他の男子生徒をそれで落としながら、殿下や僕にまで縋ってこようとするのだから悍ましい。
その間、ミリアは数えるほどしか学園で見かけることをしなくなった。
あれほどまであの女のそばにいたのが嘘のようだ。
なのに、ミリアの悪女的な噂は広まっていた。
ミリアがあの女をけしかけている、操っている説や、彼女と一緒になってお布施の一部を悪用しているという説まである。
そして、それはバードの調査により事実と確認された。
屋敷の資金が不当に出金されていると執事から密告がはいったのだ。
ミリアが引き出しているのだとー。しかも用途が一向にわからない。
バードはミリアの行いにショックを受けて殿下に泣いて謝ってきた。
見るに耐えない姿を前にして怒りが湧く。
この頃にはミリアが信じられなくなりつつあった。
真実を聞こうにも聞けない。
彼女は僕をもうー。
それも今日までにするのだ。
パーティーには国王陛下や重鎮もいる。この機会を逃してはならない。すべてを明らかにするのだ。
「アルト覚悟はいいか」
「はい・・・」
口の中が乾く。気を引きめるために大きく深呼吸をしてから前を向いた。
殿下を筆頭にメリアーナ嬢、アリナ嬢と共にパーティー会場に足を踏み入れ、ミリアとあの女名前にたちはだかった。
僕らの重々しい雰囲気に誰もが音を失くす。
「王太子殿下~」
花でも咲いたかのような場違いな声をだす聖女。
これが終わりだと気付いていないのだろう。
僕は彼女の横にいるミリアを見た。
初めて僕はミリアにドレスを贈らなかった。
見たことのないドレスを身に纏うミリアの姿。胸がしめつけられる。
久しぶりに真正面から見たミリアの表情は以前と変わらない柔らかなものだった。
パーティー仕様のせいか、いつもより化粧が濃い気がする。
いや、彼女を変化を考えれば、化粧の仕方自体を変えたのかもしれない・・・。
「わたしにごようですか?」
あの女ー聖女は顔を輝かせている。
ウキウキとした声に反して殿下は冷たい声をだした。
「サシャ・エレスト伯爵令嬢。君の聖女としての称号を剥奪させてもらう」
「えっ?」
殿下の声に周囲がざわめき始める。
聖女も目を丸くしていた。そんな彼女を無視して殿下は続ける。
「証拠は揃っている。君が聖女でありながら欲に溺れて、不当なお布施を巻き上げていることは証明されている。平等を謳う聖女が身分によって差別を図っていることお布施の中身によって治療に差をつけていることもわかっている」
「なによ・・・」
聖女は首をコテンと傾げた。
「それの何がダメなのよ?」
不思議そうに聞き返してくる。その顔はいたって真面目だ。
自分が悪いことをした自覚がないのかー。
「わたしは聖女よ?わたしが治療するのだから、どんな治療をしようとわたしの勝手じゃない?ちゃんと聖女としてのお役目はしてるし。きちんと頑張ってるわ。だからちょっと贅沢やひいきぐらいいいじゃんじゃないの?それの何がいけないことなの?」
その発言に誰もが驚いたような顔をしている。
「待って!聖女としての行動を理解してないの?」
メリアーナ嬢がまさか!?といった感じで隣でつぶやく。
「君は・・・」
殿下さえも驚き、手で顔を覆う。
「聖女失格だ・・・」
「えっ?どういうこと?」
「このぶんじゃ、君は自分の聖女としての力も失われかけていることを自覚していないのか?」
「なになに?わかんない」
彼女は思っていた反応と違っていたのか、不安になっているようでキョロキョロと周りを見渡しだした。
それを見るしかない。
「聖女の力・・・は神が認めたことで、癒しの力が発現されるとされている。信仰心次第で強くも弱くもなるものなんだ・・・」
「えっ?どういう・・・・・・」
「知らなかったのか?理解しようとしなかったのか・・・。まぁ、今更どっちでもいい。今の君にはほぼ癒しの力はないだろう。ないからには聖女としては認められないのだから・・・」
聖女は自分の手を呆然と見ていた。
「力弱くなってるの?嘘!?昨日もちゃんと治したわ。お礼だって言ってくれたもの!!」
「治療院にくる人が減っていただろう・・・」
「それは・・・わたしが直したから、病気になる人が減って・・・」
「君にかかっても治らないのがわかったから人が来なくなっただけだ」
本当に気づいていなかったのか。
どれだけご都合主義なんだ。
まだ理解しきっていない彼女に殿下が淡々と語る。
「君は辺境の地にある教会に行ってもらう」
「へっ?なんで?」
「一度は聖女として名を残したからには王都には置いては置けない。だからといって聖女だったからには国外追放もできない。そうなれば君の生きていける場所は情報が制限されている辺境の地しかない」
「・・・やぁだ。せめて・・・両親のところが・・・」
「聖女として送り出したはずが聖女の資格を失った君が帰ってどうなると思うんだ?苦しい思いを両親にもさせるのか?」
欲に溺れて聖女でなくなったというだけで、非難されるとは思わないのだろうか?
「でもでも、だって・・・。ミリア様、助けて!!」
聖女はミリアを振り返り見た。
その顔はにこやかだった。
124
あなたにおすすめの小説
お望み通り、消えてさしあげますわ
梨丸
恋愛
一国の次期王妃と言われていた子爵令嬢アマリリス。
王太子との結婚前夜、彼女は自ら火を放ち、死んだ。
国民達は彼女の死を特に気にもしなかった。それどころか、彼女の死を喜ぶ者もいた。彼女の有していた聖女の力は大したものではなかったし、優れているのは外見だけの“役立たずの聖女”だと噂されるほどだったから。
彼女の死後、すぐさま後釜として皆に好かれていた聖女が次期王妃に召し上げられた。
この国はより豊かになる、皆はそう確信した。
だが、“役立たずの聖女”アマリリスの死後──着実に崩壊は始まっていた。
※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)
【完結済】ラーレの初恋
こゆき
恋愛
元気なアラサーだった私は、大好きな中世ヨーロッパ風乙女ゲームの世界に転生していた!
死因のせいで顔に大きな火傷跡のような痣があるけど、推しが愛してくれるから問題なし!
けれど、待ちに待った誕生日のその日、なんだかみんなの様子がおかしくて──?
転生した少女、ラーレの初恋をめぐるストーリー。
他サイトにも掲載しております。
母を亡くした公爵令嬢は、虐げられないが、今日も願いが叶わない
春風由実
恋愛
「何故お前が生きた?」
それは怪我をして長く眠っていたエルリカが、目覚めた直後に父親である公爵から掛けられた言葉だった。
「お前こそが、女神の元に行くべきだった!」
父親から強い口調で詰られたエルリカ。
普通の令嬢は、ここで泣くか、その後立ち直れなくなるという。
けれどエルリカは違った。
「あなたこそ、何をのうのうと元気にしているのですか?」
そうしてこの日父娘は、それぞれに絶縁を宣言した。
以来、母方の祖父母に引き取られ、侯爵領で過ごしてきたエルリカ。
ところが公爵は、いつまでもエルリカを除籍する手続きを実行しなかった。
おかげで名ばかりの公爵令嬢のまま、エルリカが王都へと戻る日がやって来てしまう──。
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
【本編完結・番外編追記】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。
As-me.com
恋愛
ある日、偶然に「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言する婚約者を見つけてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃりますが……そんな婚約者様はとんでもない問題児でした。
愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私は他の女性を愛するあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄します!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
番外編追記しました。
スピンオフ作品「幼なじみの年下王太子は取り扱い注意!」は、番外編のその後の話です。大人になったルゥナの話です。こちらもよろしくお願いします!
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』のリメイク版です。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定などを書き直してあります。
*元作品は都合により削除致しました。
虐げられた令嬢は、耐える必要がなくなりました
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私アニカは、妹と違い婚約者がいなかった。
妹レモノは侯爵令息との婚約が決まり、私を見下すようになる。
その後……私はレモノの嘘によって、家族から虐げられていた。
家族の命令で外に出ることとなり、私は公爵令息のジェイドと偶然出会う。
ジェイドは私を心配して、守るから耐える必要はないと言ってくれる。
耐える必要がなくなった私は、家族に反撃します。
たのしい わたしの おそうしき
syarin
恋愛
ふわふわのシフォンと綺羅綺羅のビジュー。
彩りあざやかな花をたくさん。
髪は人生で一番のふわふわにして、綺羅綺羅の小さな髪飾りを沢山付けるの。
きっと、仄昏い水底で、月光浴びて天の川の様に見えるのだわ。
辛い日々が報われたと思った私は、挙式の直後に幸せの絶頂から地獄へと叩き落とされる。
けれど、こんな幸せを知ってしまってから元の辛い日々には戻れない。
だから、私は幸せの内に死ぬことを選んだ。
沢山の花と光る硝子珠を周囲に散らし、自由を満喫して幸せなお葬式を自ら執り行いながら……。
ーーーーーーーーーーーー
物語が始まらなかった物語。
ざまぁもハッピーエンドも無いです。
唐突に書きたくなって(*ノ▽ノ*)
こーゆー話が山程あって、その内の幾つかに奇跡が起きて転生令嬢とか、主人公が逞しく乗り越えたり、とかするんだなぁ……と思うような話です(  ̄ー ̄)
19日13時に最終話です。
ホトラン48位((((;゜Д゜)))ありがとうございます*。・+(人*´∀`)+・。*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる