婚約者の王太子が偽聖女を連れてきたので、城から出て行くことになりました。【短編集】

先輩を振り向かせたい後輩の話。

いつか好きになってね

次の日の放課後。
今日もまた先輩と投資のお勉強。

「今日は投資信託を紹介するね。俺もやってるんだ」
「投資信託って？」
「複数の投資家から集めた資金を運用のプロであるファンドマネージャーが株式や債券などで運用してくれる金融商品なんだ。少額から投資できるから、初心者でも始めやすいよ」
「へぇー！便利ですね！」
「金融商品のリスクとリターンは比例しているんだ。預貯金なんかは増えることはほとんどないけど、減ることはないよね？」
「そうですね」
「株は増えたり減ったり、値動きが激しかったりする」
「はい」
「基本的に預貯金、債券、投資信託、株の順でリターンとリスクは上がっていくんだ」

預貯金も一種の金融商品なんだなぁ。
債券とかは国債や社債のことよね？
昨日、ちょっと勉強したから少しは用語が分かるようになってきたな。

「先輩、投資信託は株や債券などを組み込んでいるから値動きのリスクがあるのは分かるのですが、他のリスクって何があるんですか？」
「信用リスク、為替リスクなどが挙げられるね。まぁ、商品によって異なるんだけどね」
「商品？異なる？投資信託にも色々あるってことですね」
「そう。投資信託の中で俺がオススメしたいのはインデックスファンドなんだ」
「インデックスファンド？」
「市場の値動きを示す指数であるインデックスに連動することを目指す投資信託なんだ。比較的低コストの手数料だからお財布に優しい！その分、リターンは少なめだけど。それでも預貯金の利子よりはずっと増えていくのが早いよ！」
「なるほど！」
「先輩に色々教えてもらって、とっても勉強になっています！」
「そう言ってもらえると、俺も嬉しいよ」
「先輩…、私もっと教えてほしいので…、その、えっと、連絡先教えてくれませんかっ！」
「…あれ？教えてなかったっけ？」
「はいっ！」
「そっか、もう知ってると思ったたけど、交換しよっか！」
「はいっ！」

そうして先輩と連絡先を交換できた。
まだまだ恋愛感情では見られていないとは思う…。
でも、私諦めないの。
先輩との距離を縮めて、いつか好きになってもらう。

そう、インデックスファンドの儲けみたいに。
少しずつ、少しずつね！