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転校
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俺、桜木谷 彩陽。高2。ヤンキーやってる。っても別に不良になりたいん訳じゃないんだけど。常にマスクしてるのと、赤紫っぽく染めた髪が肩まで伸びたのをハーフアップにしてるのと元々の無口&無表情がフルコンボでヤンキーとか不良とかの部類に仲間入りしたと思う。容姿のせいで絡まれる事もあるがちゃんと喧嘩強いから大丈夫だ。
そんで、色々あって転校することになった。今日が転校初日だ。田舎の高校から都内の高校に来たけど驚いた。全部のスケールがでかい。建物は大きいしとりあえず人多いし駅デカイし。初日だというのに遅刻する。やばい。…いやいや、俺はヤンキーだからな、遅刻くらいどうってこと……いや、先生に迷惑かかるよな。6月とかいう微妙な時期の転校で既に迷惑かけてるんだから。やっぱり遅刻は良くないな。印象も悪いもんな。急ごう。
最悪だ迷った。
地図アプリは…ってスマホの使い方はよく分かんないんだった。ってかここどこ!?
ちょっとしたパニックになっていると、
「君、成藍高校の生徒だよね?」
と黒い服に身を包むイケメンが話しかけてきた。
「…はい」
やっべぇめっちゃ暗い声出た。せっかく高校の場所知ってそうな人に会えたのに。
だがそいつは奥せず話しかけてきた。そもそも俺の容姿を気にしないで話しかけてきたんだから当然か。それとも都会ってこれが普通なの?
わかんないけどとりあえず道を教えて貰った。
久しぶりに人の好意を受けて、「またね」と言われてかなり嬉しくて胸がきゅーっとなったのは内緒だ。
その後、「可愛い子発見」なんて言ってたのはもちろん聞こえていなかった。
教えてもらった通りに行ったらちゃんと着くことが出来た。良かった。結局遅刻だから良かったのかどうかは分からないけど。
指定されていた2年7組のドアの前に立つ。ちなみに成藍高校は馬鹿でかい高校で、一学年1240人前後居た気がする。つまり、教室にたどり着くまで余計に時間かかったという事だ。教室から声が聞こえるので耳をそばだてた。
「今日転校生来るって噂だけど」
「ホームルーム始まらないし、ってか先生居ないし、どゆこと?」
「え、待って転校生不良だとかいう噂ガチなの?初日から遅刻ってこと?」
いやえげつねぇ情報網だな?なんでそこまで伝わってんだよ。教室入りづれーとげんなりしてた時だった。
「いや、これから来るんだしどんな人か分かんないじゃん。たかが噂だし。そういうの良くないだろ」
またも胸がきゅーってなる。
なんだよめっちゃ優しいじゃん神じゃん(?)
ドアの前で立ち尽くしていると
「あ、お前!桜坂だな!?やっと見つけた…
」
と後ろから聞こえてきた。振り向くと小柄な女性が。なるほど担任か。探してたんだろうな。迷惑かけたなぁ…
「すんません、遅刻して。自分が桜坂っす」
と言うと、少し驚いたような顔をして、「特別に許~す!」なんてノリのいい事を言う。きっと生徒に好かれる良い先生なんだな。当たりを引けて良かった。
その後先に先生が入り、後から俺が入って自己紹介の流れに。
「えっと、桜坂 彩陽って言います。…千葉県の君津ってところから来ました。…」
やぁばい言うことがねぇ。
「何かこいつに質問あるかー?」
先生が咄嗟のフォローを入れてくれる。ナイス。
「なんか好きな事ありますかー?」
多分クラスのムードメーカー的な存在であろう男子生徒が手を上げる。
「えっと、映画、とか、、好きです。」
答えるとほぼ同時にどこからか声が上がる。
「不良ってまじ?」
おっとどストレート。少し教室がざわめいた。「おい失礼だろー」と誰かが面白そうに言う。これどう答えるのが正解?不良になりたくてなったわけじゃないけど一応不良だし…?俺の出した答えは
「……一応」
と言うなんともおかしな回答だった。
だが選択は間違っていなかったようで、間抜けな回答に少し空気が和んだのを感じた。
自己紹介はその後少しやってから穏便に終わり、1番後ろ窓際の席に案内された。
その後ホームルームが終わり、周りからのなんとも形容し難い視線を浴びる。一応不良な俺だから、近寄り難いが気になる、そんなところだろう。不意に横を向いたら爽やかイケメンと目が合った。
「俺、崎森 春弥、よろしく」
ふっと笑顔を向けられる。そもそも向けられてない笑顔がイケメンのものなのだから俺はどうしていいかわからなくて、少し目を逸らしながら「ん、よろしく」なんて無愛想に返してしまった。
この無口&無表情、どうにかならないかな。多分彼はクラスのカースト上位だったのだろう。近寄り難いが気になる、が、崎森君の好意を無下にした奴、に変わったのは直ぐにわかった。
あまりに居心地が悪く、頬杖を付いて窓の外を見てやり過ごすことにした。
やっぱおれ他人と仲良く、なんて向いてねぇのかも。
そんで、色々あって転校することになった。今日が転校初日だ。田舎の高校から都内の高校に来たけど驚いた。全部のスケールがでかい。建物は大きいしとりあえず人多いし駅デカイし。初日だというのに遅刻する。やばい。…いやいや、俺はヤンキーだからな、遅刻くらいどうってこと……いや、先生に迷惑かかるよな。6月とかいう微妙な時期の転校で既に迷惑かけてるんだから。やっぱり遅刻は良くないな。印象も悪いもんな。急ごう。
最悪だ迷った。
地図アプリは…ってスマホの使い方はよく分かんないんだった。ってかここどこ!?
ちょっとしたパニックになっていると、
「君、成藍高校の生徒だよね?」
と黒い服に身を包むイケメンが話しかけてきた。
「…はい」
やっべぇめっちゃ暗い声出た。せっかく高校の場所知ってそうな人に会えたのに。
だがそいつは奥せず話しかけてきた。そもそも俺の容姿を気にしないで話しかけてきたんだから当然か。それとも都会ってこれが普通なの?
わかんないけどとりあえず道を教えて貰った。
久しぶりに人の好意を受けて、「またね」と言われてかなり嬉しくて胸がきゅーっとなったのは内緒だ。
その後、「可愛い子発見」なんて言ってたのはもちろん聞こえていなかった。
教えてもらった通りに行ったらちゃんと着くことが出来た。良かった。結局遅刻だから良かったのかどうかは分からないけど。
指定されていた2年7組のドアの前に立つ。ちなみに成藍高校は馬鹿でかい高校で、一学年1240人前後居た気がする。つまり、教室にたどり着くまで余計に時間かかったという事だ。教室から声が聞こえるので耳をそばだてた。
「今日転校生来るって噂だけど」
「ホームルーム始まらないし、ってか先生居ないし、どゆこと?」
「え、待って転校生不良だとかいう噂ガチなの?初日から遅刻ってこと?」
いやえげつねぇ情報網だな?なんでそこまで伝わってんだよ。教室入りづれーとげんなりしてた時だった。
「いや、これから来るんだしどんな人か分かんないじゃん。たかが噂だし。そういうの良くないだろ」
またも胸がきゅーってなる。
なんだよめっちゃ優しいじゃん神じゃん(?)
ドアの前で立ち尽くしていると
「あ、お前!桜坂だな!?やっと見つけた…
」
と後ろから聞こえてきた。振り向くと小柄な女性が。なるほど担任か。探してたんだろうな。迷惑かけたなぁ…
「すんません、遅刻して。自分が桜坂っす」
と言うと、少し驚いたような顔をして、「特別に許~す!」なんてノリのいい事を言う。きっと生徒に好かれる良い先生なんだな。当たりを引けて良かった。
その後先に先生が入り、後から俺が入って自己紹介の流れに。
「えっと、桜坂 彩陽って言います。…千葉県の君津ってところから来ました。…」
やぁばい言うことがねぇ。
「何かこいつに質問あるかー?」
先生が咄嗟のフォローを入れてくれる。ナイス。
「なんか好きな事ありますかー?」
多分クラスのムードメーカー的な存在であろう男子生徒が手を上げる。
「えっと、映画、とか、、好きです。」
答えるとほぼ同時にどこからか声が上がる。
「不良ってまじ?」
おっとどストレート。少し教室がざわめいた。「おい失礼だろー」と誰かが面白そうに言う。これどう答えるのが正解?不良になりたくてなったわけじゃないけど一応不良だし…?俺の出した答えは
「……一応」
と言うなんともおかしな回答だった。
だが選択は間違っていなかったようで、間抜けな回答に少し空気が和んだのを感じた。
自己紹介はその後少しやってから穏便に終わり、1番後ろ窓際の席に案内された。
その後ホームルームが終わり、周りからのなんとも形容し難い視線を浴びる。一応不良な俺だから、近寄り難いが気になる、そんなところだろう。不意に横を向いたら爽やかイケメンと目が合った。
「俺、崎森 春弥、よろしく」
ふっと笑顔を向けられる。そもそも向けられてない笑顔がイケメンのものなのだから俺はどうしていいかわからなくて、少し目を逸らしながら「ん、よろしく」なんて無愛想に返してしまった。
この無口&無表情、どうにかならないかな。多分彼はクラスのカースト上位だったのだろう。近寄り難いが気になる、が、崎森君の好意を無下にした奴、に変わったのは直ぐにわかった。
あまりに居心地が悪く、頬杖を付いて窓の外を見てやり過ごすことにした。
やっぱおれ他人と仲良く、なんて向いてねぇのかも。
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