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【男のやくそく】
しおりを挟む「くやしかったら、あしたちこくしないできてみろよ」
「そうだ、そうだ、マキオのチコク虫」
マキオは本当にしゃくにさわってしょうがありません。
「ああ、きてやろうじゃないか、きてやるよ。あしたはぜったいちこくしないからな」
そういいきったマキオにむかって、いじめっこのケンヤはまじめな顔つきになり、いいました。
「もし、ちこくしたら、どうするんだ」
マキオはちょっと考えていましたが、すぐ大きく目をみひらいて、おもいきってこう言いました。
「そのときは、エミちゃんのとなりの席をゆずってやるよ」
髪のながくて、目の大きなエミちゃんは、やさしくて、勉強もスポーツもがんばる女の子でしたので、クラスの男の子たちのあこがれでした。
「おうし、おとこのやくそくだからな、コーイチがしょうにんだ」
そういってケンヤは、振り子のようにゆれているブランコの上のコーイチのほうを向いて、目で合図をしました。
「おれが、しょうにんだ」
波にゆれるブランコから、コーイチはそういうのとどうじに、マキオにむかって、くつをカタッポ飛ばしました。
マキオは自分のすぐ横に飛んできたくつがころがる様子を目にして、コーイチをにらみかえしました。
そして、とつぜんコーイチのくつをひろうと、後ろのへいにふりかえり、学校の校庭に投げこみました。
「このやろう――」
コーイチの声が聞こえてくるやいなや、マキオはかけだしました。
〈続く〉
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