見た目金髪ヤンキーの聖者様、龍王様に溺愛されてます

神代天音

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4 これから

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 ぐっすり眠れて目を覚ます。
 見知らぬところ、見知らぬ人ばっかりの場所でぐっすり寝られるほど図太い性格ではなかった気がするんだけど……。
 何だか昨日から安心しきっている気がする。何で何だろう?
 考えてふと思い当たるのはイシュアさんのこと。イシュアさんがいるから、何だか安心しきっている気がする。



 ——コンコンコンッ

「カナデ様、お目覚めですかの。お入りしてもよろしゅうございましょうか?」

 考え事をしていると扉がなった。誰かが起こしに来てくれたらしい。声からして、レオヴィルさんだろうか?

「はい、入っても大丈夫です」

 声をかけると、やはりレオヴィルさんが入ってきた。

「おはようございます、カナデ様」
「おはようございます、レオヴィルさん」

 するとレオヴィルさんは僕を上から下まで見渡して、クローゼットらしき扉に向かった。
 そして、上下の服のセットかな。服を抱えて戻ってきた。

「いやはや、じぃとしたことが気が利きませず。よろしければ、本日はこのお服にお着替えを」

 そう言って先程の服を差し出してくる。見てみると普通に白シャツに黒いズボンのようだ。

「僕が他の扉を開けていいかわからなかっただけなので……。これはありがたく着させてもらいます」
「それはようございました。それでは、じぃは廊下にて控えておりますゆえ。お召し替えがお済みになりましたら、どうぞ外へお出ましくださいな」
「はい、わかりました」

 レオヴィルさんが退出していくのを見届けて、急いで着替える。これでも結構早着替えができる方。1分で上下を着替えて、自分の服はしっかり畳んでベットに置いておく。

「着替え終わりました」
「それではいきましょうか」

 そうして連れて行ってくれたのは、食堂のような部屋だった。もうイシュアさんがいて、食事も並んでいる。これから食事が始まるっぽい。

「おはよう、カナデ」
「おはようございます、イシュアさん」

 僕が着席してすぐに、食事が始まる。僕は少しくるのが遅かったようだ。

「イシュアさん、僕少し遅かったですか?」
「いや、カナデはちょうど良いくらいだ。俺がカナデに会うのが楽しみで、早くきてしまったんだ」

 そう言われて、心臓が早鐘を打つ。顔が真っ赤になっているような気がする。
 これは、自惚れちゃいけないやつ。社交辞令。

「それなら、よかったです」

 何とか平常心で返したつもりだったけど、なんだかそっけなくなってしまった。めちゃくちゃ動揺している。

 朝食は柔らかい白いパンにスープ、サラダに飲み物と王城にしてはシンプル。でも、あまり朝は食べられない僕にはありがたい。

「カナデ、今日は一緒に過ごせない。このあとシュリエンに政務を詰め込まれてしまった。だから、部屋で自由に過ごしてもらおうと思っている」
「部屋で自由に……ですか」

 部屋で自由に。そう言われても何かしていないと気が済まない。まだ仕事なんかは任せてもらえないにしても、とりあえずこの世界のことについて学びたい。

「イシュアさん、このお城に書庫や図書室はありますか?」
「図書塔があるが……」
「そこに入らせてもらいたいんです。今日この国について勉強したくて……」

 ダメ元で頼んでみる。ダメだったら誰か暇な人を呼んでもらって口頭でだずねよう。

「問題ない。朝食後に誰か使用人をつけて案内させよう」
「ありがとうございます!」

 これで今日の予定が埋まった。



 そのあとはイシュアさんと時々喋りながら和やかに朝食の時間を過ごした。
 そして、朝食後。またレオヴィルさんに部屋まで案内してもらう。

「これより、図書塔へご案内する者をお連れしてまいりますので、どうぞしばしお待ちくださりませ」
「わかりました」

 レオヴィルさんがどれくらいで戻ってくるかわからないから、手持ち無沙汰になる。この部屋に何があるかもまだ把握していないし、どうしよう。
 そんなことを考えていたが——。

 ——コンコンコンッ

「お入りしてもよろしゅうございましょうか?」
「どうぞ」

 まさかの3分でレオヴィルさんが帰ってきてしまった。
 そして、部屋に入ってきたレオヴィルさんの後ろには、もう1人男の人が続いて入ってきた。

「こちら、本日カナデ様をご案内いたします、執事のルゼアにございます。どうぞお見知りおきくださいますよう」
「よろしくお願いします」

 頭を下げたルゼアさんの髪は深い紺色。紺色の龍になるのかな? 所作が静かで、話す声も穏やかな人だ。

「では、じぃはこれより少し用事がございますのでな。あとはルゼア、頼んだぞ」

 そう言って、レオヴィルさんは退出して行った。
 そして、初めましてのルゼアさんと2人きりになる。

「はじめまして。奏です。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

 ルゼアさんは穏やかに微笑んでそう言った。その笑みに違わず、性格も穏やかそうで安心した。

「では、参りましょうか」
「あっ、はい」

 2人で廊下を歩く。でも、誰ともすれ違わない。何で何だろう?

「……ルゼアさん、なんで誰ともすれ違わないんですか?」
「ここは、陛下の私室や執務室のある区画ですので、基本的に許可の出たものしか入ることができません」
「そんなすごいところに僕部屋があるんですか!?」

 思わず叫んでしまい、慌てて周囲を見渡す。人がいなくてよかった、なんて思うの、ちょっと早すぎるかもしれない

「カナデ様は陛下にとって大切なお方。何もおかしいことではございません」
「そう、なんですか?」
「はい」

 よく、わからない。まだ昨日出会ったばかり。そんなふうに言われる覚えはない。

「では、ここから外に出ます」
「はい」

 つらつら考えていると、声をかけられた。
 僕は図書室みたいなものを想像していた。でも、思い出してみると「図書塔」と言っていたような気がしてくる。まさか、塔が全部図書室みたいになっている、なんてことはないよな?

「ここが、図書塔でございます」
「……ここが?」
「はい」

 ルゼアさんがずっと手で指し示したのは、首が痛くなるくらい見上げてやっとてっぺんの見えるような大きな塔だった。

「……この中、全部に本があるんですか?」
「はい、この中全てが書庫となっております」

 すごい、レベルが違いすぎる。
 学校の図書室を想像していた自分が恥ずかしくなる。

 しばらくそうして図書塔を見上げていた。



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