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39 取引(R-18)
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グノシスが目を覚ました時、腹に重みを感じた。見ればフラエが突っ伏しており、彼が助けてくれたのだろうことは、想像に難くなかった。横たえられた状態で、シャツは自分のものなのだろう体液で汚れており、防具も外されている。竜の炎を間近で受けたのだから、きっと身体は酷い状態だったのだろう。
「フラエ……」
胸がいっぱいになる。周りを見れば、竜は静かにこちらを見据えていた。ぞっと鳥肌が立ったが、それが襲い掛かって来る様子はない。
ひとまず彼を起こさなければ、と身体をゆすると、違和感に気づく。へその辺りが濡れており、フラエをどかしてみれば、血のまじった粘液がグノシスの腹を汚していた。
「フラエ」
慌てて彼を起こす。鼻や口から血を流し、ぐったりしていた。その顔色は悪く、頬は青白いを通り越して土気色だ。
咄嗟に脈と呼吸を見る。脈はかなり弱く、呼吸も浅い。あちこちにポーションの瓶が転がっていた。恐らくポーションを大量に服用し、一気に魔力を消費したためのショック反応だろう。一刻も早く治療を受けさせなければ、彼は死んでしまう。
しかし、今すぐ竜を倒さなければ、今にこの一帯は火の海になる。
「畜生、」
グノシスの目から涙があふれた。優先すべきことは分かっている。だけど、今目の前で尽きようとしている命の灯火が愛しくて、悲しくて、つらくて、彼の小さな手を握り込んだ。
「ぐのしす」
息も絶え絶えのフラエの瞳が、うっすらと開く。緑色の瞳がゆるくたわんで、彼が微笑んだのだと分かった。
「よかった。いきてる……」
何もよくない。言い返そうとしたその時、竜が静かに歩み寄ってくる。尾を引きずるようにして歩き、一歩一歩に地響きを伴った。そして傷だらけのそれはグノシスの前で止まり、こうべを下げた。それは、静かに問いかける。
『その子を、助けたいか』
「助けたいに決まってる」
グノシスはぽつりと呟き、のろのろと竜を見上げた。それは『酷い顔だな』とグノシスをからかった。それに反応する気力もなく、フラエを膝に抱えて髪を撫でた。ひっ詰められていた黒髪はほどけて、しどけなく身体にかかっている。竜は愉快と言わんばかりに目を細め、『取引をしよう』と二人に持ち掛けた。
『この子の胎を、私に貸せ。一度だけ、人間の生活をしてみたい』
「は?」
いきなりのことに怪訝な声を出すグノシスに、竜は構わず続ける。フラエは目線だけ竜へと寄越して、ゆっくりと瞬きをした。
『もう、お前の一撃のせいで、どうせ私は長くない』
彼はあくまで二人を認めず、圧倒的な視線で見下ろした。
『だが、その子の胎から産まれなおすなら、いい』
突然のことに目を白黒させるグノシスに構わず、竜は続けた。
『それにお前たちは、愛し合っているようだからな。一度そういった誰かに育てられるのも、悪くなさそうだ』
だからお前がするのは簡単なことだ、とそれはフラエを見た。
『私は今からこの子の胎に入る。そこに、お前の精を注げ』
グノシスは、目の前が真っ暗になった。今から瀕死のフラエを犯して孕ませろと、これは言っている。そんなこと、と震える声で首を横に振るグノシスを横に、竜は何事かを唱えた。そして巨体は光の粒となって浮き上がり、それはフラエの下腹部へと入っていった。
こうして、ダンジョンの主である竜はいなくなった。グノシスたちの当初の目的は、達成された。
「そんな」
グノシスの声は絶望に歪んだ。フラエは浅い呼吸を繰り返しながら、グノシスを呼ぶ。
「いいよ。やって」
「しかしこんなこと、許されるわけがない……!」
グノシスの頬を、涙の粒が何滴も転がっていった。
「お前の身体を利用してしか救えないなら、俺は他の手段を探す。今すぐ治療を受けさせてやる」
「むり、だよ。わかってる……よね……」
フラエの言葉が、どんどんゆっくり、拙くなっていく。
はやく、と呟いて、フラエは目を閉じた。
「いい、よ。あなたなら。いいよ……」
全てを差し出されて、グノシスは悪態をついた。
「クソッ……!」
顔を歪め、自らのベルトを緩めた。彼の腰回りも緩め、股間を露出させる。彼の男の象徴は小さく、淡い色をしていた。後天的に作られた女陰は肉付きが薄く、少女じみている。焦がれ続けた彼の局部を見て、しかし、グノシスは一切の興奮を覚えなかった。
自前のポーションを煽り、体内の魔力を過剰に増やす。たちまち勃起した自らのものに、乾いた笑いが漏れた。
「すまない、フラエ」
せめてと思い、彼の頬に唇を落とした。冷たい頬は涙で濡れていて、それがますます悲しさと罪悪感を煽った。
事は一刻を争う。ろくに愛撫もせずに膣へ挿入すると、そこは思いの外、すんなりとグノシスを受け入れた。彼は既にヌメリツタの種子を出産した経験があるため、膣口も広がりやすいのだろう。何もかもに涙が出る。
「フラエ、すまない……」
目を瞑り、必死に腰を振りたくる。初めて味わう肉の味に、グノシスの身体は歓喜した。心は冷え冷えとするばかりだが、身体は勝手に熱くなり、吐精する。
それに伴って、わずかにフラエの顔色がよくなった気がした。それを見たグノシスは一度腰を引いてものを抜き、手で扱いてもう一度勃起させる。それをフラエに挿入し、腰を振りたくる。
グノシスは、ひたすらにそれを繰り返した。何度彼の中に精を吐き出したか分からない。彼との結合部は精液と血液で汚れ、淫猥な音を立てていた。フラエの身体に徐々に赤みがさし、体温が戻ってくる。もういいだろう、とグノシスはものを引き抜き、息をついた。自分のぐちゃぐちゃになっていたシャツで彼の身体を拭き、できる限り清めてやる。服を着せていると、フラエがぼんやりと目を開ける。
「ぐのしす……?」
「フラエ……」
胸がいっぱいになる。周りを見れば、竜は静かにこちらを見据えていた。ぞっと鳥肌が立ったが、それが襲い掛かって来る様子はない。
ひとまず彼を起こさなければ、と身体をゆすると、違和感に気づく。へその辺りが濡れており、フラエをどかしてみれば、血のまじった粘液がグノシスの腹を汚していた。
「フラエ」
慌てて彼を起こす。鼻や口から血を流し、ぐったりしていた。その顔色は悪く、頬は青白いを通り越して土気色だ。
咄嗟に脈と呼吸を見る。脈はかなり弱く、呼吸も浅い。あちこちにポーションの瓶が転がっていた。恐らくポーションを大量に服用し、一気に魔力を消費したためのショック反応だろう。一刻も早く治療を受けさせなければ、彼は死んでしまう。
しかし、今すぐ竜を倒さなければ、今にこの一帯は火の海になる。
「畜生、」
グノシスの目から涙があふれた。優先すべきことは分かっている。だけど、今目の前で尽きようとしている命の灯火が愛しくて、悲しくて、つらくて、彼の小さな手を握り込んだ。
「ぐのしす」
息も絶え絶えのフラエの瞳が、うっすらと開く。緑色の瞳がゆるくたわんで、彼が微笑んだのだと分かった。
「よかった。いきてる……」
何もよくない。言い返そうとしたその時、竜が静かに歩み寄ってくる。尾を引きずるようにして歩き、一歩一歩に地響きを伴った。そして傷だらけのそれはグノシスの前で止まり、こうべを下げた。それは、静かに問いかける。
『その子を、助けたいか』
「助けたいに決まってる」
グノシスはぽつりと呟き、のろのろと竜を見上げた。それは『酷い顔だな』とグノシスをからかった。それに反応する気力もなく、フラエを膝に抱えて髪を撫でた。ひっ詰められていた黒髪はほどけて、しどけなく身体にかかっている。竜は愉快と言わんばかりに目を細め、『取引をしよう』と二人に持ち掛けた。
『この子の胎を、私に貸せ。一度だけ、人間の生活をしてみたい』
「は?」
いきなりのことに怪訝な声を出すグノシスに、竜は構わず続ける。フラエは目線だけ竜へと寄越して、ゆっくりと瞬きをした。
『もう、お前の一撃のせいで、どうせ私は長くない』
彼はあくまで二人を認めず、圧倒的な視線で見下ろした。
『だが、その子の胎から産まれなおすなら、いい』
突然のことに目を白黒させるグノシスに構わず、竜は続けた。
『それにお前たちは、愛し合っているようだからな。一度そういった誰かに育てられるのも、悪くなさそうだ』
だからお前がするのは簡単なことだ、とそれはフラエを見た。
『私は今からこの子の胎に入る。そこに、お前の精を注げ』
グノシスは、目の前が真っ暗になった。今から瀕死のフラエを犯して孕ませろと、これは言っている。そんなこと、と震える声で首を横に振るグノシスを横に、竜は何事かを唱えた。そして巨体は光の粒となって浮き上がり、それはフラエの下腹部へと入っていった。
こうして、ダンジョンの主である竜はいなくなった。グノシスたちの当初の目的は、達成された。
「そんな」
グノシスの声は絶望に歪んだ。フラエは浅い呼吸を繰り返しながら、グノシスを呼ぶ。
「いいよ。やって」
「しかしこんなこと、許されるわけがない……!」
グノシスの頬を、涙の粒が何滴も転がっていった。
「お前の身体を利用してしか救えないなら、俺は他の手段を探す。今すぐ治療を受けさせてやる」
「むり、だよ。わかってる……よね……」
フラエの言葉が、どんどんゆっくり、拙くなっていく。
はやく、と呟いて、フラエは目を閉じた。
「いい、よ。あなたなら。いいよ……」
全てを差し出されて、グノシスは悪態をついた。
「クソッ……!」
顔を歪め、自らのベルトを緩めた。彼の腰回りも緩め、股間を露出させる。彼の男の象徴は小さく、淡い色をしていた。後天的に作られた女陰は肉付きが薄く、少女じみている。焦がれ続けた彼の局部を見て、しかし、グノシスは一切の興奮を覚えなかった。
自前のポーションを煽り、体内の魔力を過剰に増やす。たちまち勃起した自らのものに、乾いた笑いが漏れた。
「すまない、フラエ」
せめてと思い、彼の頬に唇を落とした。冷たい頬は涙で濡れていて、それがますます悲しさと罪悪感を煽った。
事は一刻を争う。ろくに愛撫もせずに膣へ挿入すると、そこは思いの外、すんなりとグノシスを受け入れた。彼は既にヌメリツタの種子を出産した経験があるため、膣口も広がりやすいのだろう。何もかもに涙が出る。
「フラエ、すまない……」
目を瞑り、必死に腰を振りたくる。初めて味わう肉の味に、グノシスの身体は歓喜した。心は冷え冷えとするばかりだが、身体は勝手に熱くなり、吐精する。
それに伴って、わずかにフラエの顔色がよくなった気がした。それを見たグノシスは一度腰を引いてものを抜き、手で扱いてもう一度勃起させる。それをフラエに挿入し、腰を振りたくる。
グノシスは、ひたすらにそれを繰り返した。何度彼の中に精を吐き出したか分からない。彼との結合部は精液と血液で汚れ、淫猥な音を立てていた。フラエの身体に徐々に赤みがさし、体温が戻ってくる。もういいだろう、とグノシスはものを引き抜き、息をついた。自分のぐちゃぐちゃになっていたシャツで彼の身体を拭き、できる限り清めてやる。服を着せていると、フラエがぼんやりと目を開ける。
「ぐのしす……?」
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