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3 運命の番って?
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俺は思わず腰を抜かして、その場にへたりこんだ。朝食をとっていた家族たち(特に、父さんと母さん)は慌てた様子でわらわらとやってきて、俺の腕をひっつかんで支え、地面へ土下座する形に這いつくばらせる。
ルイ様は「楽にしろ」とやたら落ち着き払った様子で言って、俺を指さした。
「そこのオメガを借りる」
でも畑が、という俺の反論は、父さんの掌でふさがれてしまった。母さんがこくこくと頷いて、俺の背中を押す。立ち上がることを許されて中腰になると、母さんは「ほら」と俺の背中を強く叩いた。
「あんた、行ってきなさい」
「でも」
「いいから。どうせあんたは、大した仕事もできないでしょう?」
冗談めかした口調で母さんが言う。悪気はないと分かっていても、ずき、と胸が痛んだ。
ルイ様はこのやり取りを聞いているのか聞いていないのか、俺へまっすぐ手を差しのべた。どうすればいいのか分からずに立ち尽くしていると、しびれを切らしたルイ様が俺の手を握る。熱い手だった。
そしてそのまま、俺を連れ出していく。秋の少し冷たい朝の空気が、ひりひりと頬を撫でた。そんな爽やかさでも、俺の胸の重苦しさは、払えなかった。
どうすればいいのか分からない。途方に暮れて手を引くルイ様を見上げても、返事はない。
彼は馬のもとへと、俺を連れていった。そして俺の身体を軽々と持ち上げて、馬へと乗せる。随分と高くなった視界に、俺は悲鳴を――いや、歓声をあげた。
「うわっ、高い!」
ルイ様は馬のあぶみへ足をかけて、危なげなく馬へと乗る。そして俺を身体の前へ抱き込んで、手綱を握った。急に距離が近づいて、胸がどきりとする。
恐ろしいのか、楽しいのかもよく分からない俺に、ルイ様は言った。
「行くぞ」
そして、馬はゆっくりと歩き出す。その未体験の振動が、意地を張る気にもならないくらい面白くて、俺は思わずきょろきょろと辺りを見渡した。ルイ様の右手が手綱から離れて、俺の下腹部を抱く。あっと声を上げると、ルイ様は淡々と言った。
「あまりあちこちを見るな、落ちるぞ。危ない」
俺の腰を支える掌が、大きい。俺の下腹部を、すっぽりと覆っている。俺は慌てて背筋を伸ばして、だけどすぐ困って、少し猫背になった。こうして人と触れ合った経験なんかほとんどないから、どうするのが正解なのか分からない。だけど、変なことをするつもりでは、なさそうだ。
「……俺を、どこへ連れていくつもりですか?」
「屋敷だ。お前は俺の運命の番だから、俺のもとへと迎え入れてやる」
なるほど、俺に選択権はないらしい。俺はがっくりと肩を落として、ずっと気になっていたことを尋ねた。
「ところで、ずっと仰っている、その『運命の番』ってなんですか?」
ルイ様は「楽にしろ」とやたら落ち着き払った様子で言って、俺を指さした。
「そこのオメガを借りる」
でも畑が、という俺の反論は、父さんの掌でふさがれてしまった。母さんがこくこくと頷いて、俺の背中を押す。立ち上がることを許されて中腰になると、母さんは「ほら」と俺の背中を強く叩いた。
「あんた、行ってきなさい」
「でも」
「いいから。どうせあんたは、大した仕事もできないでしょう?」
冗談めかした口調で母さんが言う。悪気はないと分かっていても、ずき、と胸が痛んだ。
ルイ様はこのやり取りを聞いているのか聞いていないのか、俺へまっすぐ手を差しのべた。どうすればいいのか分からずに立ち尽くしていると、しびれを切らしたルイ様が俺の手を握る。熱い手だった。
そしてそのまま、俺を連れ出していく。秋の少し冷たい朝の空気が、ひりひりと頬を撫でた。そんな爽やかさでも、俺の胸の重苦しさは、払えなかった。
どうすればいいのか分からない。途方に暮れて手を引くルイ様を見上げても、返事はない。
彼は馬のもとへと、俺を連れていった。そして俺の身体を軽々と持ち上げて、馬へと乗せる。随分と高くなった視界に、俺は悲鳴を――いや、歓声をあげた。
「うわっ、高い!」
ルイ様は馬のあぶみへ足をかけて、危なげなく馬へと乗る。そして俺を身体の前へ抱き込んで、手綱を握った。急に距離が近づいて、胸がどきりとする。
恐ろしいのか、楽しいのかもよく分からない俺に、ルイ様は言った。
「行くぞ」
そして、馬はゆっくりと歩き出す。その未体験の振動が、意地を張る気にもならないくらい面白くて、俺は思わずきょろきょろと辺りを見渡した。ルイ様の右手が手綱から離れて、俺の下腹部を抱く。あっと声を上げると、ルイ様は淡々と言った。
「あまりあちこちを見るな、落ちるぞ。危ない」
俺の腰を支える掌が、大きい。俺の下腹部を、すっぽりと覆っている。俺は慌てて背筋を伸ばして、だけどすぐ困って、少し猫背になった。こうして人と触れ合った経験なんかほとんどないから、どうするのが正解なのか分からない。だけど、変なことをするつもりでは、なさそうだ。
「……俺を、どこへ連れていくつもりですか?」
「屋敷だ。お前は俺の運命の番だから、俺のもとへと迎え入れてやる」
なるほど、俺に選択権はないらしい。俺はがっくりと肩を落として、ずっと気になっていたことを尋ねた。
「ところで、ずっと仰っている、その『運命の番』ってなんですか?」
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