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23. 布石
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翌朝、エリックは酷い倦怠感とともに目を覚ました。起き上がれない。身体に力が入らない。
隣で寝ていたレオポルトは、「大丈夫か」と顔色を変えてエリックの身体に触れた。エリックはうめきながら、「だいじょうぶです」と答える。
「身体強化の……反動が……」
「ああ。しかし、こんなに酷いものだったか?」
「重ねがけすると、すごく、キツくて」
「そうか……」
眉間へしわを寄せながら、レオポルトはエリックの身体をさする。エリックは何とか身体を起こし、ベッドから降りようとした。足の裏を床につけると、「エリック」と名前を呼ばれ、止められる。
「足をくじいているのだろう。大人しくしておけ」
その時、部屋の扉がノックされる。使用人たちがやってきて、てきぱきと二人を着替えさせた。着替え終えたエリックがベッドへぐったりと横たわるのを見て、何人かは眉をひそめたが、淡々と仕事をする。
レオポルトは使用人に何事か頼んでいるようだが、エリックは身体がだるく、それどころではなかった。
(やっぱり、身体強化魔術の重ね掛けは、やめた方がいいな)
ひとり反省するエリックをよそに、使用人たちは部屋を出ていく。レオポルトはエリックの額に掌で触れて、労わるように撫でた。
「しんどそうだな。食事はこちらへ持ってくるように伝えたから、ここで食べるといい」
「ありがとうございます……」
息も絶え絶えのエリックを見て、レオポルトはますます目を細める。心配だと言わんばかりに、エリックへ寄り添ってくれた。
「お前の側にいてやりたいが、私は今日も仕事だ。ずっとこうしているわけにはいかない。何かあったら、すぐに人を呼べ」
少しだけ外行きの口調で、レオポルトが言う。エリックが頷くと、レオポルトの指の腹が、優しくまなじりを撫でた。
「すまない。行ってくる。昼食は、一緒に食べよう」
いってらっしゃい、とエリックは囁いた。そして触れるだけのキスを交わして、彼は部屋を出ていく。名残惜しそうに振り向かれて、エリックは思わず笑みを浮かべた。
「いってらっしゃい」
もう一度、送り出す。やっと扉の閉じる音を聞きながら、エリックはぼんやり天井を見上げた。
(暇だ……)
ここのところ、なんだかんだと通信網に関することで飛び回っていて、忙しかった。余暇の時間はといえば、レオポルトと睦みあうことで忙しく、こちらも退屈しなかった。
(こんなに暇なのって、もしかしたら、投獄されたとき以来じゃないかな……)
ままならない手足をだらりと脱力させて、ふかふかのベッドへ横たわって、枕へ頭を埋める。牢獄とは、天国と地獄ほどの差だった。
さらに扉がノックされ、朝食が運び込まれてくる。温かい粥を食べ終えて、膳を下げてもらい、もう一度ベッドへ横たわった。
改めて考えてみれば、この快適な生活を、牢屋暮らしと比べるのもおこがましい。
どうせレオポルトも、昼までここには顔を出せないないのだ。二度寝しようと、目を閉じた。すぐに意識は遠ざかり、眠りへと落ちていく。
そして再び目覚めたときには、太陽は空の一番高いところへと昇っていた。どうやらうとうとしている間に、昼が来たらしい。
穏やかな秋の光を浴びて、くう、とお腹が鳴った。
(腹時計が正確すぎる……)
宮廷魔術師をしていた頃から考えると、今のエリックはとんでもなく健康体になっている。あの頃は食事も不規則だったし、睡眠時間も上手く確保できなかった。しかし今は三食きちんと食べており、寝る時間も規則正しい。
(レオポルト殿下に、拾ってもらえてよかった)
それにしても、昼の日差しがぽかぽかと暖かく、また眠たくなってきた。すう……と目を閉じると、扉がノックされる。
昼食だろうか。なんとか身体を起こす。レオポルトかもしれないと思うと、心が弾んだ。
「どうぞ」
かちゃ、と音を立てて、ドアノブが回った。使用人が礼をして、部屋へと入る。なんだと落胆して、それにまた恥ずかしくなった。目線をさげて、誤魔化す。
その一瞬、使用人の姿が、視界の中で大きくブレた。
(ん?)
違和感を覚えて、エリックは顔を上げて目を細める。使用人は、にやりと笑った。
「久しぶりだな、クレーバー」
使用人の姿が霧散し、別人となって現れる。そこに立っていたのは、ゲスナーだった。宮廷魔術師のローブを羽織り、手には魔術師の杖を持っている。
エリックは咄嗟に杖を取ろうとした。それよりも早く、ゲスナーが呪文を唱える。
(麻痺の呪文……!)
咄嗟に抵抗する呪文を唱えたものの、すぐに舌が回らなくなり、ベッドへと倒れ込んでしまう。緩慢な仕草でもがくエリックに、ゲスナーは目を細めた。愉悦のにじむ声で、勝ち誇る。
「貴様のような下賤の者に、この高貴なる生まれの私が、負けるわけがないのだ」
杖でエリックの身体を、思い切り突く。喉の奥から空気の塊を吐き出すエリックに構わず、ゲスナーは再び呪文を唱えた。身体強化の呪文だ。
そしてエリックの腕を掴み、引っ張った。エリックの身体はベッドからずり落ち、ゲスナーに引きずられる。
ゲスナーは呻くエリックを引きずって、部屋の外へと出た。抵抗しようにも、身体が痺れて身動きがとれない。
「貴様、貴様に、もの見せてくれる。私の将来のため、ドミニク閣下が用意してくださった、大事な布石を……よくも……」
ぞっと、背筋に悪寒が走った。
ゲスナーはエリックを、ずた袋のように容赦なく引きずった。悲鳴をあげようにも声帯すら動かせず、掠れた声のようなものが出るだけだ。
「今できているアレが不出来だと、私が証明してやる。そして私が、この通信網の、真の構築者となるのだ」
ゲスナーは理性を失っているようで、先ほどからぶつぶつと何事か呟いている。引きずられて、服があられもなくめくれる。悲鳴をあげれば誰か駆けつけてくれたかもしれないが、今のエリックには無理だ。
先ほどの様子からして、ゲスナーは擬態の魔術を使っているのだろう。使用人たちはエリックたちに目もくれず、廊下を行きかっている。
エリックも、まさか彼が、これほどの強硬手段に出るとは思わなかった。
これは明らかに、取り返しのつかない、破滅的な行動だからだ。エリックの知るゲスナーは、要人の寵愛を受けている人物を誘拐するほど、愚かな人物ではない。
(誰か、助けて)
脳裏にレオポルトの顔がよぎる。また床に身体がぶつかって、痛みで思考が霧散する。エリックは瞳に涙をためながら、必死に考えた。
考えて、考えて、この状況をなんとかする方法が、何も思いつかなかった。
ゲスナーはエリックを引きずり、管理室へとやってきた。鍵のかかったドアノブをがちゃがちゃと鳴らし、舌打ちをする。
彼もまた、管理室の鍵は持っていないはずだ。エリックが親機への干渉権限をはく奪した時、管理者の資格なしとして、鍵も取り上げられたと聞いている。
「ふん……まあいい」
ゲスナーは鼻を鳴らして、エリックを再び引きずりはじめた。今度はどこへ連れていかれるのか。
やめろ、止まれ、と何度も叫ぼうとした。しかし、声が出ない。掠れる嗚咽のような音が、喉の奥から漏れるばかりだ。
「なんだ。言いたいことがあるなら、はっきり言ったらどうだ。クレーバー」
嘲わらう声に、エリックのまなじりから、ぽろぽろと涙がこぼれた。ゲスナーは笑みを引っ込めて、嫌悪感をあらわにする。
「男のくせに泣くな。気色悪い」
こいつのことが本当に嫌いだ、とエリックは思った。同時に、彼を憐れむような気持ちもあった。
エリックは気持ちがたかぶった時、泣くことができる。感情を自分なりの形で、きちんと、発散することができる。
しかし彼に、それはできない。何か予想外のことが起こって傷ついたとき、相手が全て悪いと責めて、そのように振る舞うことしかできないのだ。そして後先考えず、残忍な報復にすら及んでしまう。
ゲスナーは、エリックの物言いたげな視線に気づいたのか、エリックの肩をブーツで蹴飛ばした。さんざん暴力を振るわれながら、エリックが考えるのは、レオポルトのことだった。
(昼ごはん、一緒に、食べたかったな)
エリックの意識は少しずつ、痛みで濁り始める。ぼたぼたと涙をこぼしながら、エリックは連れ去られていった。
隣で寝ていたレオポルトは、「大丈夫か」と顔色を変えてエリックの身体に触れた。エリックはうめきながら、「だいじょうぶです」と答える。
「身体強化の……反動が……」
「ああ。しかし、こんなに酷いものだったか?」
「重ねがけすると、すごく、キツくて」
「そうか……」
眉間へしわを寄せながら、レオポルトはエリックの身体をさする。エリックは何とか身体を起こし、ベッドから降りようとした。足の裏を床につけると、「エリック」と名前を呼ばれ、止められる。
「足をくじいているのだろう。大人しくしておけ」
その時、部屋の扉がノックされる。使用人たちがやってきて、てきぱきと二人を着替えさせた。着替え終えたエリックがベッドへぐったりと横たわるのを見て、何人かは眉をひそめたが、淡々と仕事をする。
レオポルトは使用人に何事か頼んでいるようだが、エリックは身体がだるく、それどころではなかった。
(やっぱり、身体強化魔術の重ね掛けは、やめた方がいいな)
ひとり反省するエリックをよそに、使用人たちは部屋を出ていく。レオポルトはエリックの額に掌で触れて、労わるように撫でた。
「しんどそうだな。食事はこちらへ持ってくるように伝えたから、ここで食べるといい」
「ありがとうございます……」
息も絶え絶えのエリックを見て、レオポルトはますます目を細める。心配だと言わんばかりに、エリックへ寄り添ってくれた。
「お前の側にいてやりたいが、私は今日も仕事だ。ずっとこうしているわけにはいかない。何かあったら、すぐに人を呼べ」
少しだけ外行きの口調で、レオポルトが言う。エリックが頷くと、レオポルトの指の腹が、優しくまなじりを撫でた。
「すまない。行ってくる。昼食は、一緒に食べよう」
いってらっしゃい、とエリックは囁いた。そして触れるだけのキスを交わして、彼は部屋を出ていく。名残惜しそうに振り向かれて、エリックは思わず笑みを浮かべた。
「いってらっしゃい」
もう一度、送り出す。やっと扉の閉じる音を聞きながら、エリックはぼんやり天井を見上げた。
(暇だ……)
ここのところ、なんだかんだと通信網に関することで飛び回っていて、忙しかった。余暇の時間はといえば、レオポルトと睦みあうことで忙しく、こちらも退屈しなかった。
(こんなに暇なのって、もしかしたら、投獄されたとき以来じゃないかな……)
ままならない手足をだらりと脱力させて、ふかふかのベッドへ横たわって、枕へ頭を埋める。牢獄とは、天国と地獄ほどの差だった。
さらに扉がノックされ、朝食が運び込まれてくる。温かい粥を食べ終えて、膳を下げてもらい、もう一度ベッドへ横たわった。
改めて考えてみれば、この快適な生活を、牢屋暮らしと比べるのもおこがましい。
どうせレオポルトも、昼までここには顔を出せないないのだ。二度寝しようと、目を閉じた。すぐに意識は遠ざかり、眠りへと落ちていく。
そして再び目覚めたときには、太陽は空の一番高いところへと昇っていた。どうやらうとうとしている間に、昼が来たらしい。
穏やかな秋の光を浴びて、くう、とお腹が鳴った。
(腹時計が正確すぎる……)
宮廷魔術師をしていた頃から考えると、今のエリックはとんでもなく健康体になっている。あの頃は食事も不規則だったし、睡眠時間も上手く確保できなかった。しかし今は三食きちんと食べており、寝る時間も規則正しい。
(レオポルト殿下に、拾ってもらえてよかった)
それにしても、昼の日差しがぽかぽかと暖かく、また眠たくなってきた。すう……と目を閉じると、扉がノックされる。
昼食だろうか。なんとか身体を起こす。レオポルトかもしれないと思うと、心が弾んだ。
「どうぞ」
かちゃ、と音を立てて、ドアノブが回った。使用人が礼をして、部屋へと入る。なんだと落胆して、それにまた恥ずかしくなった。目線をさげて、誤魔化す。
その一瞬、使用人の姿が、視界の中で大きくブレた。
(ん?)
違和感を覚えて、エリックは顔を上げて目を細める。使用人は、にやりと笑った。
「久しぶりだな、クレーバー」
使用人の姿が霧散し、別人となって現れる。そこに立っていたのは、ゲスナーだった。宮廷魔術師のローブを羽織り、手には魔術師の杖を持っている。
エリックは咄嗟に杖を取ろうとした。それよりも早く、ゲスナーが呪文を唱える。
(麻痺の呪文……!)
咄嗟に抵抗する呪文を唱えたものの、すぐに舌が回らなくなり、ベッドへと倒れ込んでしまう。緩慢な仕草でもがくエリックに、ゲスナーは目を細めた。愉悦のにじむ声で、勝ち誇る。
「貴様のような下賤の者に、この高貴なる生まれの私が、負けるわけがないのだ」
杖でエリックの身体を、思い切り突く。喉の奥から空気の塊を吐き出すエリックに構わず、ゲスナーは再び呪文を唱えた。身体強化の呪文だ。
そしてエリックの腕を掴み、引っ張った。エリックの身体はベッドからずり落ち、ゲスナーに引きずられる。
ゲスナーは呻くエリックを引きずって、部屋の外へと出た。抵抗しようにも、身体が痺れて身動きがとれない。
「貴様、貴様に、もの見せてくれる。私の将来のため、ドミニク閣下が用意してくださった、大事な布石を……よくも……」
ぞっと、背筋に悪寒が走った。
ゲスナーはエリックを、ずた袋のように容赦なく引きずった。悲鳴をあげようにも声帯すら動かせず、掠れた声のようなものが出るだけだ。
「今できているアレが不出来だと、私が証明してやる。そして私が、この通信網の、真の構築者となるのだ」
ゲスナーは理性を失っているようで、先ほどからぶつぶつと何事か呟いている。引きずられて、服があられもなくめくれる。悲鳴をあげれば誰か駆けつけてくれたかもしれないが、今のエリックには無理だ。
先ほどの様子からして、ゲスナーは擬態の魔術を使っているのだろう。使用人たちはエリックたちに目もくれず、廊下を行きかっている。
エリックも、まさか彼が、これほどの強硬手段に出るとは思わなかった。
これは明らかに、取り返しのつかない、破滅的な行動だからだ。エリックの知るゲスナーは、要人の寵愛を受けている人物を誘拐するほど、愚かな人物ではない。
(誰か、助けて)
脳裏にレオポルトの顔がよぎる。また床に身体がぶつかって、痛みで思考が霧散する。エリックは瞳に涙をためながら、必死に考えた。
考えて、考えて、この状況をなんとかする方法が、何も思いつかなかった。
ゲスナーはエリックを引きずり、管理室へとやってきた。鍵のかかったドアノブをがちゃがちゃと鳴らし、舌打ちをする。
彼もまた、管理室の鍵は持っていないはずだ。エリックが親機への干渉権限をはく奪した時、管理者の資格なしとして、鍵も取り上げられたと聞いている。
「ふん……まあいい」
ゲスナーは鼻を鳴らして、エリックを再び引きずりはじめた。今度はどこへ連れていかれるのか。
やめろ、止まれ、と何度も叫ぼうとした。しかし、声が出ない。掠れる嗚咽のような音が、喉の奥から漏れるばかりだ。
「なんだ。言いたいことがあるなら、はっきり言ったらどうだ。クレーバー」
嘲わらう声に、エリックのまなじりから、ぽろぽろと涙がこぼれた。ゲスナーは笑みを引っ込めて、嫌悪感をあらわにする。
「男のくせに泣くな。気色悪い」
こいつのことが本当に嫌いだ、とエリックは思った。同時に、彼を憐れむような気持ちもあった。
エリックは気持ちがたかぶった時、泣くことができる。感情を自分なりの形で、きちんと、発散することができる。
しかし彼に、それはできない。何か予想外のことが起こって傷ついたとき、相手が全て悪いと責めて、そのように振る舞うことしかできないのだ。そして後先考えず、残忍な報復にすら及んでしまう。
ゲスナーは、エリックの物言いたげな視線に気づいたのか、エリックの肩をブーツで蹴飛ばした。さんざん暴力を振るわれながら、エリックが考えるのは、レオポルトのことだった。
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