25 / 35
24. 秘密兵器
しおりを挟む
エリックが連れてこられたのは、騎士団の庁舎の片隅にある、小さな会議室だった。扉に鍵はかかっていない。ゲスナーはエリックを乱暴に放り込み、後ろ手に扉を閉めた。
鍵をかけた様子はない。エリックは視線だけで彼を見上げて、ろれつの回らない舌を、なんとか動かす。喘鳴とともに、なんとか声が出た。
何のために、こんなことをしているのか。
「らんろ、らえに、おんなこぉ」
「何か言いたいなら、はっきり言ってくれないか」
まるでちゃんとした言葉にならない。
ゲスナーはエリックを嘲笑って、床へと打ち捨てた。そしてエリックの目の前で、これ見よがしに、ポケットから何かを取り出す。
小型の通信水晶だ。
エリックの目が、驚愕に丸く見開かれる。
その表情に、ゲスナーは口の端を上げた。満足げに笑って、エリックの目の前でそれを揺らす。
「ドミニク閣下から賜った、特別な通信水晶だ。親機への干渉権限を半永久的に付与されている、私の秘密兵器さ」
エリックの目は、ひたすらそれへ釘付けになった。その表情に、ゲスナーは低く呟く。
「これで再び、貴様は通信網へ干渉する。そうだよな? クレーバー」
唇を舌で舐めて湿らせた。その残忍な仕草を、エリックはじっと見つめる。背中には、じっとりと嫌な汗を掻いていた。
ゲスナーはなおも続ける。
「レオポルト殿下の気を引くために、貴様はなんでもする。感情的で短絡的な貴様は、自ら盗み取った成果をも台無しにするのだ」
演説じみたその言葉に、エリックは唇を噛んだ。
ここでゲスナーが通信水晶を使えば、エリックの仕掛けた罠は作動する。しかしそれは、ゲスナーを逆上させる原因にしかならないだろう。
もつれそうになる舌を、ゆっくり動かした。
「それで、……きみの、ことばを、でんかが……しんじるって?」
まだ上手く舌が回らない。顔をしかめるエリックをよそに、ゲスナーは手を叩いた。
「それはさほど重要なことじゃない。殿下の周りがどう思うかだよ、クレーバー。たとえお前が無実でも、ひとたび染みついた偏見が消えることはない。短絡的で愚かな貴様には、分からないことだろうが」
たしかに、エリックには分からないことだった。周りからどう思われるか。どう思われたいか。良くも悪くも自己中心的なエリックには、馴染みのない考え方だ。
だからこそエリックは、なおもゲスナーに噛みついた。
「そんなの、ひきょう、だろ。そんなの、いつまでも、つうじる、あんて」
「卑怯は貴様だろッ!」
癇癪のような叫び声の後、頬に衝撃が走った。ゲスナーが、エリックの頭を蹴ったのだ。
咄嗟に頭を抱えるエリックの背中を踏み、脇腹を蹴りながら、ゲスナーが裏返った涙声で叫ぶ。
「これはッ! これは、私がやっと掴んだ、出世の糸口だったんだぞ! それをッ貴様がッ! 横から、掠め取って……!」
暴力に耐えながら、エリックは目を瞑った。自らと、レオポルトの罪深さを思う。それでも、謝罪の言葉は、言えなかった。言えるわけもなかった。
大切なものを奪われたのは、エリックも同じだ。そして奪われても、こんな風に、直接人に暴力を振るうことは選ばなかった。
今、エリックを痛めつけることを選んだのは、ゲスナーだ。
歯を食いしばり、暴力に耐える。身体強化魔術の乗った蹴りは、踏みつけは、痛かった。
やがてゲスナーはぜいぜいと息を切らして、暴行を止める。エリックがわずかにみじろぎすると、足音は少しだけ遠ざかった。
「貴様の作ったものは、私が壊してやる」
恨みがましい声で、ゲスナーが言う。エリックが顔をあげると、彼は、通信水晶を起動させるところだった。
「これから通信網へ侵入し、それぞれの子機の接続を切断する」
上擦った声には、勝ち誇るような響きがあった。喜びがあった。エリックは茫然としながら、ゲスナーを見上げる。
エリックの復讐が、彼を壊したのだ。罪悪感が背筋を這い上がり、彼の名前を叫んでいた。
「ゲスナー、やめろ!」
その声が、ゲスナーの口元を愉悦に歪ませた。ゲスナーの指が、水晶の表面で躍るように跳ねる。通信水晶が起動したと、魔力の流れで分かった。
エリックは、なおも「やめろ」と叫ぶ。また涙がぼろぼろとあふれた。これ以上、ゲスナーを壊したくなかった。
復讐したことを、はじめてきちんと後悔した。エリックは這いずるようにしてゲスナーへ寄り、その足元へ取りすがる。
「こわれるのは、つうしんもう、じゃない。きみだ……!」
「何を言う。私が壊すんだよ、クレーバー」
哄笑が響く。エリックは身体を起こそうとするが、ゲスナーはその身体を蹴り飛ばした。
崩れ落ちるエリックの目の前で、ゲスナーが高らかに呪文を唱える。通信水晶が光り、通信網へと接続される。
一拍の無音。エリックが耳を塞ぐ間もなく、けたたましく、妖精の歌が鳴り響いた。
「ぎゃっ」
ゲスナーが叫び、通信水晶をエリックの上に取り落とす。それは背中へ直撃し、エリックは「うっ」と声を上げてうめいた。ゲスナーは杖を放り出し、通信水晶を慌てて拾いあげる。しかしいくら魔力を止めても、流しても、妖精の歌が止むことはない。
これがエリックの罠だった。外部から通信網へ接続した際、通信網が魔力を跳ね返し、妖精の歌を大音量で流す。管理室でも、同じことが起きているはずだ。
どうやら当初の意図通り、罠は正常に作動したらしい。それが今、裏目になっている。
エリックは耳を掌で押さえて、床を這いずった。ゲスナーが何かをわめいているが、何を言っているのか分からないほどに、妖精の歌がうるさい。
業を切らして、ゲスナーが地団駄を踏んだ。またエリックへ蹴りを入れる。その激しい暴力へ耐えながら、エリックは這いずるのをやめて、じっとうずくまった。妖精の歌がガンガンと頭へ響く。涙がにじんで、きつく目を瞑った。
逃げることすら忘れるような暴力だ。暗闇の中で、痛みと衝撃にひたすら耐える。いつまでも続くような苦しみだった。そして、エリック自身が招いてしまった結果だった。
投獄された時以来の絶望が、エリックの心を満たす。呼吸が重苦しくなって、届きもしないのに、エリックは助けを乞うていた。
「たすけて、……れおぽると、でんか……」
こんな時でも思うのは、レオポルトのことだった。つらくて、つらくて、耐えがたくて、掌を握りしめたときのことだ。
降り注いでいた暴力が、ふっと止む。顔をあげると同時に、妖精の歌も止まった。
しんと静まり返った部屋で、レオポルトが、ゲスナーを殴っていた。
でんか、と声にならない悲鳴が、エリックの喉から漏れた。
ゲスナーは呆気なく体勢を崩し、それへ追い打ちをかけるように、レオポルトのブーツの踵が脇腹へ食い込む。ゲスナーは悲鳴をあげ、鈍い音とともに床へ転んだ。
逃げることも許さないとばかりに、レオポルトは落ちていた杖を拾い、先端で掌を床に縫い付ける。ぎちぎちと音が立つほどきつく押し付けながら、レオポルトが冷ややかな声で言った。
「貴様、何をしていた」
恐ろしいほどの無表情だった。
「でんか」
ひりつく喉で、なんとか声をかける。レオポルトは振り返って、エリックへ微笑みかけた。さらにエリックの肩には背後から、ジャケットがかけられた。ヘンケルのものだ。
ヘンケルはエリックの肩に手を置いて、拳を握る。淡々とした口調へわずかに焦りをにじませて、レオポルトへ声をかけた。
「殿下。落ち着かれてください」
「落ち着いている。ヨーゼフ、剣を」
冷淡な声だ。杖を持っていない方の手を伸ばして、「剣を」と、微笑んだまま、念押しするように言う。
ヘンケルは息をのみつつ、腰に提げた剣の柄を、掌で押さえた。
「何に、使われるおつもりですか」
「こいつを斬る」
ぞっ、とエリックの全身の毛が逆立つ。レオポルトは笑みを消して、「何をしている」と掌を揺らした。
「早く渡してくれ」
鍵をかけた様子はない。エリックは視線だけで彼を見上げて、ろれつの回らない舌を、なんとか動かす。喘鳴とともに、なんとか声が出た。
何のために、こんなことをしているのか。
「らんろ、らえに、おんなこぉ」
「何か言いたいなら、はっきり言ってくれないか」
まるでちゃんとした言葉にならない。
ゲスナーはエリックを嘲笑って、床へと打ち捨てた。そしてエリックの目の前で、これ見よがしに、ポケットから何かを取り出す。
小型の通信水晶だ。
エリックの目が、驚愕に丸く見開かれる。
その表情に、ゲスナーは口の端を上げた。満足げに笑って、エリックの目の前でそれを揺らす。
「ドミニク閣下から賜った、特別な通信水晶だ。親機への干渉権限を半永久的に付与されている、私の秘密兵器さ」
エリックの目は、ひたすらそれへ釘付けになった。その表情に、ゲスナーは低く呟く。
「これで再び、貴様は通信網へ干渉する。そうだよな? クレーバー」
唇を舌で舐めて湿らせた。その残忍な仕草を、エリックはじっと見つめる。背中には、じっとりと嫌な汗を掻いていた。
ゲスナーはなおも続ける。
「レオポルト殿下の気を引くために、貴様はなんでもする。感情的で短絡的な貴様は、自ら盗み取った成果をも台無しにするのだ」
演説じみたその言葉に、エリックは唇を噛んだ。
ここでゲスナーが通信水晶を使えば、エリックの仕掛けた罠は作動する。しかしそれは、ゲスナーを逆上させる原因にしかならないだろう。
もつれそうになる舌を、ゆっくり動かした。
「それで、……きみの、ことばを、でんかが……しんじるって?」
まだ上手く舌が回らない。顔をしかめるエリックをよそに、ゲスナーは手を叩いた。
「それはさほど重要なことじゃない。殿下の周りがどう思うかだよ、クレーバー。たとえお前が無実でも、ひとたび染みついた偏見が消えることはない。短絡的で愚かな貴様には、分からないことだろうが」
たしかに、エリックには分からないことだった。周りからどう思われるか。どう思われたいか。良くも悪くも自己中心的なエリックには、馴染みのない考え方だ。
だからこそエリックは、なおもゲスナーに噛みついた。
「そんなの、ひきょう、だろ。そんなの、いつまでも、つうじる、あんて」
「卑怯は貴様だろッ!」
癇癪のような叫び声の後、頬に衝撃が走った。ゲスナーが、エリックの頭を蹴ったのだ。
咄嗟に頭を抱えるエリックの背中を踏み、脇腹を蹴りながら、ゲスナーが裏返った涙声で叫ぶ。
「これはッ! これは、私がやっと掴んだ、出世の糸口だったんだぞ! それをッ貴様がッ! 横から、掠め取って……!」
暴力に耐えながら、エリックは目を瞑った。自らと、レオポルトの罪深さを思う。それでも、謝罪の言葉は、言えなかった。言えるわけもなかった。
大切なものを奪われたのは、エリックも同じだ。そして奪われても、こんな風に、直接人に暴力を振るうことは選ばなかった。
今、エリックを痛めつけることを選んだのは、ゲスナーだ。
歯を食いしばり、暴力に耐える。身体強化魔術の乗った蹴りは、踏みつけは、痛かった。
やがてゲスナーはぜいぜいと息を切らして、暴行を止める。エリックがわずかにみじろぎすると、足音は少しだけ遠ざかった。
「貴様の作ったものは、私が壊してやる」
恨みがましい声で、ゲスナーが言う。エリックが顔をあげると、彼は、通信水晶を起動させるところだった。
「これから通信網へ侵入し、それぞれの子機の接続を切断する」
上擦った声には、勝ち誇るような響きがあった。喜びがあった。エリックは茫然としながら、ゲスナーを見上げる。
エリックの復讐が、彼を壊したのだ。罪悪感が背筋を這い上がり、彼の名前を叫んでいた。
「ゲスナー、やめろ!」
その声が、ゲスナーの口元を愉悦に歪ませた。ゲスナーの指が、水晶の表面で躍るように跳ねる。通信水晶が起動したと、魔力の流れで分かった。
エリックは、なおも「やめろ」と叫ぶ。また涙がぼろぼろとあふれた。これ以上、ゲスナーを壊したくなかった。
復讐したことを、はじめてきちんと後悔した。エリックは這いずるようにしてゲスナーへ寄り、その足元へ取りすがる。
「こわれるのは、つうしんもう、じゃない。きみだ……!」
「何を言う。私が壊すんだよ、クレーバー」
哄笑が響く。エリックは身体を起こそうとするが、ゲスナーはその身体を蹴り飛ばした。
崩れ落ちるエリックの目の前で、ゲスナーが高らかに呪文を唱える。通信水晶が光り、通信網へと接続される。
一拍の無音。エリックが耳を塞ぐ間もなく、けたたましく、妖精の歌が鳴り響いた。
「ぎゃっ」
ゲスナーが叫び、通信水晶をエリックの上に取り落とす。それは背中へ直撃し、エリックは「うっ」と声を上げてうめいた。ゲスナーは杖を放り出し、通信水晶を慌てて拾いあげる。しかしいくら魔力を止めても、流しても、妖精の歌が止むことはない。
これがエリックの罠だった。外部から通信網へ接続した際、通信網が魔力を跳ね返し、妖精の歌を大音量で流す。管理室でも、同じことが起きているはずだ。
どうやら当初の意図通り、罠は正常に作動したらしい。それが今、裏目になっている。
エリックは耳を掌で押さえて、床を這いずった。ゲスナーが何かをわめいているが、何を言っているのか分からないほどに、妖精の歌がうるさい。
業を切らして、ゲスナーが地団駄を踏んだ。またエリックへ蹴りを入れる。その激しい暴力へ耐えながら、エリックは這いずるのをやめて、じっとうずくまった。妖精の歌がガンガンと頭へ響く。涙がにじんで、きつく目を瞑った。
逃げることすら忘れるような暴力だ。暗闇の中で、痛みと衝撃にひたすら耐える。いつまでも続くような苦しみだった。そして、エリック自身が招いてしまった結果だった。
投獄された時以来の絶望が、エリックの心を満たす。呼吸が重苦しくなって、届きもしないのに、エリックは助けを乞うていた。
「たすけて、……れおぽると、でんか……」
こんな時でも思うのは、レオポルトのことだった。つらくて、つらくて、耐えがたくて、掌を握りしめたときのことだ。
降り注いでいた暴力が、ふっと止む。顔をあげると同時に、妖精の歌も止まった。
しんと静まり返った部屋で、レオポルトが、ゲスナーを殴っていた。
でんか、と声にならない悲鳴が、エリックの喉から漏れた。
ゲスナーは呆気なく体勢を崩し、それへ追い打ちをかけるように、レオポルトのブーツの踵が脇腹へ食い込む。ゲスナーは悲鳴をあげ、鈍い音とともに床へ転んだ。
逃げることも許さないとばかりに、レオポルトは落ちていた杖を拾い、先端で掌を床に縫い付ける。ぎちぎちと音が立つほどきつく押し付けながら、レオポルトが冷ややかな声で言った。
「貴様、何をしていた」
恐ろしいほどの無表情だった。
「でんか」
ひりつく喉で、なんとか声をかける。レオポルトは振り返って、エリックへ微笑みかけた。さらにエリックの肩には背後から、ジャケットがかけられた。ヘンケルのものだ。
ヘンケルはエリックの肩に手を置いて、拳を握る。淡々とした口調へわずかに焦りをにじませて、レオポルトへ声をかけた。
「殿下。落ち着かれてください」
「落ち着いている。ヨーゼフ、剣を」
冷淡な声だ。杖を持っていない方の手を伸ばして、「剣を」と、微笑んだまま、念押しするように言う。
ヘンケルは息をのみつつ、腰に提げた剣の柄を、掌で押さえた。
「何に、使われるおつもりですか」
「こいつを斬る」
ぞっ、とエリックの全身の毛が逆立つ。レオポルトは笑みを消して、「何をしている」と掌を揺らした。
「早く渡してくれ」
1
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。
月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」
幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。
「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」
何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。
「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」
そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。
僕、殿下に嫌われちゃったの?
実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。
届かない「ただいま」
AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。
「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。
これは「優しさが奪った日常」の物語。
30歳の誕生日、親友にプロポーズされました。
凪
BL
同性婚が認められて10年。世間では同性愛に対する偏見は少なくなってきた。でも結婚自体、俺には関係ないけど…
缶ビール片手に心を許せる親友と一緒に過ごせればそれだけで俺は満たされる。こんな日々がずっと続いてほしい、そう思っていた。
30歳の誕生日、俺は親友のガンちゃんにプロポーズをされた。
「樹、俺と結婚してほしい」
「樹のことがずっと好きだった」
俺たちは親友だったはずだろ。結婚に興味のない俺は最初は断るがお試しで結婚生活をしてみないかと提案されて…!?
立花樹 (30) 受け 会社員
岩井充 (ガンちゃん)(30) 攻め
小説家
憎くて恋しい君にだけは、絶対会いたくなかったのに。
Q矢(Q.➽)
BL
愛する人達を守る為に、俺は戦いに出たのに。
満身創痍ながらも生き残り、帰還してみれば、とっくの昔に彼は俺を諦めていたらしい。
よし、じゃあ、もう死のうかな…から始まる転生物語。
愛しすぎて愛が枯渇してしまった俺は、もう誰も愛する気力は無い。
だから生まれ変わっても君には会いたく無いって願ったんだ。
それなのに転生先にはまんまと彼が。
でも、どっち?
判別のつかないままの二人の彼の愛と執着に溺死寸前の主人公君。
今世は幸せになりに来ました。
秘匿された第十王子は悪態をつく
なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。
第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。
第十王子の姿を知る者はほとんどいない。
後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。
秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。
ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。
少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。
ノアが秘匿される理由。
十人の妃。
ユリウスを知る渡り人のマホ。
二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる