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資材集め探策
しおりを挟むもふもふちゃん達をルームに寝かせてからいざ探策へ。木材には事欠かない。樹々の濃密な香りに包まれて大きく息を吸い込む。ゆっくりと吐き出しながら久しぶりに息をしたかのような気持ちになる。
私は自由だ。自然と涙が流れる・・・これからはこの世界で暮らしていく。私を押さえ込む存在はいない。てっちゃんは私を助けられなかった事をずっと気にしてくれていたようだ。この世界にまで一緒に来てくれる程に。その気持ちが何なのか分からないけれど素直に嬉しかった。ましてや初恋の相手で今も好きな人なら尚更。
でもこの世界でてっちゃんに好きな人が出来た時にはその手を離す覚悟はしなきゃな。早く私はもう幸せだと知って貰って、てっちゃんを縛っている鎖を解かなくちゃ。
でも、もう少しだけ私の側に居て貰っても良いかな・・・森を出てこの世界のことをう少し知れるまで。 大好きだよてっちゃん。 もう少しだけ縛られたままでいてね。 ヤンデレ的な想いを抱きながらてっちゃんを見やると丁度てっちゃんもこちらをみていた。 少し思い詰めたような眼差し。それは一瞬ですぐにいつもの爽やかで優しい目にら戻った
「あい、見てこれ。薬草らしいよ、しかも上級だって。」とハーブのようなそれを見せてくれた。
クンクンと匂いを嗅ぐと、嗅いだ事のあるような匂いだった。でも思い出せない。
「この世界病院とかあるか分からないし、草も鑑定しながら集めていこっか。料理に使えるハーブとかもあるかもだしね。料理スキルも取ったしね。うっふふー」
と謎の笑いをしながら嬉々として草、ハーブ、薬草を次々と採取。きのこもあったよღ
「・い、あい、あい・・・」トントンと肩を叩かれてやっと気付いた。
ハッ「ごめん、謎のハイテンションで採取に夢中になってたよ。樹々の間伐もしなきゃなのに!」
「大丈夫。俺ある程度収納したよ。家が10件建てられるくらいね。」そう言われてみれば何だか周りがスッっきりしてる気がするね。結構な範囲で。
「おおー、すごい!いつの間に。」
「そろそろさっきの場所に戻ろうか。で、その前にあっちの方に果物の木を見つけたからさ見てみる?」
「うん、見たい見たい!」
こうして連れて行ってくれた場所には・・・なんと四季折々的に果物の木や棚的な物があった。但しあくまで自然で人の手が入っている感じでは無い。
そこに広がっていたのは・・・見た目 桃、りんご、みかん、ブドウ、イチゴ、レモン、梨だった。
「何、ここ天国?」 「いや、そんな気もするけど現世。一斉に実がなってて不思議だけどね。」
私たちは目を見合わせ頷くとせっせと収穫を始めた。そして、いつか植える事ができるだろうとそれぞれの苗木を3本ずつインベントリに収納していった。時間停止機能よありがとう。
ニマニマしていたらふと視界にもふもふちゃん達がこちらに向かってアピールしている事に気づいた。そこでルームの2匹に今から戻るから少しそこで待っててねと声をかけ水とフードを出してあげた。転がるように寄ってきて仲良く?飲んで食べ始めた。ヨシて事で大満足な私たちは拠点としている所に戻って来た。
戻ってきた事で安心したのか、グウウウ~とお腹が主張してきた。静かに!っと思ったところで一度なり始めたお腹は今主張しないとずっと食べられないとばかりにグウグウと『お腹すいたー、何か食べさせろー』とうるさいのでおにぎりと諸々を頂いた。動いた後でもありとても美味しかったですღ
今日は野宿でも良いかなって思い始めた頃何となく雲行きが怪しくなって来ているように思えた。てっちゃんと相談してタ少の雨が降っても大丈夫な様に屋根、そして余裕があれば床を作って水に浸からない様にすることになった。でもこの木の周りの苔は本当にふかふかで気持ち良い。少し周りよりも高めな上に広めなので苔周りに溝を掘って先ずタープテントの様にして雨のみを防ぐ仕様を目標とした。
時間はある。体力的には少し疲れた気もするけれど明日ゆっくりしてもいいしね。て事で作業する事に。
この世界の木は所謂巨木だった。風魔法で枝を落としていくと1本1本が案外長く取り敢えずタープテントの様にしてみることに。
屋根は、まだ私のインターバルが終わって無いけれどシャワーカーテンを上に張っても良いしね。確か100円ショップにあった筈。木の枝葉も有るしある程度防げる筈だよね。
枝の支柱が準備出来たので今度は周りの溝だね。使用後は元に戻す予定なのでそこまでしっかりした物でなくて良い。ただあんまり浅いと意味が無いから30㎝くらいにした。特に溝を固めたりはせず、ただ掘っただけの物。ヨシ、溝はこれくらいかなって事で終了。
もしもそれ以上の大雨が降ったら・・・OH、NO!だよね。
そこまでは必要無いだろうけれど心配だ。それは私の50年の人生の教訓だ。必要かな?いや、そこまでは過剰だよなってやらなかった時は必ずと言って良いほど後悔した。今は運がZ→Cと上昇しているけれど備えあれば憂いなし。3m四方の広さで1mの高さの床を作成した。
てっちゃんが私を不憫そうに見ていたけれど気にしない。だって、ずっと不運なことしか無かったもん。雲と雨の天気予報の時は、私が外に出れば雨は降り。屋内に入れば雨は止む。そんな人生だった。しかも全てにおいて、それは発揮された。
なんて遠い目をしていたら6時間経ったのか【ネットお買い物】が使用できる様になった。そこでやはりあったシャワーカーテン(135×175㎝)を10枚購入。火魔法でくっつけようと思っていたけれど出来ない時の為にグルーガンを購入。
それと、またおにぎりやカップ麺、スープ諸々ご飯と飲み物。もふちゃん達の為にパピーフード。bodyソープ、洗顔、と化粧水やお肌お手入れセットを購入。ここで3000円になってしまった。
そしてまたまたてっちゃんにコピーして貰った。bodyソープ、洗顔、お肌お手入れセットは一つだけコピー出来た。食べ物は今回も見送り、モフちゃん達のフードは変わらないからコピーして貰った。
日暮れまでにはもう少し時間がありそう。これスキルが無ければ、高い床だけで時間が足りなかっただろうと思われるけれど魔法にインベントリ、スキルを駆使した私達2人の敵では無かった。
て事で、シャワーカーテンを支柱と元々の木を利用しくっつけてタープテントもどきを完成させた。
そして、木材を風魔法で加工し板を作成。桶と大きな桶×2、大柄な人もゆったりと浸かれるサイズの更に大きな桶。そうお風呂を作成した。
日も暮れてきたこの時、完成した事に喜びを感じる。水魔法で満たし、火魔法で温めた。そしててっちゃんに先に入って貰った。大きな桶の中で身体を洗い桶でその泡を流し更なる大きな桶、浴槽に浸かる。て感じだ。次に私も入る。お湯に浸かった時は何年振りかのゆっくりとした入浴に、「あ’’あ’’~ーーー」と乙女にあるまじき声が出てしまった。
さっぱりとして木の元に戻ればてっちゃんが焚き火を起こしてくれていた。
「おう、気持ち良かったか?」
「うん、めちゃ気持ち良かったよ。お待たせ。ご飯食べよっか。おにぎりとかカップ麺だけど。」
「いや、この状況でそんだけ食べられたら上等だよ。ありがとな。」と優しい笑みに幸せな気持ちになる
「「いただきます」」と2人で手を合わせ食べたご飯は、今までで1番美味しく感じた
美味しくご飯を食べた後は他愛もない話をし、てっちゃんが、3時間インターバルが終わりコピー出来たからってひざ掛け大判サイズをコピーしてくれてたりと嬉しい話に「流石~」なんて喜んだりしながら、側で戯れていたもふもふちゃん達が丸まって眠った所で押しつぶさない様にルームに入れてあげて私たちも大判サイズを更に毛布サイズにした物を掛けて眠りについた。結界をしっかり設定してから・・・
「「おやすみなさい」」
応援ありがとうございます!
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