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黒鉄
しおりを挟む「アンリーーーーーー!!キャインッ」と、悲痛に私の名を呼ぶ声と黒鉄が尻尾とか踏まれて毛が抜けたりした時の、本当に痛い時の鳴き声が聞こえた・・・
スローモーションで、黒鉄が切り飛ばされて落ちて行くのが見えた
「いやあーーーーー!!黒鉄ーーーーー」思わず、叫んだ。そして、落ちた黒鉄を蹴飛ばすオーク・・・
頭が真っ白になった。何よりも大切な黒鉄いつだって、辛い時も側で寄り添ってくれた。直ぐに名も出て来なくなった元婚約者を後輩に奪われた時も一緒だった。お爺ちゃんになっても、ずっと、ずっと素敵に可愛い私の黒鉄!!!何よりも大切な私の黒鉄!!いやだ、イヤだ嫌だ、いやだ・・・
黒鉄を蹴飛ばしたオークの首を切り飛ばす。三日月〇〇刀名付けて、三日月丸が鈍く赤黒く光っている。そんな事にも気付かなかった。目の前に居るオークを早く倒して、黒鉄の所に行かなきゃ!!!早く、オークを仕留めねば・・・
永遠にも感じたオークを屠る刻。
やっとの思いで、オーク達を屠り黒鉄の元に駆け寄る。
嘘でしょ、ウゾだよね?黒鉄・・・
「クロ、クロガネ・・っ、っ、っ」黒鉄をそっと抱く早く、ポーション飲ませなきゃ
手が震えて上手く出来ない、落ち着け!!何やってんの!
「ゴフッ、キュウん」切られた部分にポーションをかけて次のポーションを口に含む
そして、黒鉄に飲ませる。今度は上手くいった。大丈夫、きっと助かる、樹凛さん特製の最高のポーションだもん。
ハッハッハッと小さく、苦しげに呼吸している黒鉄
道に迷った私を仕方ないなぁって感じで連れ帰ってくれる黒鉄。
それ、オレにもちょうだい?ってあざと可愛くおねだりして来る黒鉄。
シャンプー大嫌いで逃げ回った後に、捕まって観念して洗われる黒鉄。やっと終わって拭き拭きされながら、マットに鼻を擦り付けて乾かそうと必死な黒鉄。
大人しくドライヤーで乾かされる黒鉄。
シャンプー後のふわふわの毛並みの、とってもキュートな黒鉄
私の中全てが黒鉄で埋まっている
「クロ、クロガネ、イヤだ、置いて、逝かないで、お願い・・・黒鉄」
『アンリ、だい、ダイスキだよ』ペロ
ゴフッと血を吐く、黒鉄
「クロガネ、クロガネ、大好き、逝かないで」嘘でしょ?そんな事無い!逝かないよね、ずっと一緒だもんね
「泣かないで、杏里大好きだよ」ペロペロ
「キュン、キュン、クゥン」
「・・・クロ、クロ、ガネ」
キラキラとした、粒子が上に昇って逝く
何?コレ、なに?
「お願い、お願い、逝かないで・・・」
「クゥン」と、黒鉄が笑った
そして、更にキラキラサラサラと粒子が昇って逝く
「あ"あ"あ"ああぁぁぁーーー、黒鉄ーーーーーー!!!」
どうして、どうして、身体も失くなった?
「クロガネーーーー!!」
シンとした森の中に杏里の慟哭だけがあった
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