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自由になった人々 2
しおりを挟む昨日の色々から徐々に落ち着き皆で朝を迎える事が出来た。お母様の癒しの光は本当に大きい。同じヒールでもより癒す事が出来るのだ。皆の憔悴が激しい為大きな傷を塞ぐ事と内臓の損傷を治すだけに留めた。後は、少しずつ造血し体力の回復を促す癒しを掛けてある。 落ち着いたら手足の欠損を治していけば良い。
白狼獣人のアランから聞いた所によると、獣人が安心して暮らせる国に移住する為に旅していた彼らだったが、ある国の国境で犯罪者だと難癖を付けられて捕えられたそうだ。その後獣人に対する偏見と迫害が大きい国に連れて行かれ、国境争いの激しい前線に送られたそうだ。双方大きな犠牲を出して国境争いは終結した。中でも無理やり連れて来られた沢山の獣人達が命を落としたり手足を失ったりと大きな怪我を負った。
その後彼らは用無しとして何の手当もされず、報酬も与えられず放り出された。怪我人が多く稼げる人数は少なくアラン達は治療費が嵩み払いきれずに奴隷となって現在に至った様だ。
黒狼獣人は名をラスティと言いレイラの兄だそうだ。アランはレイラにまだ想いを伝えていなかったらしい。昨日初めて想いを告げたのだがレイラは聴こえて居ただろうか。
狼獣人らしく人間とは違うしなやかな筋肉を纏い力もあり優れた戦闘能力を持つレイラ、獣人の中でも戦闘能力は秀でている。 そんな強さがあり大きな慈愛を皆に注ぎ細やかな配慮も出来るレイラ。自身よりも仲間を優先してしまうレイラ・・・アランはそんなレイラをずっと愛して来た、移住して落ち着いたら想いを伝えるつもりでいたのだ。
色々な事が重なり告げられなかった 『 愛してる 』 一晩中手を握り 『 いくな、目を開けてくれ 』と乞い願う姿は切なかった。
だが祈りは通じた様でかなり安定して来たので恐らくもう大丈夫だろう、後はゆっくりと回復を待てば良い。すっかり憔悴しきったレオンだがレイラが落ち着いた今も側を離れようとしない
「ア、アラン・・・」 掠れた声が聞こえる
「レイラ、レイラ、レイラ・・・良かった。」 と手を握り涙を零すアラン
「ここは、天国? あなたが居るなんて・・・会えないかと。」と一筋の涙が頬を伝う
「俺も、俺もだレイラ・・・」と言葉を無くし見つめ合い眼差しだけで愛を伝えているかの様な2人
「お前を失うかと・・・目を、開けてくれて良かったレイラ。
愛している、愛しているんだ、ずっと・・ずっとお前を愛している。」
「わた・・しも 私も貴方を愛してるレオン。」
何度も頷きその瞳に愛をのせて
「愛してるレイラ・・・これまでも、これからもずっとお前だけを愛してる。ずっと側にいてくれ、どうか俺を置いていなくならないでくれ、頼む。」
「うん、うんレオン。貴方も居なくならないで、私を置いて行かないで・・・」
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