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義弟マクシミリアン②

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「ただいま私の可愛いクリスティア元気にしていたかな。」

お父様はそう言いながら私を抱き上げた。

「お帰りなさいお父様。お父様もお元気そうで安心しました。」

お父様はお茶の時間を過ぎた頃に帰って来られた。

例のあの子を連れて------。

お父様後ろに隠れていたマクシミリアン。

お父様はマクシミリアンを呼ぶ、そして私の前に姿を現した。

濡れたような漆黒の髪に、少女のように白い肌に輝く青い瞳の美しい少年。

十歳の時にであったその姿がそこにあった。

お父様にも私にも似ていないマクシミリアン------。

お父様も私もシルバーグレーの髪色に、ライラックの瞳だったから------。

当時は、マクシミリアンの少女のような美しさにも苛ついたのよね。

『確かに美しい子だわね。』

十八歳のときに断罪された美の化身のような壮絶な美しさでない、守って上げたいような美しさ------。

こんなに儚げで自信なさげで----おどおどした少年だっただろうか?

当時十歳だった私は、お父様が連れて来た「義弟」に腹を立てていたから回りが見えていなかったからかもしれない?

だが、今目の前にいるマクシミリアンは私よりも背が低くやせ細っていてひ弱そうで、青い瞳をうるわせ不安そうにしていた。

『これがマクシミリアン?』

今のマクシミリアンなら私のことを「殺さない」義弟として操れるかもしれない。

私はマクシミリアンに声を掛けようとしたとき、マクシミリアンの方から私ぬ近づいて来た。

「あなたは、天使ですか?」

なんですって?
私が天使?

馬鹿なの?天使はマクシミリアン貴方の方でしょ。

『いいえ、あの時のマクシミリアンはこんな事は言わなかったわ。』

違う!

マクシミリアンが私の傍に来る前に、忌み嫌う言葉を放ったから、マクシミリアンは怯え挨拶も出来ずお父様の後ろに隠れてしまっていた。

「私は、クリスティア・テス・クレイルよ、貴方は挨拶も出来ないの?
貴族令息にも関わらず挨拶も出来ない愚弟などこのクレイル家に必要ありません。」と厳しく言い放ったわ。

公爵令息たるもの下級貴族に----いいえ誰にも見くびられてはいけないのよ。

お父様もお父様よ。
お父様の後ろに隠れるマクシミリアンを庇うだなんて。

「クリスティア、------。君の言う通り高位貴族に必要な事だよ。でも今日初めてクレイル家に来たんだ。マクシミリアンも心細いものだよ。クリスティアがお姉さんになるんだからいいね。」そうは言うが、私はお父様の言葉を裏切り、マクシミリアンに優しくする事は無かった。

お母様を裏切ったお父様にも------他の女性から産まれマクシミリアンにもあの時は腹を立てていたのだから------。

だが回帰後のマクシミリアンは、私に微笑み私を「天使」だと言う。

「私は天使じゃないわ。貴方の姉のクリスティア・テス・クレイルよ。」
 
「始めまして、僕はマクシミリアンです。あなたが僕のお義姉様なのですね。こんなに美しい天使が僕のお義姉様だなんて嬉しいです。」とマクシミリアンが回帰前には見せなかった笑顔をみせたのでした。

なにが起こったの?本当に謎だわ。
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