逆行した悪役令嬢クリスティア−−−−−−殺された義弟に溺愛されて困ってます。

目が笑ってない

数日マクシミリアンと過ごしているが、あの子目が笑ってない。

一見笑っているように見えるが口角が上がっているだけで目が無表情なのよ。

目が笑っていないマクシミリアンにクレイル家の使用人達はにこやかに対応している。

この前もメイドがマクシミリアンの噂をしていた。

「どんな方が来られるかと思ったけど優しくてにこやかで私達にも優しい方だわ。」

「本当に、この前沢山の薔薇をお部屋に飾るのにマクシミリアン様が「大変そうだね、僕も手伝うよ。」って微笑まれて、あの奇麗な青い瞳に吸い込まれそうだったわ。」

『青い瞳に吸い込まれそう？魔の洞窟に吸い込まれそうの間違いじゃないかしら。』

あの瞳は笑っていない、クレイル家の使用人を一人ひとり観察して誰が使えるか見ている感じただもの。

見ていて何だか怖い物を感じる。

私は今だにマクシミリアンにｑなれない。

私を刺した痛みが－－－－－－今目の前にいるマクシミリアンをみるたび胸がズキズキする。

あっ、マクシミリアンが私に気がついたわ。

嬉しそうに私の傍にやってくるマクシミリアン。

こうして見ていると飼い主を見つけた忠犬のように見えるわ。

「クリスティア義姉様。」

「マクシミリアン。」

「マクシミリアン、庶民ではないのだから嬉しそうに走ってこないで。みっともないわ。」

マクシミリアンは一瞬しゅんとするが「ごめんなさい、クリスティア義姉様をお見かけしたのが嬉しくて－－－－－－。気をつけます。」

「そうして頂戴、貴族は自分の気持ちを相手に読まれてはいけないのよ。」と注意した。

「クリスティア義姉様は優しいです。僕にしてはいけない事をちゃんと教えて下さるから。」と天使の笑みを浮かべる。

「その天使の笑みは好きな女の子だけに見せなさい。誰にでも振りまえては駄目よ、女の子は自分に気があるんだと勘違いするわよ。ハレンチな誤解でクレイル家の恥にならないでね。」

「好きな女の子－－－－－－。」

そうまだ見ぬ、聖女リリーナとかね。

「はい、クリスティア義姉様。僕はクリスティア義姉様だけに微笑みます。」

「違うわ、私はマクシミリアンの義姉であって恋人じゃないのよ。きっと貴方にその笑顔を見せる恋人が見つかるわよ。」ポンポンと柔らかい漆黒の髪に触れた。

マクシミリアンは嬉しそうに頬を赤く染め喜んでいたいた。

全くこの子は、私が言っていることが分かっていないのだから。

「クリスティア義姉様、今からどちらに行かれるのですか?」

「図書室よ、十歳になると王宮で王妃様主催のガーデンパーティがあるの、まぁ王族と貴族の顔合わせみたいなものね。
『本当は、私の婚約者となるアルスメディア王太子殿下との出会いの場所何だけどね。』
そのために貴族名鑑と歴史の確認よ。」

「貴族名鑑？」

「そうよ、誰が何処令息や令嬢かを頭に入れおくの家庭教師には習っているけど再度確認よ。」

「僕は、余り分からないです。クリスティア義姉様僕も一緒にお勉強してもいいですか？」

私は内心『えっ』と思った。

マクシミリアンは縋るように私を見つめてくる。

仕方ない－－－－－－。

「分かったわ、クレイル家の恥にならないように一緒にお勉強をしましょ。」

マクシミリアンは嬉しそうに子犬ように纏わりつき、私の腕に抱きついた。

「クリスティア義姉様大好き!」

嬉しそうにマクシミリアンが笑った。

その笑みは本当に嬉しそうに笑っていた－－－－－－ように思うのは気のせいだろうか？

「いくら義弟でも淑女の腕に抱きつくのわ駄目よ。」

「はぁ～い」と本気で誤っていないマクシミリアンに私は呆れていたが腕を振りはらう事は出来なかった。