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第五章 動き出す人々
第六十七話 不意打ち
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三人は各々に泡の残りを指先で流しているが、仕草ひとつ、動作ひとつ、目で追ってしまう。シャワーで遊ぶ三人を眺め続けてしまう。どこまでも絵になる三人。
無意識にネックレスに指が触れる。そこで目が合ってしまった。
「子猫」なんて呼ばれて、首輪までつけられて、飼い慣らされているのはこちら側だったことを思い出す。顔はきっと赤いだろう。
それでも、それはそれ、これはこれ。
彼女の特権を使えるときは使いたい。
「アヤもおいで」
三人同時に甘く呼ばれて、手招く輪に遠慮無く割り込むことにした。
意地はまだ持て余している。晴れない心は湯気よりも濃い蒸気で胸に巣食っている。
自分でもどうすればいいかわからない。
泡の残る浴槽は、熱気をお湯と一緒に溜めていく。
「まだご機嫌ななめ?」
「……うん」
「じゃあ、どうしてほしい?」
いい年した男女が空の浴槽で身を寄せ合っていると、何とも言えない気持ちになる。
足首くらいまでのお湯がようやく溜まった湯船、なぜか止まったシャワーの音に声が響く。
「どうもしなくていい」
「と。いうと?」
「まだ……全部、洗ってない……し」
腕を伸ばしてボディソープを手のひらに押し出す。
続く言葉を手のひらに追加した液体を泡立てる音で遮り、アヤは後ろから抱き締めてくるスヲンを無視してロイのそれを両手で包んだ。
最後の部分。雄の一竿。
「へぇ。俺の知らない間に誰かに教わった?」
腰を抱き寄せて、耳元で囁くスヲンに構っている場合ではない。アヤは硬く変わっていくロイの様子を上目遣いで確認する。
「……気持ちいい?」
休むことなく手を動かしながら尋ねてみれば、ロイは少し意外そうな顔をして、それから見たことがないほど優しい顔で笑った。
「当たり前でしょ。アヤが自発的に触ってくれるってだけでもイキそうなのに、可愛すぎて幸せだし、溶けそうなくらい気持ちいいよ」
「……そっか」
そう告げられて、照れた笑みを浮かべてしまったのは言うまでもない。
洗いやすいように体勢を整えて、腰を浮かしてくれたロイのものを両手で丁寧に洗う。徐々に大きく、そそり立っていくのが嬉しくて、楽しい気分になってくるのは何なのだろう。
もしかしたら、もしかしなくても、自分は相当変態なのかもしれない。だとすれば、彼ら限定で変態になるのかもしれない。
世の中の人たちは、みんな彼氏のものをこうして洗ったりするのだろうか。
どう洗うのが「正しい」のか、わからない。
いつまで続ければいいのかもわからない。まじまじと見つめていたら、ぽんっと頭にロイの手がのって、背後のスヲンが全身を密着させてきたのがわかった。
「アヤの好きなようにしていいよ」
「……うん」
「スヲン。そんな目で見ないでよ。教えたのはボクじゃないし、ね。ランディ?」
「オレでもないな」
「だとすれば、昔の男か?」
「それは妬ける」
「本人に聞いてみるのが一番だと思うけど、ね、アヤ」
何のことかわからずに、アヤはロイの竿を両手で包んだまま疑問符を浮かべる。
背中に額を押し付けるスヲンが、いじけたように見えるのは気のせいじゃないだろう。それを確認しようと首をひねったところで、なぜかランディの手が首のあたりを撫でた。
「ぁっ……待っ……て」
「じっとしてろ」
「……ん」
泡立てられたボディソープが首から鎖骨を通って胸の上部に塗られていく。スヲンはまだじっと密着していたが、何を思ったのか少しアヤを持ち上げて、自分の腰のうえにアヤを座らせた。
「入れないから」
「ッ……でも」
「アヤはロイの続き、俺はこっちで洗う」
自分の太ももの付け根からスヲンの先端が覗いている。そんな場所で「洗う」のは可能なのかと問いたい。あまりに不可解すぎてじっと凝視していたせいだろう。今度はロイが「手が止まってる」と顔を無理矢理そこに向けさせてくる。
「アヤはボクのをこんな風にして、どうしたいの?」
「え、ど……どうって」
「ほら、手が止まってるよ。手伝ってあげようか?」
浴槽のふちに腕をかけて、ふんぞり返る姿が、捨てられた子犬から王様に変貌している。
いつの間に雰囲気を変えていたのか、このままでは危険だと、本能が警告したのだろう。アヤは、はっと気付いたようにロイの雄を自分の胸で挟んだ。
先にいうと、挟めるほどの胸はない。
でも挟む意思があれば挟んだのと同義だと、アヤはロイの支配から逃れる唯一の方法にかけた。
「は?」
これが誰の声か、判定は難しい。鳩が豆鉄砲を食ったような顔で三人の彼氏が一時停止するなど、そう多くないだけに、珍しいものがみれたとアヤの顔がニヤける。
「待って、なにこれ、可愛い。なんでそんなことするの?」
「ふ、えっ…ぁ……キャッ」
「そういえば、前にランディが挟んでもらったことあったよね。こういう風に乳首引っ張ってさ」
「……やっ……ぁ、ロイ」
両方の乳首を同時に引っ張られて、必然的に体が前のめりになる。ところが、スヲンが腰を起点に密着しているせいで、アヤの乳房は不格好に前方へと伸びる程度でしかない。
「ァ…っ…待っ…ンッ…ろい」
「アヤ、乳首すごく立ってる。ボクの指でつまめるくらい、ねぇ、ほら、よく見て。すぐ固く尖っちゃうの、可愛い」
「……ッう」
乳首だけを強く掴んで自分のオスをその中央で擦るロイに、何も言い返せる言葉がない。挟めるほどの肉厚がない胸のはずなのに、伸ばされた両胸の間をロイの雄が前後している。
視界の暴力は、響く浴室に音まで反響させてしまうのだから五感に悪い。しかもこれを機に、スヲンまで腰を動かし始めた。
「スヲン…っ、アッ、だめ…だ…って」
「洗ってるだけ」
「……嘘……ンッ……ひっ」
たしかに挿入はされていない。割れ目にそって太ももの内側を擦るだけ。それでも、絶妙な刺激が液体石鹸の泡の力を借りて神経を震わせてくる。
突起物たちは前も下も彼氏たちの好き勝手にいじられて、もはやアヤの意思を手放していた。
無意識にネックレスに指が触れる。そこで目が合ってしまった。
「子猫」なんて呼ばれて、首輪までつけられて、飼い慣らされているのはこちら側だったことを思い出す。顔はきっと赤いだろう。
それでも、それはそれ、これはこれ。
彼女の特権を使えるときは使いたい。
「アヤもおいで」
三人同時に甘く呼ばれて、手招く輪に遠慮無く割り込むことにした。
意地はまだ持て余している。晴れない心は湯気よりも濃い蒸気で胸に巣食っている。
自分でもどうすればいいかわからない。
泡の残る浴槽は、熱気をお湯と一緒に溜めていく。
「まだご機嫌ななめ?」
「……うん」
「じゃあ、どうしてほしい?」
いい年した男女が空の浴槽で身を寄せ合っていると、何とも言えない気持ちになる。
足首くらいまでのお湯がようやく溜まった湯船、なぜか止まったシャワーの音に声が響く。
「どうもしなくていい」
「と。いうと?」
「まだ……全部、洗ってない……し」
腕を伸ばしてボディソープを手のひらに押し出す。
続く言葉を手のひらに追加した液体を泡立てる音で遮り、アヤは後ろから抱き締めてくるスヲンを無視してロイのそれを両手で包んだ。
最後の部分。雄の一竿。
「へぇ。俺の知らない間に誰かに教わった?」
腰を抱き寄せて、耳元で囁くスヲンに構っている場合ではない。アヤは硬く変わっていくロイの様子を上目遣いで確認する。
「……気持ちいい?」
休むことなく手を動かしながら尋ねてみれば、ロイは少し意外そうな顔をして、それから見たことがないほど優しい顔で笑った。
「当たり前でしょ。アヤが自発的に触ってくれるってだけでもイキそうなのに、可愛すぎて幸せだし、溶けそうなくらい気持ちいいよ」
「……そっか」
そう告げられて、照れた笑みを浮かべてしまったのは言うまでもない。
洗いやすいように体勢を整えて、腰を浮かしてくれたロイのものを両手で丁寧に洗う。徐々に大きく、そそり立っていくのが嬉しくて、楽しい気分になってくるのは何なのだろう。
もしかしたら、もしかしなくても、自分は相当変態なのかもしれない。だとすれば、彼ら限定で変態になるのかもしれない。
世の中の人たちは、みんな彼氏のものをこうして洗ったりするのだろうか。
どう洗うのが「正しい」のか、わからない。
いつまで続ければいいのかもわからない。まじまじと見つめていたら、ぽんっと頭にロイの手がのって、背後のスヲンが全身を密着させてきたのがわかった。
「アヤの好きなようにしていいよ」
「……うん」
「スヲン。そんな目で見ないでよ。教えたのはボクじゃないし、ね。ランディ?」
「オレでもないな」
「だとすれば、昔の男か?」
「それは妬ける」
「本人に聞いてみるのが一番だと思うけど、ね、アヤ」
何のことかわからずに、アヤはロイの竿を両手で包んだまま疑問符を浮かべる。
背中に額を押し付けるスヲンが、いじけたように見えるのは気のせいじゃないだろう。それを確認しようと首をひねったところで、なぜかランディの手が首のあたりを撫でた。
「ぁっ……待っ……て」
「じっとしてろ」
「……ん」
泡立てられたボディソープが首から鎖骨を通って胸の上部に塗られていく。スヲンはまだじっと密着していたが、何を思ったのか少しアヤを持ち上げて、自分の腰のうえにアヤを座らせた。
「入れないから」
「ッ……でも」
「アヤはロイの続き、俺はこっちで洗う」
自分の太ももの付け根からスヲンの先端が覗いている。そんな場所で「洗う」のは可能なのかと問いたい。あまりに不可解すぎてじっと凝視していたせいだろう。今度はロイが「手が止まってる」と顔を無理矢理そこに向けさせてくる。
「アヤはボクのをこんな風にして、どうしたいの?」
「え、ど……どうって」
「ほら、手が止まってるよ。手伝ってあげようか?」
浴槽のふちに腕をかけて、ふんぞり返る姿が、捨てられた子犬から王様に変貌している。
いつの間に雰囲気を変えていたのか、このままでは危険だと、本能が警告したのだろう。アヤは、はっと気付いたようにロイの雄を自分の胸で挟んだ。
先にいうと、挟めるほどの胸はない。
でも挟む意思があれば挟んだのと同義だと、アヤはロイの支配から逃れる唯一の方法にかけた。
「は?」
これが誰の声か、判定は難しい。鳩が豆鉄砲を食ったような顔で三人の彼氏が一時停止するなど、そう多くないだけに、珍しいものがみれたとアヤの顔がニヤける。
「待って、なにこれ、可愛い。なんでそんなことするの?」
「ふ、えっ…ぁ……キャッ」
「そういえば、前にランディが挟んでもらったことあったよね。こういう風に乳首引っ張ってさ」
「……やっ……ぁ、ロイ」
両方の乳首を同時に引っ張られて、必然的に体が前のめりになる。ところが、スヲンが腰を起点に密着しているせいで、アヤの乳房は不格好に前方へと伸びる程度でしかない。
「ァ…っ…待っ…ンッ…ろい」
「アヤ、乳首すごく立ってる。ボクの指でつまめるくらい、ねぇ、ほら、よく見て。すぐ固く尖っちゃうの、可愛い」
「……ッう」
乳首だけを強く掴んで自分のオスをその中央で擦るロイに、何も言い返せる言葉がない。挟めるほどの肉厚がない胸のはずなのに、伸ばされた両胸の間をロイの雄が前後している。
視界の暴力は、響く浴室に音まで反響させてしまうのだから五感に悪い。しかもこれを機に、スヲンまで腰を動かし始めた。
「スヲン…っ、アッ、だめ…だ…って」
「洗ってるだけ」
「……嘘……ンッ……ひっ」
たしかに挿入はされていない。割れ目にそって太ももの内側を擦るだけ。それでも、絶妙な刺激が液体石鹸の泡の力を借りて神経を震わせてくる。
突起物たちは前も下も彼氏たちの好き勝手にいじられて、もはやアヤの意思を手放していた。
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