7 / 8
7.女子高生、森の熊さんと出会う
「暇です…」
暇。
英語で言うとboring。
悪役令嬢、カレン・オルコットと入れ替わってから、1日たちました。
「君を助けだすために、出来るだけの手を打つつもりだ。また、来る。」
シルヴィオ王子は昨日、そう言ってくれましたが、隔離されている私のもとに、そう何度も来れるとは限りません。
状況は切羽詰まったものであるのに、軟禁されていて暇なのです。ままなりません。
鉄格子のはまった窓を見ると、見たこともない青い鳥がとんでいます。
お天気もよくて、やることもなくて
「ふわぁわわわ」
そう、欠伸も出てきてしまいそう…って、今の欠伸は私のじゃないです!
「ふわぁわわわ」
大きな欠伸がもう一度。扉の向こうから聞こえてきます。
…なんでしょう?
そーっと扉を開けると、大柄な甲冑をつけた兵士が船をこいでいました。なぜか、森の熊さんが頭の中を流れます。
男を避けつつドレスの裾をさばきつつ、華麗に走れば、この隙ににげだすことも出来そうです。
「おーい。兵士さん?暇ですね。」
でも、私運動苦手なんですよね。だから、情報収集することにします。
「うわぁお!ってなんだ嬢ちゃんか…」
あら、意外な反応。
「もっと驚くと思っていたのですが。罪人が逃げ出そうとしているんですよ?」
すると、熊さん(仮)は呆れたように言いました。
「罪人なぁ…よくやるよ。あのセージョサマをひっぱたくなんて。」
そうなのです。私が読んだ「せいプリ」では、カレンは主人公の聖女を舞踏会でひっぱたいていました。
それがきっかけで、髪を燃やしたりなどの聖女にしていた数々の嫌がらせが露呈し、追放に追い込まれたのです。
「えぇ、私も記憶が曖昧で…どうしてあんなことをしたのでしょうか?」
「いや、俺に聞かれても。まぁ、でもここだけの話、俺はあのセージョサマ苦手だね。色んな男の香水つけて、嫌な匂いがするしな。」
匂いって…
「まず、聖女様がどんな方だったかも覚えてないんですよね…」
熊さんはほうほうと頷いた後欠伸をしながらいいました。
「じゃあ、見に行ってみるか?」
そうですね。見に行けたら最高なんですけど。
「って、え!?」
「じゃあ、見に行ってみるかって聞いてるんだ。」
「そ、そんなことしていいんですか!?私、軟禁中ですよ!第一どうやって…」
すると、熊さんは甲冑を脱ぎはじめました。
「なんでぬぐんですか!?変態なんですか?」
「いいから、黙ってろって」
熊さんが甲冑を脱ぐと、裸…ではもちろんなくて兵士の服に身を包んだ、体格のいい男性があらわれました。野性味溢れる顔立ちに短髪が似合っています。
しかし、頭の上に…とても、とても不釣り合いなものが…
「…つっ…ふふ…か、かわいいですね。」
熊の耳が生えていました。音を聞き取ろうと、たまにピョコピョコ動いています。
「笑うんじゃねぇ。俺の固有魔法が熊に変化することなんだよ。身体能力もアップするからとりあえず耳だけのこしてるだけだ。」
「はぁ。」
そういえば、この世界は一人がひとつ固有魔法を持っていました。確かカレンは炎…でしたかね?
「でも、それでどうやって聖女を見に行くんです?」
「まず、甲冑を扉の前に置く。これで、俺がいるように見えるな。」
「ふむふむ」
大柄な甲冑は、ただ置くだけで、そこに人がいるように見えます。
「それで、変化の力で嬢ちゃんの周りの光をねじ曲げて、嬢ちゃんが保護色になるようにする。」
「ふむふむ」
カメレオンみたいなものですかね?変化、便利。
「で、後は俺と保護色な嬢ちゃんで、セージョサマを見に行くって寸法だ。」
「なるほど…!」
凄くリスキーではありますが、のほほんとこの男に言われると、出来そうな気がしてきます。
「やりましょう!」
「おう、そうと決まれば出発だ!」
早速、保護色にしてもらいました。
「見えてませんかね?」
「おう、多分な」
…不安もありますが、
聖女様を見学し隊、出発です!
暇。
英語で言うとboring。
悪役令嬢、カレン・オルコットと入れ替わってから、1日たちました。
「君を助けだすために、出来るだけの手を打つつもりだ。また、来る。」
シルヴィオ王子は昨日、そう言ってくれましたが、隔離されている私のもとに、そう何度も来れるとは限りません。
状況は切羽詰まったものであるのに、軟禁されていて暇なのです。ままなりません。
鉄格子のはまった窓を見ると、見たこともない青い鳥がとんでいます。
お天気もよくて、やることもなくて
「ふわぁわわわ」
そう、欠伸も出てきてしまいそう…って、今の欠伸は私のじゃないです!
「ふわぁわわわ」
大きな欠伸がもう一度。扉の向こうから聞こえてきます。
…なんでしょう?
そーっと扉を開けると、大柄な甲冑をつけた兵士が船をこいでいました。なぜか、森の熊さんが頭の中を流れます。
男を避けつつドレスの裾をさばきつつ、華麗に走れば、この隙ににげだすことも出来そうです。
「おーい。兵士さん?暇ですね。」
でも、私運動苦手なんですよね。だから、情報収集することにします。
「うわぁお!ってなんだ嬢ちゃんか…」
あら、意外な反応。
「もっと驚くと思っていたのですが。罪人が逃げ出そうとしているんですよ?」
すると、熊さん(仮)は呆れたように言いました。
「罪人なぁ…よくやるよ。あのセージョサマをひっぱたくなんて。」
そうなのです。私が読んだ「せいプリ」では、カレンは主人公の聖女を舞踏会でひっぱたいていました。
それがきっかけで、髪を燃やしたりなどの聖女にしていた数々の嫌がらせが露呈し、追放に追い込まれたのです。
「えぇ、私も記憶が曖昧で…どうしてあんなことをしたのでしょうか?」
「いや、俺に聞かれても。まぁ、でもここだけの話、俺はあのセージョサマ苦手だね。色んな男の香水つけて、嫌な匂いがするしな。」
匂いって…
「まず、聖女様がどんな方だったかも覚えてないんですよね…」
熊さんはほうほうと頷いた後欠伸をしながらいいました。
「じゃあ、見に行ってみるか?」
そうですね。見に行けたら最高なんですけど。
「って、え!?」
「じゃあ、見に行ってみるかって聞いてるんだ。」
「そ、そんなことしていいんですか!?私、軟禁中ですよ!第一どうやって…」
すると、熊さんは甲冑を脱ぎはじめました。
「なんでぬぐんですか!?変態なんですか?」
「いいから、黙ってろって」
熊さんが甲冑を脱ぐと、裸…ではもちろんなくて兵士の服に身を包んだ、体格のいい男性があらわれました。野性味溢れる顔立ちに短髪が似合っています。
しかし、頭の上に…とても、とても不釣り合いなものが…
「…つっ…ふふ…か、かわいいですね。」
熊の耳が生えていました。音を聞き取ろうと、たまにピョコピョコ動いています。
「笑うんじゃねぇ。俺の固有魔法が熊に変化することなんだよ。身体能力もアップするからとりあえず耳だけのこしてるだけだ。」
「はぁ。」
そういえば、この世界は一人がひとつ固有魔法を持っていました。確かカレンは炎…でしたかね?
「でも、それでどうやって聖女を見に行くんです?」
「まず、甲冑を扉の前に置く。これで、俺がいるように見えるな。」
「ふむふむ」
大柄な甲冑は、ただ置くだけで、そこに人がいるように見えます。
「それで、変化の力で嬢ちゃんの周りの光をねじ曲げて、嬢ちゃんが保護色になるようにする。」
「ふむふむ」
カメレオンみたいなものですかね?変化、便利。
「で、後は俺と保護色な嬢ちゃんで、セージョサマを見に行くって寸法だ。」
「なるほど…!」
凄くリスキーではありますが、のほほんとこの男に言われると、出来そうな気がしてきます。
「やりましょう!」
「おう、そうと決まれば出発だ!」
早速、保護色にしてもらいました。
「見えてませんかね?」
「おう、多分な」
…不安もありますが、
聖女様を見学し隊、出発です!
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
悪役令嬢に転生しましたが、全部諦めて弟を愛でることにしました
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したものの、知識チートとかないし回避方法も思いつかないため全部諦めて弟を愛でることにしたら…何故か教養を身につけてしまったお話。
なお理由は悪役令嬢の「脳」と「身体」のスペックが前世と違いめちゃくちゃ高いため。
超ご都合主義のハッピーエンド。
誰も不幸にならない大団円です。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。