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第3部
第15試合 - 明かされるカイルの秘密!
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土曜日、蕎麦屋とわり。
「あ、あれ、早く来すぎちゃったかしら。
お店開いてない……。
こ、こーんにーちはー!」
開かない店の扉の前で立ち往生する女性。
その女性は美しかった。
スタイルが良く、この暑さの中でも白く輝く肌を見せている。
そんな女性が必死に店へ呼びかける。
店内に気配はする、誰かはいる。
だが、開店前である為か、出てくる気配はない。
「困ったわ……。天晴くーん、出てきてよーー」
忘れてはならない、彼女は神に愛されていることを。
──ガララッ。
「すみませんね、お客さん。
まだ開店前なんで……おや」
店内から現れる眠そうな顔をした若い男。
若いとは言っても、彼女よりは年上のようだ。
「……あ、あのっ」
「天晴に用事かな?」
「あ、はい! 私、榛葉翔って言います。
天晴くんと約束してて」
「……マジか、あいつこんな美人を引っかけるなんて」
「えっ、いや、ちょっと、そんなこと言われると、恥ずかしいですっ」
「まあいいや、まだ部屋にいるみたいだから、呼んでくるよ。
適当に座って待っててくれ」
神に愛された彼女は、伝説の蕎麦屋、もとい伝説の剣豪、塚原日剋をパシらせた。
(……ここが、蕎麦屋とわり)
6年ほど前に開店したというこの店は、外観の大きさからは思いもよらないほど、こじんまりとした店である。
蕎麦屋という飲食店が珍しいわけではないが、島で経営するのなら、このぐらいの規模でもやっていけるのかもしれない。
そんなことを、彼女はぼんやりと考えていた。
──どたどた。
二階から慌ただしい音が聞こえてくる。
もうすぐ彼に会えるのだと、彼女の胸は少し高鳴っていた。
* * *
「トモ先輩、天晴のやつ、今日美人のお姉さんと、デートらしいんですよっ!」
「ははぁ……天晴ともなれば、モテモテだろうからなぁ……」
「くぅっ! 正直羨ましいです!」
「まあ……せっかくの土曜日に、朝から男二人で顔突き合わせて、こんなことやってるようじゃな……」
「こんなこととか言うの、やめてくださいよぉ。
なんか余計にむなしくなります……」
「カイル、人には人の、俺達には俺達の道がある。
惑わされるんじゃないぞう」
「はいっ!」
ピーン。
トモのギアブレードから排出されるコア。
「ありゃ……参ったな、こんなことになるなんて」
「いやあ、まぐれってあるもんですね」
「まぐれなもんか……よし、行ってみようか、蕎麦屋に」
「ウィッス!!」
* * *
「大丈夫? こんなとこ歩いてて、退屈してない?」
「いえ、そんな、退屈なんてしてないですよ」
剣島には、そう大層な娯楽施設があるわけではない。
必然、昼食というイベントが終わった後は、徒歩での散歩となる。
天晴と翔は、海岸に来ていた。
「思ったより、人がいるわね」
「暑いですからね」
「ふふ、そうね。
……改めて、この前はありがとう、天晴くん」
「いや……俺こそ、あんな立派なレストランでごちそうになっちゃって」
島の観光スポットのひとつである、海が見えるレストラン。
観光スポットであるがゆえに、地元民はあまり寄り付かない場所だ。
サービスのレベルは高いが、何せ、値段が高い。
「ホントに助かったからこそのお礼だもの。
感謝の気持ちは、お金で返せるものじゃないんだけど、ちょっと、かっこつけたくなったのよ」
「……」
やはり多少無理をさせてしまったと感じ、申し訳ない気持ちになる天晴。
「あれからチェーンが外れることもないし、調子いいわよ。
ホント、ありがとね」
「少し、堅めに絞っておきましたから。
もしかしたら、ペダルが重くなったかもしれませんけど」
「ううん、絶好調よ!」
「良かったです、榛葉さんのお役に立てて」
「天晴くん」
「……?」
歩みを止め、真面目な顔になる翔。
「あの……」
ただならぬ気配に、姿勢を正す天晴。
「あのね」
「……はい」
「もしよかったら、また会って欲しいの。
今度は、お友達として」
お友達、という単語に反応してしまう天晴だったが、答えは決まっていた。
「それは」
「もし会ってくれるならね、ひとつ条件があるの」
(条件……? 何でも聞くぞ……)
天晴の腹は決まっていた。
出会いからこの時までの僅かな間で、天晴はこれまでにない愛しさを翔に感じていたのだ。
「その条件はね……」
「はい」
緊張する一瞬。
「私のこと、翔ちゃんって呼んで!」
「……えっ」
大した事ではない、苗字から名前呼びに変わるだけだ。
大した事ではない、ではないはずなのだが、天晴にとってはこの上なく巨大な壁であった。
「そ、それは……」
「……嫌なの?」
身を屈め、上目遣いにのぞき込まれる。
逆らえるはずがない、神に愛された彼女に、天晴はもうメロメロなのだから。
「か、翔……さん」
絞り出した天晴の声に、翔はにっこりと笑った。
「これからもよろしくね、天晴くん!」
* * *
同じ頃、蕎麦屋とわり。
「困るねぇ、そんな事言われても。
ほら、お客さんだって来るし」
「客いないじゃないですか、このクソ暑い中、熱々の蕎麦を食べようなんて客はいませんよ」
「こらこら、酷い事言うなよ。
暑い中、熱々のお茶を飲む人だっているんだぞ」
「水掛け論ってやつですね!」
「カイルぅ、誰の為に頼んでると思ってるんだ!」
「いって! すみません、トモ先輩ぃ」
店内は、店長、トモ、カイルの三人が、騒がしくしていた。
「しかし……えらいもん買ってきたもんだ。
相当ボられただろう」
──ヴァヒュゥゥゥ!
店長が目の前に差し出された"オモチャ"を見て、顔をしかめる。
「ボられるだなんて、そんな!
ちゃんとした良心的な店ですよ!
親父に頼みこんで、15年ローンで買ってもらったんです!」
「15年だって?
ちょっと長すぎだろ、普通長くても10年とかじゃないのか」
「最新式ですから!」
胸を張るカイルだが、その姿に頭を痛める店長。
「あのねえ、カイルくん。
ギアブレードは新しいものがどんどん出てる。
カードが出た時みたいな大がかりな変更はないにしても、マイナーチェンジは半年に一回のペースで常に行われてるようなものだよ」
店長はため息をつく。
「今、こんな最新のものをそんな高い金額で買っても、次が続かない。
大体、最新すぎてどういじればいいのか、ノウハウが全くない。
ギアブレードに真面目に取り組んでるやつらの中では、最新式には半年間は触らないってのが、常識であり鉄則だよ」
自信満々で出した己のギアブレードが、伝説の剣豪にここまでボロクソに言われてしまうとは思っていなかったカイルのショックは大きい。
「ちなみに、いくらかかったの?」
「……300万です」
「15年ローンで、月々の返済額は?」
「35000ぐらいです……」
「…………ボられたな」
「……ええ、ボられてますね……」
誰にも相談せず、自分で店を探したところまでは評価しても良いが、店の評判や相場などをきちんと調べもしなかったカイルの落ち度である。
ぼったくられたものは仕方がないとして、高い勉強代だと、受け止める事にした。
カイルはあくまで、前向きなのだ。
「塚原さん、こいつ、こんなバカで残念な奴ですけど、最近はデュエルの腕も上がってますし、うちのチームにいても、もったいないと思うんです」
「ギアブレードの性能差が戦力の決定的な差になるわけではないよ?」
「そんなの、天晴を見てればわかります。
偉い人には、そんなことわからないかもしれませんが、俺達にはわかります」
「……君、結構いけるクチだね」
「塚原さんこそ、まさかの引用でしたよ」
くっくっく、と怪しく笑う二人。
「おじさん、前に天晴が言ってたんです。
おじさんは天晴に他人が望んでも手に入らないような環境を用意してやるって言ってたって。
それ、俺じゃダメですか?」
「ダメに決まってるだろ……。
俺がカイルくんにそこまでしてやる義理はない。
いくら天晴の友達でもさ」
「友達ですけど、俺は天晴のライバルですっ!!」
「いや、そういう問題じゃなくて、その体じゃ無理だろ……。
……無理、か……? 本当に……?」
(他人を限界を、俺の見立てだけで決めていいものか……?)
突然、口に手を当て、考え込む店長。
それを好機と見たのか、畳みかけるカイルとトモ。
「お願いします、塚原さん!」
「俺、本気なんです! 何でもやりますから!」
「ああ、うるさい、ちょっと考えさせろ」
剣豪を現役を思い出させるかのような荒っぽい口調に、思わずビクついてしまう二人。
どこか遠くを見ていたかと思えば、手元に置かれた最新式のギアブレードを突然手に取り、品定めをする店長。
(アドバンスドテクニカルタイプ、か……。
聞いた事のない型だが、どこの会社が作ったんだ?
社名や販売元の印字やマークは……ない。
まさか、横流し品か……?)
目の前で姿勢を正し、緊張している様子のカイルを見る。
(彼にしたって、ただのミーハーじゃない。
このギアブレードにしても、ボられたとはいえ、彼自身がきちんと選んだ逸品だ。
これを見れば、彼は優れた自己分析能力と、正しい剣闘の知識がある事がわかる。
それに天晴の話じゃ、きちんとバイトして金貯めてるって話だし、計画性もありそうだ。
……まあ、それにしちゃ今回の衝動買いは……。
ああ、なるほど、天晴の影響か)
やれやれといった風に、ゆるりとかぶりを振る店長。
「……いいだろう、ただし、カイルくんだけだ。
それから、何があっても保証はしない。
挫けたらそこで終わり、努力を止めたらそこが君の限界だ。
それに関して、俺は一切の責任をもたない、いいね?」
「……ッ、はい!!」
(シビれた……! カイル、お前幸せもんだぜ!
伝説の剣豪にここまで手をかけてもらえるなんて、人生に一度あるかないかの幸運だぞ……!)
カイル=エアシュート……。
後に剣闘の世界へと、大きく羽ばたく事になる男が、動き出した……。
「あ、あれ、早く来すぎちゃったかしら。
お店開いてない……。
こ、こーんにーちはー!」
開かない店の扉の前で立ち往生する女性。
その女性は美しかった。
スタイルが良く、この暑さの中でも白く輝く肌を見せている。
そんな女性が必死に店へ呼びかける。
店内に気配はする、誰かはいる。
だが、開店前である為か、出てくる気配はない。
「困ったわ……。天晴くーん、出てきてよーー」
忘れてはならない、彼女は神に愛されていることを。
──ガララッ。
「すみませんね、お客さん。
まだ開店前なんで……おや」
店内から現れる眠そうな顔をした若い男。
若いとは言っても、彼女よりは年上のようだ。
「……あ、あのっ」
「天晴に用事かな?」
「あ、はい! 私、榛葉翔って言います。
天晴くんと約束してて」
「……マジか、あいつこんな美人を引っかけるなんて」
「えっ、いや、ちょっと、そんなこと言われると、恥ずかしいですっ」
「まあいいや、まだ部屋にいるみたいだから、呼んでくるよ。
適当に座って待っててくれ」
神に愛された彼女は、伝説の蕎麦屋、もとい伝説の剣豪、塚原日剋をパシらせた。
(……ここが、蕎麦屋とわり)
6年ほど前に開店したというこの店は、外観の大きさからは思いもよらないほど、こじんまりとした店である。
蕎麦屋という飲食店が珍しいわけではないが、島で経営するのなら、このぐらいの規模でもやっていけるのかもしれない。
そんなことを、彼女はぼんやりと考えていた。
──どたどた。
二階から慌ただしい音が聞こえてくる。
もうすぐ彼に会えるのだと、彼女の胸は少し高鳴っていた。
* * *
「トモ先輩、天晴のやつ、今日美人のお姉さんと、デートらしいんですよっ!」
「ははぁ……天晴ともなれば、モテモテだろうからなぁ……」
「くぅっ! 正直羨ましいです!」
「まあ……せっかくの土曜日に、朝から男二人で顔突き合わせて、こんなことやってるようじゃな……」
「こんなこととか言うの、やめてくださいよぉ。
なんか余計にむなしくなります……」
「カイル、人には人の、俺達には俺達の道がある。
惑わされるんじゃないぞう」
「はいっ!」
ピーン。
トモのギアブレードから排出されるコア。
「ありゃ……参ったな、こんなことになるなんて」
「いやあ、まぐれってあるもんですね」
「まぐれなもんか……よし、行ってみようか、蕎麦屋に」
「ウィッス!!」
* * *
「大丈夫? こんなとこ歩いてて、退屈してない?」
「いえ、そんな、退屈なんてしてないですよ」
剣島には、そう大層な娯楽施設があるわけではない。
必然、昼食というイベントが終わった後は、徒歩での散歩となる。
天晴と翔は、海岸に来ていた。
「思ったより、人がいるわね」
「暑いですからね」
「ふふ、そうね。
……改めて、この前はありがとう、天晴くん」
「いや……俺こそ、あんな立派なレストランでごちそうになっちゃって」
島の観光スポットのひとつである、海が見えるレストラン。
観光スポットであるがゆえに、地元民はあまり寄り付かない場所だ。
サービスのレベルは高いが、何せ、値段が高い。
「ホントに助かったからこそのお礼だもの。
感謝の気持ちは、お金で返せるものじゃないんだけど、ちょっと、かっこつけたくなったのよ」
「……」
やはり多少無理をさせてしまったと感じ、申し訳ない気持ちになる天晴。
「あれからチェーンが外れることもないし、調子いいわよ。
ホント、ありがとね」
「少し、堅めに絞っておきましたから。
もしかしたら、ペダルが重くなったかもしれませんけど」
「ううん、絶好調よ!」
「良かったです、榛葉さんのお役に立てて」
「天晴くん」
「……?」
歩みを止め、真面目な顔になる翔。
「あの……」
ただならぬ気配に、姿勢を正す天晴。
「あのね」
「……はい」
「もしよかったら、また会って欲しいの。
今度は、お友達として」
お友達、という単語に反応してしまう天晴だったが、答えは決まっていた。
「それは」
「もし会ってくれるならね、ひとつ条件があるの」
(条件……? 何でも聞くぞ……)
天晴の腹は決まっていた。
出会いからこの時までの僅かな間で、天晴はこれまでにない愛しさを翔に感じていたのだ。
「その条件はね……」
「はい」
緊張する一瞬。
「私のこと、翔ちゃんって呼んで!」
「……えっ」
大した事ではない、苗字から名前呼びに変わるだけだ。
大した事ではない、ではないはずなのだが、天晴にとってはこの上なく巨大な壁であった。
「そ、それは……」
「……嫌なの?」
身を屈め、上目遣いにのぞき込まれる。
逆らえるはずがない、神に愛された彼女に、天晴はもうメロメロなのだから。
「か、翔……さん」
絞り出した天晴の声に、翔はにっこりと笑った。
「これからもよろしくね、天晴くん!」
* * *
同じ頃、蕎麦屋とわり。
「困るねぇ、そんな事言われても。
ほら、お客さんだって来るし」
「客いないじゃないですか、このクソ暑い中、熱々の蕎麦を食べようなんて客はいませんよ」
「こらこら、酷い事言うなよ。
暑い中、熱々のお茶を飲む人だっているんだぞ」
「水掛け論ってやつですね!」
「カイルぅ、誰の為に頼んでると思ってるんだ!」
「いって! すみません、トモ先輩ぃ」
店内は、店長、トモ、カイルの三人が、騒がしくしていた。
「しかし……えらいもん買ってきたもんだ。
相当ボられただろう」
──ヴァヒュゥゥゥ!
店長が目の前に差し出された"オモチャ"を見て、顔をしかめる。
「ボられるだなんて、そんな!
ちゃんとした良心的な店ですよ!
親父に頼みこんで、15年ローンで買ってもらったんです!」
「15年だって?
ちょっと長すぎだろ、普通長くても10年とかじゃないのか」
「最新式ですから!」
胸を張るカイルだが、その姿に頭を痛める店長。
「あのねえ、カイルくん。
ギアブレードは新しいものがどんどん出てる。
カードが出た時みたいな大がかりな変更はないにしても、マイナーチェンジは半年に一回のペースで常に行われてるようなものだよ」
店長はため息をつく。
「今、こんな最新のものをそんな高い金額で買っても、次が続かない。
大体、最新すぎてどういじればいいのか、ノウハウが全くない。
ギアブレードに真面目に取り組んでるやつらの中では、最新式には半年間は触らないってのが、常識であり鉄則だよ」
自信満々で出した己のギアブレードが、伝説の剣豪にここまでボロクソに言われてしまうとは思っていなかったカイルのショックは大きい。
「ちなみに、いくらかかったの?」
「……300万です」
「15年ローンで、月々の返済額は?」
「35000ぐらいです……」
「…………ボられたな」
「……ええ、ボられてますね……」
誰にも相談せず、自分で店を探したところまでは評価しても良いが、店の評判や相場などをきちんと調べもしなかったカイルの落ち度である。
ぼったくられたものは仕方がないとして、高い勉強代だと、受け止める事にした。
カイルはあくまで、前向きなのだ。
「塚原さん、こいつ、こんなバカで残念な奴ですけど、最近はデュエルの腕も上がってますし、うちのチームにいても、もったいないと思うんです」
「ギアブレードの性能差が戦力の決定的な差になるわけではないよ?」
「そんなの、天晴を見てればわかります。
偉い人には、そんなことわからないかもしれませんが、俺達にはわかります」
「……君、結構いけるクチだね」
「塚原さんこそ、まさかの引用でしたよ」
くっくっく、と怪しく笑う二人。
「おじさん、前に天晴が言ってたんです。
おじさんは天晴に他人が望んでも手に入らないような環境を用意してやるって言ってたって。
それ、俺じゃダメですか?」
「ダメに決まってるだろ……。
俺がカイルくんにそこまでしてやる義理はない。
いくら天晴の友達でもさ」
「友達ですけど、俺は天晴のライバルですっ!!」
「いや、そういう問題じゃなくて、その体じゃ無理だろ……。
……無理、か……? 本当に……?」
(他人を限界を、俺の見立てだけで決めていいものか……?)
突然、口に手を当て、考え込む店長。
それを好機と見たのか、畳みかけるカイルとトモ。
「お願いします、塚原さん!」
「俺、本気なんです! 何でもやりますから!」
「ああ、うるさい、ちょっと考えさせろ」
剣豪を現役を思い出させるかのような荒っぽい口調に、思わずビクついてしまう二人。
どこか遠くを見ていたかと思えば、手元に置かれた最新式のギアブレードを突然手に取り、品定めをする店長。
(アドバンスドテクニカルタイプ、か……。
聞いた事のない型だが、どこの会社が作ったんだ?
社名や販売元の印字やマークは……ない。
まさか、横流し品か……?)
目の前で姿勢を正し、緊張している様子のカイルを見る。
(彼にしたって、ただのミーハーじゃない。
このギアブレードにしても、ボられたとはいえ、彼自身がきちんと選んだ逸品だ。
これを見れば、彼は優れた自己分析能力と、正しい剣闘の知識がある事がわかる。
それに天晴の話じゃ、きちんとバイトして金貯めてるって話だし、計画性もありそうだ。
……まあ、それにしちゃ今回の衝動買いは……。
ああ、なるほど、天晴の影響か)
やれやれといった風に、ゆるりとかぶりを振る店長。
「……いいだろう、ただし、カイルくんだけだ。
それから、何があっても保証はしない。
挫けたらそこで終わり、努力を止めたらそこが君の限界だ。
それに関して、俺は一切の責任をもたない、いいね?」
「……ッ、はい!!」
(シビれた……! カイル、お前幸せもんだぜ!
伝説の剣豪にここまで手をかけてもらえるなんて、人生に一度あるかないかの幸運だぞ……!)
カイル=エアシュート……。
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