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第二部
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やがて、先生の誘導により他のクラスの生徒は自分たちの教室に戻り、騒ぎは収まる。
問題は私たちだった。救助活動で教室は使えない。
教室を失った私たちは流浪の民と化していた。あるものはうろたえ、あるものはしゃがみ込み、事態の収拾を待ち望んでいた。
結局、教頭先生が私たちを開いている三階にある家庭科室に誘導され、事態が落ち着くまで待つよう指示された。
後には、二-二の生徒一五人が残される。
「ねえ、うちらどうなんの?」
「知らないよ」
「一体何なんだよ……」
「あの苦しみ方ヤバくない?」
苛立ちと疑惑にまみれた噂が立ち込めた環境。そこには人間の本性がチラチラとあぶりだされている。だが時間が経ちにつれ、彼らは真実性のない話し合いに何ら意味のないことを悟る羽目に陥る。
静けさだけが残る……
互いが互いを、チラッチラッと見て考えているようだ。
きっと全員が思っていることを考えると――
『何がどうなっているんだ! 早く誰か何とかしてくれ!』とか……
『先生は何やっているんだ! ったく使えねえ!』といったところだろうか?
そうかもしれない……そうでないかもしれない……実際は分からない。何を思っているかなんて私には分からない。でもまあなんとなくこうだろうと思うしかない。
重苦しい空気が漂い、辺りに充満する。
空調の音だけがしばらく聞こえていた……
沈鬱な中で、ツカツカと誰かの足音が聞こえる。
誰かがそれに反応し、別の誰かもそれに気づく。
足音はどんどん大きくなっていく。それに荒い息遣いも聞こえてきた。
やがて全員が教室の扉に目を向ける。誰もが事態を収束に向かわせる存在を待ち望んでいる。
扉が開き、その存在はやってきた。
姿を現したのは、谷矢先生だ。全員が彼の姿を見て、ホッと胸をなで下ろす。
「全員今日は帰っていい」
憔悴した顔つきをした先生は、ハアハアと速まる鼓動を押えながら言う。
「先生!」
金切り声が教室に鳴り響く。落ち着きを取り戻していた生徒の顔がギョッとした表情を浮かべ、声の主の顔を見た。
そこには、切実な思いを胸に持つ友の顔があった。
「緑は? 緑はどうなんです?」
彼女は必死に倒れた友達の安否をうかがう。その様子に、谷矢先生は険しい顔をする。
「まだ分からない。今さっき救急車で運ばれていった」
「助かるんですか?」彼女の言葉は核心を突いていた。
先生が押し黙ると、彼女は何か言おうとするが近くにいたクラスの子に止められる。
「あーとにかく。今日はここでホームルームをして、教室にある荷物を持ったらかえっていいことになった。美作のことは、まだ分からん。おって明日――」
何かの拍子に容易に崩れるクラスを谷矢先生は、何とか先生という立場を利用して全員をまとめ上げようとした。
クラス中、全員が狐に包まれたようにポカンと話を聞いていた。恐らく多くの内容は頭に入っていないだろう。
皆が思っていた。あの――あれは一体何だったのだろう? 美作緑は、どうして倒れたのか――彼女に一体何が? 全員の心の中にある疑問、それが晴れることは決してなかった。
問題は私たちだった。救助活動で教室は使えない。
教室を失った私たちは流浪の民と化していた。あるものはうろたえ、あるものはしゃがみ込み、事態の収拾を待ち望んでいた。
結局、教頭先生が私たちを開いている三階にある家庭科室に誘導され、事態が落ち着くまで待つよう指示された。
後には、二-二の生徒一五人が残される。
「ねえ、うちらどうなんの?」
「知らないよ」
「一体何なんだよ……」
「あの苦しみ方ヤバくない?」
苛立ちと疑惑にまみれた噂が立ち込めた環境。そこには人間の本性がチラチラとあぶりだされている。だが時間が経ちにつれ、彼らは真実性のない話し合いに何ら意味のないことを悟る羽目に陥る。
静けさだけが残る……
互いが互いを、チラッチラッと見て考えているようだ。
きっと全員が思っていることを考えると――
『何がどうなっているんだ! 早く誰か何とかしてくれ!』とか……
『先生は何やっているんだ! ったく使えねえ!』といったところだろうか?
そうかもしれない……そうでないかもしれない……実際は分からない。何を思っているかなんて私には分からない。でもまあなんとなくこうだろうと思うしかない。
重苦しい空気が漂い、辺りに充満する。
空調の音だけがしばらく聞こえていた……
沈鬱な中で、ツカツカと誰かの足音が聞こえる。
誰かがそれに反応し、別の誰かもそれに気づく。
足音はどんどん大きくなっていく。それに荒い息遣いも聞こえてきた。
やがて全員が教室の扉に目を向ける。誰もが事態を収束に向かわせる存在を待ち望んでいる。
扉が開き、その存在はやってきた。
姿を現したのは、谷矢先生だ。全員が彼の姿を見て、ホッと胸をなで下ろす。
「全員今日は帰っていい」
憔悴した顔つきをした先生は、ハアハアと速まる鼓動を押えながら言う。
「先生!」
金切り声が教室に鳴り響く。落ち着きを取り戻していた生徒の顔がギョッとした表情を浮かべ、声の主の顔を見た。
そこには、切実な思いを胸に持つ友の顔があった。
「緑は? 緑はどうなんです?」
彼女は必死に倒れた友達の安否をうかがう。その様子に、谷矢先生は険しい顔をする。
「まだ分からない。今さっき救急車で運ばれていった」
「助かるんですか?」彼女の言葉は核心を突いていた。
先生が押し黙ると、彼女は何か言おうとするが近くにいたクラスの子に止められる。
「あーとにかく。今日はここでホームルームをして、教室にある荷物を持ったらかえっていいことになった。美作のことは、まだ分からん。おって明日――」
何かの拍子に容易に崩れるクラスを谷矢先生は、何とか先生という立場を利用して全員をまとめ上げようとした。
クラス中、全員が狐に包まれたようにポカンと話を聞いていた。恐らく多くの内容は頭に入っていないだろう。
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