俺様王子は女嫌い?!本当は一途すぎて幼馴染のキミしか見てない

naomikoryo

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第33話「選ばれる痛み、選びたい未来」

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金曜日の夜、全国放送。

天音は、自宅のソファに丸くなってテレビを見つめていた。
いつもの制服じゃない。
撮影用に用意された、淡い水色のワンピース姿の自分が映っている。

画面の中で、天音と凛音は笑顔で立ち並び、曲紹介を受けていた。

 

(これ……本当に私なのかな)

 

自分の声、自分の顔、そして――凛音の隣で歌う自分。

画面の中では凛音が横顔で天音を見つめるカットもあり、
SNSではすでに「顔が良すぎて尊い」だの「新カップル爆誕」だの、
騒ぎになっていた。

 

(でも……全部“凛音と一緒”だから。
一人だったら、私はきっと……)

 

そんな時、スマホが震えた。

送信者:凛音

「今からうち来い。重要な放送がある」

天音が「それ、今テレビで観てるやつだよね!?」と突っ込む間もなく、
さらにもう一通。

「一緒に観ないと、俺が不機嫌になる」

……既に出かける準備は始まっていた。

 



 

桐嶋家のリビング。
そこには、由依・美咲・紗奈、そして美沙が揃っていた。

完璧な照明。高画質モニター。
テーブルにはオーガニックティーと自家製マカロン。

 

「これはただの“鑑賞”じゃないわよ?今夜は“分析&戦略会議”!」

美咲の気合が凄まじい。

 

「……いや、普通に感想言いながら観るとかでよくない?」

天音が引き気味に言うと、紗奈がキラキラした目で応える。

「だめ!今夜は“未来のスターを見守る会”なんだからっ!」

 

そんな空気の中、テレビからMCの声が響く。

「さて、注目のユニット《R+T》のお二人。
審査員票、そして視聴者票を集計した結果――」

 

天音は自然と凛音の袖をぎゅっと握っていた。

凛音は何も言わず、そっとその手を包む。

 

「……デビュー候補ユニットとして、正式選出!」

 

一瞬、時間が止まったようだった。

 

次の瞬間――

「きたあああああああ!!!」
「よっしゃぁぁぁ!!」
「凛音様、デビューおめでとうございますっ!」

3姉妹が一斉に立ち上がってクラッカーを鳴らす。
美沙は拍手しながらもすでにスマホで記者会見の準備を始めていた。

 

天音は、まだ信じられないという顔で凛音を見つめた。

「……私たち、選ばれたんだ」

「そうだ。お前と、俺とで」

「……でも、これからは、もっと見られる。もっと叩かれる。もっと比べられる……怖くない?」

 

凛音は、真っ直ぐ天音の目を見た。

 

「怖くねぇよ。全部、お前と一緒にやるから」

 

天音の目に、ふわっと涙が浮かぶ。

 

「ありがとう、凛音……私、凛音がいたから、ここまで来られたよ」

 

「ちげぇよ。お前が俺の隣にいたから、俺がここにいられるんだ」

 

そのやり取りに、由依が感極まりティッシュを差し出し、
美咲が写真を撮りながら「#尊いの暴力」と呟き、
紗奈は「このシーン、アニメ化されたら泣く」と一人で感傷に浸っていた。

 



 

放送後、SNSは大騒ぎだった。

「R+T最高すぎる……涙止まらん」
「天音ちゃん、最初緊張してたけど途中から目が変わった。凛音が見てたからだね」
「この2人、芸能界に革命起こす気か……」

 

トレンド入り、ファンアート爆増、YouTube急上昇入り――
桐嶋家のWi-Fiが悲鳴を上げるレベルのバズりようだった。

 

だが。

 

天音がふと、自分のSNSを開いたとき。

そこには、またいくつかの中傷のDMが届いていた。

“お前なんかが凛音の隣に立つな”

“消えろ”

“もっとマシなやつと組んでほしい”

 

その言葉に、ぐっと胸が詰まりかけたとき――

一つの新しい通知が飛び込んできた。

凛音くんの公式アカウントがあなたの投稿をリツイートしました

 

天音が投稿していた、収録の日の空の写真。
添えられていたのは、たった一言。

《この空の下で、私は歌いたい。隣に、凛音がいれば》

 

リツイートと共に、凛音のコメントが添えられていた。

「こいつの隣に立てるのは、世界で俺だけだ。黙って見てろ」

 

涙が、こぼれた。

もう、何も怖くなかった。

 

天音はスマホを握って、そっと呟いた。

 

「うん。私、歌うよ。もっと、もっとあなたの隣で」

 

ステージの光はまぶしくて、時に影も落とすけれど――
それでも、2人でなら前に進める。

そんな確信を胸に。

 
【つづく】
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