俺様王子は女嫌い?!本当は一途すぎて幼馴染のキミしか見てない

naomikoryo

文字の大きさ
33 / 55

第33話「選ばれる痛み、選びたい未来」

しおりを挟む
金曜日の夜、全国放送。

天音は、自宅のソファに丸くなってテレビを見つめていた。
いつもの制服じゃない。
撮影用に用意された、淡い水色のワンピース姿の自分が映っている。

画面の中で、天音と凛音は笑顔で立ち並び、曲紹介を受けていた。

 

(これ……本当に私なのかな)

 

自分の声、自分の顔、そして――凛音の隣で歌う自分。

画面の中では凛音が横顔で天音を見つめるカットもあり、
SNSではすでに「顔が良すぎて尊い」だの「新カップル爆誕」だの、
騒ぎになっていた。

 

(でも……全部“凛音と一緒”だから。
一人だったら、私はきっと……)

 

そんな時、スマホが震えた。

送信者:凛音

「今からうち来い。重要な放送がある」

天音が「それ、今テレビで観てるやつだよね!?」と突っ込む間もなく、
さらにもう一通。

「一緒に観ないと、俺が不機嫌になる」

……既に出かける準備は始まっていた。

 



 

桐嶋家のリビング。
そこには、由依・美咲・紗奈、そして美沙が揃っていた。

完璧な照明。高画質モニター。
テーブルにはオーガニックティーと自家製マカロン。

 

「これはただの“鑑賞”じゃないわよ?今夜は“分析&戦略会議”!」

美咲の気合が凄まじい。

 

「……いや、普通に感想言いながら観るとかでよくない?」

天音が引き気味に言うと、紗奈がキラキラした目で応える。

「だめ!今夜は“未来のスターを見守る会”なんだからっ!」

 

そんな空気の中、テレビからMCの声が響く。

「さて、注目のユニット《R+T》のお二人。
審査員票、そして視聴者票を集計した結果――」

 

天音は自然と凛音の袖をぎゅっと握っていた。

凛音は何も言わず、そっとその手を包む。

 

「……デビュー候補ユニットとして、正式選出!」

 

一瞬、時間が止まったようだった。

 

次の瞬間――

「きたあああああああ!!!」
「よっしゃぁぁぁ!!」
「凛音様、デビューおめでとうございますっ!」

3姉妹が一斉に立ち上がってクラッカーを鳴らす。
美沙は拍手しながらもすでにスマホで記者会見の準備を始めていた。

 

天音は、まだ信じられないという顔で凛音を見つめた。

「……私たち、選ばれたんだ」

「そうだ。お前と、俺とで」

「……でも、これからは、もっと見られる。もっと叩かれる。もっと比べられる……怖くない?」

 

凛音は、真っ直ぐ天音の目を見た。

 

「怖くねぇよ。全部、お前と一緒にやるから」

 

天音の目に、ふわっと涙が浮かぶ。

 

「ありがとう、凛音……私、凛音がいたから、ここまで来られたよ」

 

「ちげぇよ。お前が俺の隣にいたから、俺がここにいられるんだ」

 

そのやり取りに、由依が感極まりティッシュを差し出し、
美咲が写真を撮りながら「#尊いの暴力」と呟き、
紗奈は「このシーン、アニメ化されたら泣く」と一人で感傷に浸っていた。

 



 

放送後、SNSは大騒ぎだった。

「R+T最高すぎる……涙止まらん」
「天音ちゃん、最初緊張してたけど途中から目が変わった。凛音が見てたからだね」
「この2人、芸能界に革命起こす気か……」

 

トレンド入り、ファンアート爆増、YouTube急上昇入り――
桐嶋家のWi-Fiが悲鳴を上げるレベルのバズりようだった。

 

だが。

 

天音がふと、自分のSNSを開いたとき。

そこには、またいくつかの中傷のDMが届いていた。

“お前なんかが凛音の隣に立つな”

“消えろ”

“もっとマシなやつと組んでほしい”

 

その言葉に、ぐっと胸が詰まりかけたとき――

一つの新しい通知が飛び込んできた。

凛音くんの公式アカウントがあなたの投稿をリツイートしました

 

天音が投稿していた、収録の日の空の写真。
添えられていたのは、たった一言。

《この空の下で、私は歌いたい。隣に、凛音がいれば》

 

リツイートと共に、凛音のコメントが添えられていた。

「こいつの隣に立てるのは、世界で俺だけだ。黙って見てろ」

 

涙が、こぼれた。

もう、何も怖くなかった。

 

天音はスマホを握って、そっと呟いた。

 

「うん。私、歌うよ。もっと、もっとあなたの隣で」

 

ステージの光はまぶしくて、時に影も落とすけれど――
それでも、2人でなら前に進める。

そんな確信を胸に。

 
【つづく】
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...