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第57話:君の名を守るために、僕らは動く(5/5)
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~沈黙を壊すために、探偵は声をあげる~
春のある日。昇降口を出た中庭にて。
ほんのり花の香りが混じる午後、加賀見るなは、ひとりスマホを構えていた。
レンズの向こうには、咲き始めた木蓮の花。
「……きれい」
その呟きに、すぐ隣から声が返ってくる。
「おっ、それインスタに上げる系?」
現れたのはマコト。くたっとした制服姿に、首からかけた謎の“探偵バッジ”。
るなは、ちょっとだけ驚いて、笑った。
「……あのときは、本当にありがとうございました」
「ううん、俺はただのキッカケ役。
本当にすごいのは、るなちゃんがちゃんと立って、言葉を返したことだよ」
るなは少しだけ黙って、スマホをしまった。
「……正直、すっごく怖かったです。
なにもしてないのに“やった”って言われるの、こんなにしんどいんだって。
でも、私のことを信じて、ちゃんと“違うよ”って言ってくれた人たちがいたから……」
マコト「“疑われた側”って、どんなに声をあげても届かないことがあるよね。
でも俺たち生徒会が、それを拾えたなら、やってよかったなって思える」
■記録ノート:事件ファイルNo.009
事件名:「目撃者ゼロのカメラ」
関係者:加賀見るな/篠原友翔/裏アカ“夜の職員室”
発端:校内SNSで拡散された「盗撮の噂」
経緯:匿名の投稿 → 被害者誤認 → 誤解が独り歩き → 真相解明
結末:本人同士の謝罪、生徒会からの注意喚起、空気の修正
●生徒会コメント抜粋
・ 早紀
“かわいそう”って言葉は、時々、免罪符に使われる。
本当に大事なのは“何が起きたか”じゃなく、“誰が傷ついたか”。
・ 美穂
ギャルだってな、SNSの怖さくらい知ってんだよ。
バズりより、人の気持ちの方が大事っしょ。
・ 佐伯
カメラって、ただの道具なのに。
使う人の目線次第で、“思い出”にも“凶器”にもなるんだよな。
・ 蓮
拡散力って武器になるけど、引き金引くの早すぎんのよ、みんな。
・ 詩織
「真実」って、スマホより脆くて、SNSより遅い。
でも、守らなきゃって思える時点で、それはもう強い。
・ 綾小路
“ネタ”の皮を被った悪意は、往々にして、悪意よりタチが悪い。
・ マコト
探偵は、犯人を見つけるためだけにいるんじゃない。
誰かの名前が、間違って傷つかないように守るためにも、俺は動く。
放課後、最後のひとコマ。
るなはマコトに小さく頭を下げてから、
もう一度スマホを構え、木蓮の花にピントを合わせた。
マコト「また花撮るの?」
るな「……はい。誰かに、“きれいだね”って言ってもらえるの、嬉しいから」
マコトはニッと笑う。
「じゃあ俺、世界一でかい声で言っとく。めちゃくちゃきれいだよ!」
春のある日。昇降口を出た中庭にて。
ほんのり花の香りが混じる午後、加賀見るなは、ひとりスマホを構えていた。
レンズの向こうには、咲き始めた木蓮の花。
「……きれい」
その呟きに、すぐ隣から声が返ってくる。
「おっ、それインスタに上げる系?」
現れたのはマコト。くたっとした制服姿に、首からかけた謎の“探偵バッジ”。
るなは、ちょっとだけ驚いて、笑った。
「……あのときは、本当にありがとうございました」
「ううん、俺はただのキッカケ役。
本当にすごいのは、るなちゃんがちゃんと立って、言葉を返したことだよ」
るなは少しだけ黙って、スマホをしまった。
「……正直、すっごく怖かったです。
なにもしてないのに“やった”って言われるの、こんなにしんどいんだって。
でも、私のことを信じて、ちゃんと“違うよ”って言ってくれた人たちがいたから……」
マコト「“疑われた側”って、どんなに声をあげても届かないことがあるよね。
でも俺たち生徒会が、それを拾えたなら、やってよかったなって思える」
■記録ノート:事件ファイルNo.009
事件名:「目撃者ゼロのカメラ」
関係者:加賀見るな/篠原友翔/裏アカ“夜の職員室”
発端:校内SNSで拡散された「盗撮の噂」
経緯:匿名の投稿 → 被害者誤認 → 誤解が独り歩き → 真相解明
結末:本人同士の謝罪、生徒会からの注意喚起、空気の修正
●生徒会コメント抜粋
・ 早紀
“かわいそう”って言葉は、時々、免罪符に使われる。
本当に大事なのは“何が起きたか”じゃなく、“誰が傷ついたか”。
・ 美穂
ギャルだってな、SNSの怖さくらい知ってんだよ。
バズりより、人の気持ちの方が大事っしょ。
・ 佐伯
カメラって、ただの道具なのに。
使う人の目線次第で、“思い出”にも“凶器”にもなるんだよな。
・ 蓮
拡散力って武器になるけど、引き金引くの早すぎんのよ、みんな。
・ 詩織
「真実」って、スマホより脆くて、SNSより遅い。
でも、守らなきゃって思える時点で、それはもう強い。
・ 綾小路
“ネタ”の皮を被った悪意は、往々にして、悪意よりタチが悪い。
・ マコト
探偵は、犯人を見つけるためだけにいるんじゃない。
誰かの名前が、間違って傷つかないように守るためにも、俺は動く。
放課後、最後のひとコマ。
るなはマコトに小さく頭を下げてから、
もう一度スマホを構え、木蓮の花にピントを合わせた。
マコト「また花撮るの?」
るな「……はい。誰かに、“きれいだね”って言ってもらえるの、嬉しいから」
マコトはニッと笑う。
「じゃあ俺、世界一でかい声で言っとく。めちゃくちゃきれいだよ!」
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