推しが同居人になりまして。

naomikoryo

文字の大きさ
15 / 58

第15話:「包丁より推しの指導が刺さる件」

しおりを挟む
推し(桐生隼人)の手料理に胃袋を掴まれた結果、私は 料理修行 という名の試練を受けることになった。

 
 とはいえ、私は ほぼ料理経験ゼロの人間。

 
 この状態で料理を学ぶということは、つまり――
 

 推しの前でポンコツっぷりを晒し続ける、ということである。

 
 メンタルが持つ気がしない。

■ 料理修行、いよいよ本格スタート
「じゃあ、今日は野菜の切り方からな」

「はい!!!!!」

 
 私は やる気だけはMAXで包丁を握る。

 
 目の前にあるのは にんじん。
 

「まず、まな板の上で安定させて――」

「はい!!!」

「で、指を猫の手にして――」

「はい!!!!」

「……いや、違う。お前、それ猫パンチだから」

「えっ!?」

「もっと指を丸めろ」

「は、はい!!!」
 

 隼人の指導を受けながら、私は 慎重に包丁を入れる。

  

 ザクッ!!!

 

「うわあああああ!!!!」

「おい!!!!」

 
 にんじん、散る。

■ 推しの指導、優しいのか厳しいのか問題
「……なぁ」

「は、はい……」

「お前、本当に料理したことないんだな」

「ゼロです!!!!!!」

「……」

「でも!!! ちゃんと頑張ります!!!!!」

「はぁ……まぁ、やる気は認める」

 
 隼人は 腕を組んで私を観察する。

 
「いいか、料理は力じゃない。包丁をスッと滑らせる感じで――」

「スッ……」

「そう、スッと――」

ザクッ!!!!

「違う!!!」

「ぎゃあああああ!!!!」

「力入りすぎ!!」

「む、難しい……!!!」

「お前、包丁を戦闘用の武器と勘違いしてないか?」

「ち、違います!!!!!!」

「じゃあ、もっと優しく扱え」

「……はい……」

 
 包丁を優しく扱えって、そんな簡単に言われても――!!!

  

 そして、30分後――

 
 にんじん、全滅。

 
「……」

「……」

 
「……まぁ、最初はこんなもんか」

「こんなもん……なんですか?」

「いや、普通の人はもうちょいマシにできるけど」

「ぐはぁっ!!!」

■ 推しのスパルタ特訓、続く
「次は玉ねぎだ」

「た、玉ねぎ!!!!」

「目に染みるけど、ちゃんと切れよ」

「は、はい!!!」
 

 私は 目をキリッとさせ、気合を入れて玉ねぎをまな板にセット。
 

「まず、根元を切り落として――」

「はい!!!」

ザクッ!!!!

「いや、切りすぎ!!!!!」

「えっ!?」

「玉ねぎ、半分消えてるぞ!!!」

「ぎゃああああ!!!!」

「お前、料理じゃなくて破壊活動してないか?」

「違います!!!!!」

 
 必死に切ろうとするものの、どうしても包丁の扱いがぎこちない。

 
 そして――

目が痛い!!!!!!!

「うわああああ!!!! 目がああああ!!!!!!!」

「ほら、だからちゃんと包丁の角度を意識しろって」

「目が痛くてそれどころじゃないです!!!!!」

「水で手を濡らしてから切ればマシになるぞ」

「えっ、そんな裏技が!?」

「普通のことだろ」

「……桐生さん、すごい……」

 
 私は感動しながら水を使ってみる。

 
 すると――

 
 

 効果、微妙!!!!!!!!!!!

 
「目が痛いのは変わりません!!!!!」

「まぁ、個人差はあるな」

「ひどい!!!!!」

「お前、玉ねぎごときに負けるな」

「くっ……!!!」
 

 こうして私は 推しに鼓舞されながら、なんとか玉ねぎを切り終えた。

■ 料理修行の行方
「……まぁ、初回にしては頑張ったほうだな」

「本当ですか!!?!」

「……まぁ、期待はしてなかったし」

「うわああああ!!!!!」

「でも、続ければそれなりにはなるだろ」

「そ、それなり……!!!」

「だから、ちゃんと続けろよ」

「は、はい!!!!」

 
 こうして、私は 推し直伝の料理修行 を続けることになった。
 

 でも、一つだけ確信したことがある。
 

 このまま料理を覚えたら、私はきっと――

 

 推しの胃袋を掴むことができるのでは!?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

元婚約者からの嫌がらせでわたくしと結婚させられた彼が、ざまぁしたら優しくなりました。ですが新婚時代に受けた扱いを忘れてはおりませんよ?

3333(トリささみ)
恋愛
貴族令嬢だが自他ともに認める醜女のマルフィナは、あるとき王命により結婚することになった。 相手は王女エンジェに婚約破棄をされたことで有名な、若き公爵テオバルト。 あまりにも不釣り合いなその結婚は、エンジェによるテオバルトへの嫌がらせだった。 それを知ったマルフィナはテオバルトに同情し、少しでも彼が報われるよう努力する。 だがテオバルトはそんなマルフィナを、徹底的に冷たくあしらった。 その後あるキッカケで美しくなったマルフィナによりエンジェは自滅。 その日からテオバルトは手のひらを返したように優しくなる。 だがマルフィナが新婚時代に受けた仕打ちを、忘れることはなかった。

清楚な執事長、常駐位置が“お嬢様の隣”に確定しました

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話・後日談12話⭐︎ 清楚で完璧、屋敷の秩序そのもの——そんな執事長ユリウスの“常駐位置”が、なぜか私の隣に確定しました。 膝掛けは標準装備、角砂糖は二つ、そして「隣にいます」が口癖に。 さらに恐ろしいことに、私が小声で“要求”すると、清楚な笑顔で「承知しました」と甘く返事をしてくるのです。 社交は上品に、恋心は必死に隠したい。 なのに執事長は、恋を“業務改善”みたいに制度化して逃がしてくれない——! むっつり令嬢の乙女心臓が限界を迎える、甘々コメディ恋愛譚。 清楚な顔の執事長が、あなたの心臓まで囲い込みにきます。

冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?

由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。 皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。 ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。 「誰が、お前を愛していないと言った」 守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。 これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。

【番外編も完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★2/17 番外編を投稿することになりました。→完結しました! ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

処理中です...