推しが同居人になりまして。

naomikoryo

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第16話:「推しの胃袋を掴め!? 料理修行リベンジ戦!」

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推し(桐生隼人)の スパルタ料理修行 を受け、私は初回のレッスンで にんじんと玉ねぎを殲滅する という大惨事を引き起こした。

 

 しかし、それでも隼人は 「続ければそれなりにはなる」 という、絶妙に期待していないようで期待しているような微妙な言葉をくれた。

 

 つまり、私は推しに「料理ができる人間になる可能性はゼロではない」と認められたのである!!!!!

 

 これは――

 

 

 

 

 推しの胃袋を掴むチャンスなのでは!?!?!?

 

■ 料理修行リベンジ戦、開幕
「じゃあ今日は、お前一人で料理してみろ」

「えっ」

「俺は見てるだけだから」

「えっ、えっ」

「昨日の復習だ」

「む、無理です!!!!!」

「昨日、ちょっとは学んだんじゃねぇの?」

「そ、それは……」

「なら、やってみろ」

「うぅぅぅ……」

 

 な、なんというスパルタ指導……!!!!

 

 でも、ここでやらなかったら、私は 永遠に推しに料理を作ってもらうだけの存在 になってしまう……!!!

 

 私は決意した。

 

「よし……やります!!!!」

「ほう」

「私だって……!! いつまでも料理できないままだとは思われたくない!!!!」

「いい心がけだ」

「それに、もしこれがうまくいったら……」

「ん?」

「……い、いや!!!! なんでもないです!!!!」

「?」

 

 あっぶね!!!!!!

 

 「推しの胃袋を掴む」計画がバレるところだった!!!!!!!!

 

■ 料理、挑戦してみた結果
「じゃあ、今日のメニューはチャーハンだ」

「チャーハン!!!!」

「昨日の玉ねぎの切り方も復習できるし、シンプルな味付けで十分うまくなる」

「なるほど……!!」

「ほら、まずは具材を切れ」

「はい!!!!!」

 

 私は 昨日の失敗を生かし、慎重に包丁を入れる。

 

 ……

 

 ……

 

 昨日より、明らかにマシ!!!!!!!

 

「おっ」

「ど、どうですか!?」

「まぁ……昨日よりはマシだな」

「やった!!!!!!!」

「調子に乗るな。次はフライパンだ」

「は、はい!!!!」

 

 私は油をひき、フライパンを温める。

 

「じゃあ、まずは卵を――」

バチン!!!!!!

「ぎゃああああああああ!!!!!!」

「おい!!!!!」

「油が!!!!!!!油が!!!!!!跳ねた!!!!!!」

「落ち着け!!!!」

「無理です!!!!!!!」

「はぁ……」

 

 隼人は呆れた顔をしながら スッと私の手元に手を伸ばす。

 

「ほら、こうやってフライパンを傾ければ――」

「へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 推しの手が、私の手をそっと支えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっと待ってくれ。

 

 

 

 

 

 距離が近い。

 

■ 推し、近すぎ問題
 

「えっ、えっ、ちょ、ちょっと待ってください!!!」

「……?」

「近くないですか!?!?!?!?」

「は?」

「えっ、いや、だって、手が!!!!!」

「フライパン持ち方教えてるだけだろ」

「いやいやいや!!!!!」

 

 そんなことは分かっている!!!!

 

 でも、これ、オタク的には 「推しと手を重ねる」 という超イベントでは!?!?!?

 

 しかも、めっちゃさりげなくやってくるの、ずるくない????

 

「……お前、いちいちリアクションでかすぎ」

「だ、だって!!!!!!」

「ほら、ちゃんとやれ」

「む、無理です!!!!!」

「無理とか言うな。ほら、もうちょい力抜け」

「ひゃああああ!!!!!」

 

 私は 完全にオーバーヒート。

■ ついに、推しが私の料理を食べるときが……!!
 なんとかフライパンを振り、チャーハンを作り上げた私。

 

「で、できたぁぁぁぁ!!!!!」

「まぁ、見た目はそれっぽいな」

「すごくないですか!?!?!?!」

「味見してから言え」

「はっ!!!!」

 

 私はスプーンを手に取り、一口食べてみる。

 

 

 ……うん、普通!!!!!!

 

「どうだ?」

「な、なんか、思ったより食べられる味です!!!!」

「それは良かった」

「……ってことは、これはもしかして……」

「?」

「桐生さんに……食べてもらえるのでは!!!!!!」

「……は?」

 

 私は スプーンを持って隼人の前に差し出す。

 

「ほら!!!!!!どうぞ!!!!」

「……」

「私の初めての手料理です!!!!!!!!!!!」

「いや、俺が横でほぼ作ってたけどな」

「食べてください!!!!!!」

「……はぁ」

 

 隼人は 若干呆れた顔をしながらも、私が作ったチャーハンを口に運ぶ。

 

「……」

「……」

「……」

「……ど、どうですか?」

「……まぁ、普通に食えるな」

「やったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「調子に乗るな。味付けはまだ甘いし、米の炒め方もイマイチだ」

「うっ……」

「でも、まぁ……最初にしては悪くない」

「えっ」

「……頑張ったんじゃねぇの」

「……!!!!!」

 

 なにそれ、めっちゃ嬉しいんですけど!!!!!!

 

 推しに料理を認めてもらえたという事実だけで、一週間は生きていける!!!!!!

 

 こうして、私の料理修行は少しずつ前進していくのだった――。
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