推しが同居人になりまして。

naomikoryo

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第26話:「推しを好きになったせいで、ルームシェア生活が詰んだ」

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推し(桐生隼人)の 元カノ登場事件 によって、私は 自分の気持ちに気づいてしまった。

 
 つまり――

 
 私は推しにガチ恋している。
 

 いや、詰んだ!!!!!!!!

 
■ 「普通に接する」とは?????
 朝。

 私は できるだけ「平常心」を装って」 隼人と接しようとしていた。
 

「おはようございます!!!!!!」

「……お前、朝からうるせぇな」

「そ、そんなことないですよ!?!?!?!?」

「いや、めちゃくちゃうるさい」

「うるさくないです!!!!!」

「……お前、なんか様子おかしくね?」

「えっ!? えっ!? ええええええ!?!?!?!?」

「その挙動不審さが、おかしいって言ってんだよ」

「えっ、そんなことないです!!!!!」

「……」

「……」

「……まあいいけど。ほら、朝飯作るぞ」

「えっ」

「お前が作るんだよ」

「えっ、いや、ちょ、あの、その!!!!」

「……熱でもあんのか?」

「はっ!?!?!?」

 
 隼人が スッと近づいてくる。

 
 私は 条件反射で後ずさる。
 

「ちょ、ちょっと待ってください!!!!」

「何が」

「近いです!!!!!」

「別に普通だろ」

「いやいやいや!!!!」

「……お前、顔赤いぞ?」

「ぎゃあああああ!!!!!」

「じっとしてろ」

「無理無理無理無理!!!!!」

 
 この距離で冷静でいられるわけがない!!!!!!!

■ 推しの何気ない行動すら、意識してしまうオタク
 
 なんとか朝の 「顔が近い事件」 を乗り越えた私は、いつも通り隼人と朝食を食べていた。

 
 だが――

 
「……」

「……」

「……お前、さっきからなんでこっちチラチラ見てんの」

「えっ」

「なんか文句あんのか」

「い、いや!!!!!」

「じゃあなんでこっち見てんだよ」

「えっ、いや、なんかこう……」

「……」

「いや、その、……食べてる姿とか……」

「……は?」

「いや、な、なんでもないです!!!!!!!!」

 
 やばい。

 
 今まで何気なく見てた推しの仕草の すべてが尊く見える。

 
 ただご飯を食べているだけなのに、いちいちカッコいい。

 
 なんなら、味噌汁を飲む角度まで完璧。

 

 これ、普通の生活に戻れなくない!?!?!?!?!?

■ 距離感がバグっている問題
 

 午後。

 私はリビングで作業をしていた。

 
「うーん……ここのネーム、もうちょい演出を変えたほうがいいかな……」

「……」

 隼人は隣のソファでスマホをいじっていた。


 しばらくすると――
 

 「ちょっと貸せ」

 
「はっ?」

 
 次の瞬間、隼人がスッと私のペンを取る。

 
「えっ、えっ」

「お前の手、力入りすぎ」

「えっ、ちょ、な、なんでペン持ってるんですか!!!!」

「ネーム、線がブレてる」

「えっ、いや、でも!!!!」

「ほら、こうやって――」

  

 推しがめちゃくちゃ近いんですが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

■ 推し × 指導モード = 死
 

 隼人は、ペンを持ったまま 私の手を軽く添える。

 

「力抜け」

「ふぁっ」

「ほら、こう」

「ひゃぁぁぁぁ!!!!」

「なんだよ」

「え、えっと、えっと!!!!」

「……?」

「ちょ、距離!!!!」

「ん?」

「距離!!!!!! 近い!!!!!!!!」

「ああ?」

「いやいやいや!!!! 普通に考えて、めちゃくちゃ近いですよね!!!!!!」

「別に普通だろ」

「いやいやいや!!!!!!!!」

「……お前、前もこんなこと言ってたな」

「そりゃ言いますよ!!!!」

「……」

「えっ、なんでそんな平然としてるんですか!?!?!?!?」

「……」

「こっちは!!! 推しに触られてるんですよ!!!!?」

「……知らねぇよ」

「ひどい!!!!!」
 

 私は 心臓が爆発しそうになりながら、ネームをめちゃくちゃにするのだった。

■ もう、普通のルームメイトには戻れない
 夜。

 私は ひとり、布団の中で考え込む。


 もう、無理では?????????

 
 今までは 「推しとルームシェア」という奇跡を楽しんでいた。

 
 でも、今は違う。

 
 

 今の私は――
 

 「好きな人と一緒に暮らしてる」 という意識が芽生えてしまった。

 

 これ、どうする???????????

 

 私は 布団の中で転がりながら、どう考えても抜け出せない沼に落ちたことを確信するのだった。
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