推しが同居人になりまして。

naomikoryo

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第55話:「推しが柴犬に見えてきたんですが!?!?!?」

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推し(桐生隼人)主演のドラマで、まさかの ヒロイン役に抜擢されてしまった私。

◆ 家での練習の成果もあり、撮影は驚くほど順調!
◆ スタッフから「息ピッタリすぎる!」と絶賛される!
◆ 最終話のクライマックス、告白&キスシーンの撮影へ!!
◆ 推しの低音ボイスでの告白に限界オタク、心臓が破裂寸前!
◆ そして、ついにキスシーン……の前に気絶!!!!!!
◆ 目が覚めると、推しに「好きだよ」と言われてキスされる!!!!?!?!?!?!?

 

――いやいやいや!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

■ 撮影中にニヤけないようにする地獄の時間
 最終話のキスシーン撮影。
 

 私は、

 
「(これは演技!!! これは演技!!!! これは演技!!!!)」

 
 と 必死に自分に言い聞かせながら、隼人と向かい合っていた。

 
 でも――

 
「(無理……!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

 
 推しが目の前で優しく微笑んでる。

 
 推しの顔が近い。
 

 推しが、台詞を言うたびに 心臓が爆発しそうになる。

  

「(だめだ、ニヤける!!!!!!!!!!!!!!!!!!)」

■ 推しの囁き、爆弾すぎる
 そんな私の様子を見て、隼人が――

 
ふっと、私の耳元に顔を寄せる。

 
「……続きは帰ってからな」

 
「ぶふっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 
 私の 理性、完全崩壊。

■ 限界オタク、真顔になりたいのに無理
(ちょっと待って!!!!!!!!!!)

(待って!!!!!!!!!!)

(「続きは帰ってからな」とか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

(そんなこと言われて!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

(ニヤけるなってほうが無理では!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

■ ここで、ある天才的発想が生まれる
(待て……)

(ここで、私がニヤけない方法……)

(そうだ……)

(桐生隼人は、ただの柴犬……!!!!!!)

(私は今、隼人ではなく、柴犬と向かい合っている!!!!!!!!!!)

(そう、これは、ゴンタ!!!!!!!!!!!!)

■ 推し → 柴犬変換発動
(そう!!!!!!!!)

(隼人は昔飼っていた柴犬のゴンタ!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

(ゴンタ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

(あの、いつも私にじゃれついていた、ゴンタ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

(そう、あの、くりくりした目!!!!!!)

(愛嬌たっぷりの口元!!!!!!)

(もふもふの毛!!!!!!!!!!)

(そして!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

(……あれ?)

(……)

(……)

(……ゴンタにしか見えなくなってきた)

■ 撮影無事終了!
「カット――!!!」

「OKです!!!!!!」

「よっしゃぁ!! 撮影終了!!!!!!!」

「すごい!!! 柚先生、めちゃくちゃ自然でした!!!」

「いや~、あれは本当にリアルな演技でしたね!!!」

「桐生さんもさすがの安定感でした!!!」

「お疲れ様でした!!!!」

「お疲れ――」

 
 私は、静かに拳を握る。

  

(勝った……!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

(推しの前でニヤけずに済んだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

(柴犬変換、大成功!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)

■ そして、我に返る
 私は ほっと胸を撫でおろしながら、そろりそろりと隼人を見る。

 
 すると――
 

隼人がめっっっっっちゃ不機嫌そうな顔をしていた。

「……」

「……」

「……」

「………………え?」

「お前、なんで最後、俺のこと変な目で見てたんだよ」

「ぶふっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
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