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番外編⑯社会人編・第13話「風間家に赤ちゃん誕生!晴翔、立ち会い出産で“感動しすぎて失神”事件」
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春。
空はあたたかく、風は少しずつ夏の匂いを運び始めていた。
その日、私は朝から少しお腹が張っていた。
でも、よくある前駆陣痛かなと様子を見ていたところ――
「い゛っっ……!!」
思わずソファからずり落ちるほどの痛みが襲った。
冷や汗、強い収縮。
これはもう、間違いなく本番だ。
「晴翔ーーーー!!!!!」
寝室からダッシュしてきたのは、
パジャマ姿で目に冷えピタを貼ったままの夫だった。
「なにっ!?敵襲!?それとも……あ、もしかして……!!」
「産まれる!!!」
「うわああああああああ!!!!!」
叫びながら飛び跳ねて、まずドアを開けて飛び出しかけてから、慌てて戻ってきてカバンを取りに行く。
そして、お腹を抱える私のもとへ駆け寄り、手を差し出す。
「……いける!?
君は一人じゃない!俺がいる!!!」
「うるさい、落ち着け。私が落ち着かなくなる。」
***
病院へ到着した時、私はすでに“この世で一番口が悪くなるタイミング”に突入していた。
陣痛のたびに、ベッドの手すりを握りながら晴翔に毒を吐く。
「これ……ぜんぶ……アンタの……せい……」
「えぇっ!?俺!?いや、たぶん半分くらい俺!?でもちゃんと責任取りますぅ!!」
「次の痛みきたら靴下全部燃やすからな……」
「やめてぇぇええ!!!干す時ゾーンに置くから許してぇぇぇ!!」
しかしその度、彼は必死に手を握り返し、
腰をさすり、声をかけ続けた。
「柚葉……がんばれ……!
俺も……隣で……なんか、がんばる……!!」
がんばってるのは明らかにこっちなんだけど、
でも彼が隣にいるだけで、なぜか心強く感じてしまう。
やっぱり、不思議な人だ。
***
そして――その時がきた。
助産師さんの合図で、私は全身の力を込めていく。
隣で、晴翔は祈るように手を握ってくれている。
「ふんっ……!」
「柚葉!ファイト!がんばれ!そのままシュートだ!!!」
「出産にサッカーの例えやめてえぇぇええ!!」
そして――
「……産まれましたよ!!」
病室に、小さな産声が響く。
それは、これまで聞いたどんな音より、
力強くて、あたたかくて、希望に満ちた音だった。
私の胸に、小さな命が抱かれる。
涙が自然にこぼれた。
「……ようこそ、赤ちゃん。」
晴翔は、その瞬間――
「……あっ……ま、まじで泣ける……なんか……あああ……」
目を潤ませたまま、そのままストンと後ろに倒れた。
「ちょっ、ちょっと!?晴翔!?」
助産師「失神ですね~!珍しくないですよ!」
「珍しくないけど倒れるの早すぎない!?」
看護師さんたちに引きずられるようにして運ばれる晴翔を、
私は泣き笑いしながら見送った。
***
数時間後、彼は病室のソファで目を覚ました。
「……あれ、夢?いや、夢じゃない……?」
「夢じゃないよ。産まれたよ。」
私の腕の中で眠る、小さな命。
彼の子で、私の子。
私たちの家族。
晴翔は、しばらく黙ってそれを見つめたあと――
「……すっごい……ほんとに、産まれたんだなぁ……」
「うん。」
「俺、ちゃんとパパになるよ。
おむつも、ミルクも、抱っこも、夜泣きも、
ちゃんと、“シュート外さない男”になるから。」
「大丈夫。すでに人生のいろんなとこで外してるから、気楽にいこう。」
2人で笑った。
そして、3人になった。
これから大変なこともいっぱいあるだろうけど、
この人とだったら、きっと、笑って乗り越えられる。
それにしても――
「立ち会い出産で気絶する人、初めて見たわ。」
「……俺、感情が強いタイプだから……」
「次の授乳でミルク足りないとか言ったら、また倒れそう。」
「その時は冷凍うどんで復活します!!」
(頼むから、息子の前ではちゃんとして。)
こうして風間家に、新しい“笑いと天然と愛情のかたまり”が加わった。
家族の物語は、まだまだ続く――。
空はあたたかく、風は少しずつ夏の匂いを運び始めていた。
その日、私は朝から少しお腹が張っていた。
でも、よくある前駆陣痛かなと様子を見ていたところ――
「い゛っっ……!!」
思わずソファからずり落ちるほどの痛みが襲った。
冷や汗、強い収縮。
これはもう、間違いなく本番だ。
「晴翔ーーーー!!!!!」
寝室からダッシュしてきたのは、
パジャマ姿で目に冷えピタを貼ったままの夫だった。
「なにっ!?敵襲!?それとも……あ、もしかして……!!」
「産まれる!!!」
「うわああああああああ!!!!!」
叫びながら飛び跳ねて、まずドアを開けて飛び出しかけてから、慌てて戻ってきてカバンを取りに行く。
そして、お腹を抱える私のもとへ駆け寄り、手を差し出す。
「……いける!?
君は一人じゃない!俺がいる!!!」
「うるさい、落ち着け。私が落ち着かなくなる。」
***
病院へ到着した時、私はすでに“この世で一番口が悪くなるタイミング”に突入していた。
陣痛のたびに、ベッドの手すりを握りながら晴翔に毒を吐く。
「これ……ぜんぶ……アンタの……せい……」
「えぇっ!?俺!?いや、たぶん半分くらい俺!?でもちゃんと責任取りますぅ!!」
「次の痛みきたら靴下全部燃やすからな……」
「やめてぇぇええ!!!干す時ゾーンに置くから許してぇぇぇ!!」
しかしその度、彼は必死に手を握り返し、
腰をさすり、声をかけ続けた。
「柚葉……がんばれ……!
俺も……隣で……なんか、がんばる……!!」
がんばってるのは明らかにこっちなんだけど、
でも彼が隣にいるだけで、なぜか心強く感じてしまう。
やっぱり、不思議な人だ。
***
そして――その時がきた。
助産師さんの合図で、私は全身の力を込めていく。
隣で、晴翔は祈るように手を握ってくれている。
「ふんっ……!」
「柚葉!ファイト!がんばれ!そのままシュートだ!!!」
「出産にサッカーの例えやめてえぇぇええ!!」
そして――
「……産まれましたよ!!」
病室に、小さな産声が響く。
それは、これまで聞いたどんな音より、
力強くて、あたたかくて、希望に満ちた音だった。
私の胸に、小さな命が抱かれる。
涙が自然にこぼれた。
「……ようこそ、赤ちゃん。」
晴翔は、その瞬間――
「……あっ……ま、まじで泣ける……なんか……あああ……」
目を潤ませたまま、そのままストンと後ろに倒れた。
「ちょっ、ちょっと!?晴翔!?」
助産師「失神ですね~!珍しくないですよ!」
「珍しくないけど倒れるの早すぎない!?」
看護師さんたちに引きずられるようにして運ばれる晴翔を、
私は泣き笑いしながら見送った。
***
数時間後、彼は病室のソファで目を覚ました。
「……あれ、夢?いや、夢じゃない……?」
「夢じゃないよ。産まれたよ。」
私の腕の中で眠る、小さな命。
彼の子で、私の子。
私たちの家族。
晴翔は、しばらく黙ってそれを見つめたあと――
「……すっごい……ほんとに、産まれたんだなぁ……」
「うん。」
「俺、ちゃんとパパになるよ。
おむつも、ミルクも、抱っこも、夜泣きも、
ちゃんと、“シュート外さない男”になるから。」
「大丈夫。すでに人生のいろんなとこで外してるから、気楽にいこう。」
2人で笑った。
そして、3人になった。
これから大変なこともいっぱいあるだろうけど、
この人とだったら、きっと、笑って乗り越えられる。
それにしても――
「立ち会い出産で気絶する人、初めて見たわ。」
「……俺、感情が強いタイプだから……」
「次の授乳でミルク足りないとか言ったら、また倒れそう。」
「その時は冷凍うどんで復活します!!」
(頼むから、息子の前ではちゃんとして。)
こうして風間家に、新しい“笑いと天然と愛情のかたまり”が加わった。
家族の物語は、まだまだ続く――。
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