先輩、それ絶対わざとじゃないですよね!?

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番外編⑰社会人編・第14話「心愛、叔母になる!初対面でまさかの号泣、叔母バカ爆誕」

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退院して3日目。
まだ家の中は落ち着かない。
おむつとガーゼと哺乳瓶に囲まれたリビングは、もはや“赤ちゃん中心惑星”と化していた。

 

「……で、この哺乳瓶ってどこ置いておくのが正解?
 いつも冷蔵庫の卵のところに入ってるんだけど……」

 

「晴翔、それは“ゾーン配置”じゃなくて“ただの混乱”だからやめて」

 

赤ちゃん(仮称:ちっちゃいやつ)は今日も元気に泣き、
おむつを替えればまた泣き、
抱っこすると不思議そうにこっちを見てから、また泣く。

 

(こんなに泣くとは聞いてなかった……)
(でも可愛い……無理……寝たいけど可愛い……)

 

そんな中、ピンポーンとインターホンが鳴った。

 

晴翔「はーい!どちら様ですか~~って……ここたんか!」

 

「うるさい、普通に開けろ。」

 

玄関に立っていたのは、制服姿の女子高生――風間心愛。
部活帰りでそのまま来たらしい。
だけど、手には紙袋、肩にはちょっと緊張感。

 

「……赤ちゃん、いる?」

 

「いるよ。今、眠ってる。」

 

「……会って、いい?」

 

柚葉は静かにうなずき、心愛をリビングへ案内した。

 

赤ちゃんは、布団の中ですやすやと寝息を立てていた。
まるで天使のような顔。
小さな小さな、柔らかい手。

 

その姿を見た瞬間。
心愛は、ぴたりと動きを止めた。

 

「……ちっちゃ……」

 

ソファに腰を下ろしても、視線は一切動かない。
まばたきすら、ゆっくりになっていく。

 

「ここたん、抱っこしてみる?」

 

「……いや、無理……怖い……」

 

「大丈夫、支えてるから」

 

晴翔が優しく声をかけて、
柚葉が赤ちゃんをそっと抱き上げ、心愛の腕へと預けた。

 

その瞬間。

 

心愛「……っ……あ……」

 

彼女の目から、ぽろっと涙が落ちた。

 

「……なんで、こんなにちっちゃいの……」

 

「……なんで、こんなに可愛いの……」

 

「なにこれ、もう……無理。」

 

誰よりも冷静で、誰よりもツッコミ担当だった心愛が――
号泣していた。

 

涙をボロボロ流しながら、
でも赤ちゃんから視線を外さず、
その柔らかな体を、震える手でしっかりと抱いていた。

 

晴翔「……ここたん……泣きすぎじゃない?」

 

心愛「黙れバカ兄!!アンタより100倍感動してるわ!!」

 

柚葉「……いや、晴翔、産まれたとき失神してたから……」

 

心愛「ほらね!!バカ兄確定!!」

 

そう言いながら、
心愛はまた赤ちゃんに目を落として、そっと囁いた。

 

「……よろしくね。
 これから、いっぱい遊ぼうね。
 いっぱい、笑ってね。
 叔母ちゃん、どんなおもちゃでも買うからね……」

 

柚葉「(……まずい、課金型叔母が爆誕した……)」

 

晴翔「柚葉さん、俺たちより甘やかされる未来が見える……」

 

心愛「当然でしょ。
   この子は、心愛ブランドのVIP会員だから。」

 

柚葉「もうポイントカード作られてる……!」

 

***

 

その日、心愛は結局2時間以上も赤ちゃんを抱っこしていた。
途中、「泣いたらどうしよう」「ミルクはどうやるの」など不安も見せたが、
最後はしっかりオムツ替えも成功。

 

帰り際、玄関で靴を履きながら言った。

 

「ねぇ、次来る時、ベビー服買ってきていい?」

 

「もちろん。ていうかもう買ってそう」

 

「あと、アルバム用にカメラも新調したい。
 データ消えたら死ぬから、クラウドとSDカード2枚体制で」

 

「叔母のレベルがどんどんプロ仕様になってる」

 

そして――

 

「柚葉さん。」

 

「うん?」

 

「……ありがとう。
 こんなに素敵な命を、私たちにくれて。
 本当に……ありがとう」

 

その目はまっすぐで、優しくて、
ちょっぴり泣きはらしていたけど、
誰よりも温かかった。

 

その姿に、私は胸がいっぱいになった。

 

(この子も、もう“家族”なんだなって、改めて思う。)

 

心愛は、靴紐を結びながら、ぽつりと呟いた。

 

「……この子がしゃべれるようになったら、
 “おじさんはちょっとおかしいけど、愛はある”って最初に教えとく」

 

「教えなくても伝わる気がするけどね」

 

こうして、風間家に新たな“味方”が加わった。
強くて、優しくて、ちょっと涙もろい、
最強の“叔母バカ”が――。
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