先輩、それ絶対わざとじゃないですよね!?

naomikoryo

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番外編⑱社会人編・第15話「命名会議!晴翔、サッカー由来の変な名前候補を連発し家族会議へ突入」

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赤ちゃんが生まれて、1週間。
おむつ交換にも少し慣れ、夜泣きのテンポも読めてきた……気がする。
母になって初めて知る、寝不足ハイの境地に突入しつつある私たちは、
ついに――最大の山場に挑むことになった。

 

「……というわけで、“名前”を決める会議を始めます」

 

リビングのテーブルに集まったのは、
風間家の父・母・心愛、そして私と晴翔。
※柚葉の両親は「センスを信じてるわ~」とお菓子だけ置いて帰宅済み。

 

そして――事件は、その5分後に起きた。

 

晴翔「よし、じゃあまず俺から候補を言っていくね!」

 

柚葉「うん、ちゃんと考えてくれたんだよね?」

 

晴翔「もちろん!人生かかってるからね!
   名は体を表すって言うし!未来を映す窓って言うし!」

 

心愛「お兄ちゃんが言うと全部怖いな」

 

晴翔「記念すべき第一案!
   “リオ”!!」

 

柚葉「……うん?」

 

晴翔「リオ!“リオ五輪”のリオ!
   俺が人生で一番シュートを外した日だよね!
   その悔しさを込めて!」

 

心愛「絶対つけちゃダメだわそれ!!」

 

柚葉「なんで子どもの名前に“外した記憶”を刻もうとしてんの……」

 

晴翔「じゃあ第二案!
   “ジュビロ”!!」

 

一同「やめてぇえええええ!!!!!」

 

父・治五郎「なんや、今の若者の名付けは斬新やなぁ……」

母・美鈴「スポーツ新聞みたいな名前ばっかりやないの……」

 

柚葉「まって、もうちょっと“人として育ちそうな”名前にして……」

 

晴翔「じゃあ!じゃあ!次は女の子だったらってことで――
   “ミクスタ”!!」

 

心愛「それスタジアムの名前やろ!!!!」

 

柚葉「もう帰っていいよ……」

 

晴翔「えっ!!??まだまだあるのに!?
   “ナショトレ”、
   “シュウタイケン”、
   “レフェリー”とか……」

 

心愛「“シュウタイケン”って完全に“集大成”やないか!!!」

 

晴翔「違うよ!?“週待券”で、“待ち望まれた子”って意味!!」

 

柚葉「強引すぎる!!!」

 

***

 

その後、1時間にわたる攻防の末――
ついに、柚葉が最終候補を取り出した。

 

「晴翔、私……この名前がいいなって、ずっと思ってたの」

 

彼女が差し出したメモには、こう書かれていた。

 

「奏翔(かなと)」

 

「“奏”は、“家族で音を奏でるように、優しく強く生きてほしい”って意味。
 “翔”は、あなたから一文字もらって、
 大きく羽ばたいてほしいって意味。」

 

晴翔は、その紙を見て――
急に、黙った。

 

そして、すぅっと顔を上げて言った。

 

「……ごめん、俺、“ミクスタ”とか言ってた……」

 

心愛「今さらかよ」

 

晴翔「……奏翔、めっちゃいい名前だと思う。
   俺も、そういう意味のこもった名前……考えてあげたかったのに……
   “ジュビロ”じゃなくて、“ジュシン”にしようかと思ってたけど……」

 

柚葉「反省が浅い!!」

 

心愛「もう奏翔くんで確定にしよう!はい満場一致~!!」

 

美鈴「なんかもう、今後も絶対この子はにぎやかに育ちそうやね……」

治五郎「いや、命名でここまで笑ったの初めてや……」

 

***

 

こうして、風間 奏翔(かざま かなと)くん、命名完了。
晴翔の“翔”と、柚葉の“音”のような穏やかさが融合した、
この子にぴったりの名前。

 

晴翔「奏翔、いい名前だな……
   でも俺、ミドルネームで“ジュビロ”残したいな……」

 

柚葉「やめなさい。」

 

奏翔はこのときまだ何もわからないけれど――
きっと将来、自分の名前の由来を知って、
笑いながら「うち、どんな家族なんだよ……」って言ってくれる気がする。

 

(それでいい。笑って育てば、それでいい。)
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