ねこまど~猫と人がつなぐ、奇跡のカフェ~

naomikoryo

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09)猫語検証企画、始動!?

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「――で、新人くん。そろそろ白状してくれる?」

 バイト5日目の昼下がり。

 カフェの奥の席でくつろいでいた 橘真緒(たちばな まお) が、ニヤリと笑いながら昭人に迫った。

「……なにを?」

「とぼけないとぼけない。猫語、わかるんでしょ?」

「いや、違うって」

 昨日、たま(サバトラ♂)の異変を察知し、クロ(黒猫♂)の助けを聞き取った件 で、真緒と水野琴葉(みずの ことは)に 「猫と会話できる男」 と疑われている。

 だが、昭人自身は そんな超能力的なスキルがあるとは思っていない。

「俺はただ、猫が何を言ってるか“なんとなく”わかるだけで……」

「それがすごいんだよ!!!」

 真緒はテーブルをバンッと叩いた。

「だってさ、昨日のたまのこと、普通の人は分からなかったわけじゃん?」

「そ、それはたまたま……」

「それに、クロが『原因はヒモ!』って教えたのを察知できたのもすごいよ!」

「まぁ、なんとなく分かったけど……」

「完全に猫語じゃん!!」

「いや、だから違うって!!」

 昭人が必死に否定するが、真緒の目はキラキラと輝いていた。

「よし、決めた!! 猫語スキル検証企画、始動!!」

「なにその意味不明な企画!!?」

「猫たちが何を言ってるか、新人くんが当てられるか試してみよう♪」

「やめろおおおお!!」

2
「というわけで、猫語検証企画~!」

「勝手に始めるな!!!」

 昭人の叫びもむなしく、真緒はカフェの真ん中で 即席の実験会 を開始した。

 ギャラリーには琴葉、そしてカウンターの奥でコーヒーを飲んでいた藤井峰子(ふじい みねこ・店長)。

 そして、実験台となるのは 猫たち。

「ルールは簡単! 猫たちが今言ったことを、新人くんが当てる!!」

「そんなの当たるわけ……」

「まずは、ボス(茶トラ♂)から!」

 真緒がボスに向かって呼びかける。

「ねぇボス~、なんか言ってみて?」

 ボスは 「にゃぁ(フン)」 と鼻を鳴らした。

「さて、新人くん! 今のボスの言葉を当てよ!!」

「いや、そんなの……」

 昭人は、ボスの態度をじっと観察する。

 いつものようにドッシリと構えて、ちょっと 偉そうな態度 だ。

(ボスの性格的に……たぶん、こんな感じか?)

「……『俺にくだらんことをさせるな』?」

 すると――

「にゃっ!(正解)」

「ガチで!?!?」

 真緒が大興奮する。

 峰子も、目を細めて「……へぇ」と興味深そうに見つめた。

「ほ、本当に当てた……!」

「たまたまだろ!!」

「じゃあ、次!」

「え、まだやんの!??」

「今度は、ミルク(白猫♀)!」

 ミルクは、昭人の足元にすり寄り 「にゃ~ん♡(甘えたい)」 と鳴いた。

 昭人はすぐに察した。

「『膝に乗せろ♡』」

「にゃあ♡(正解♡)」

「ほらあああああ!!!」

「うおおおおお!!!」

 真緒と琴葉が 「やっぱり猫語じゃん!!!」 と盛り上がる。

「……偶然、偶然だって!」

「じゃあ、ラスト! もなか(三毛猫♀)!」

 もなかはキャットタワーの上から、「にゃ~ん(余裕でしょ)」 という表情をしていた。

「……『私が一番かわいいでしょ?』」

「にゃっ!(正解!)」

「ぐわああああああ!!!」

「新人くん、猫語完全マスター確定!!!」

 昭人は 全力で頭を抱えた。

3
「いやいやいや!! これはたまたま!!!」

「いや、三連続正解はもう“たまたま”のレベルじゃないでしょ!!」

「そうねぇ……」

 峰子も、カップを置いて昭人を見つめる。

「飯塚くん。もしかして、あなた、本当に猫の言葉がわかるんじゃない?」

「ちょっと待ってくださいよ店長まで!?!」

「私も最初は疑ってたけど、こうやって実際に見ると……かなり怪しいわね」

「……」

 昭人は、言い逃れできないことを悟った。

(……いや、本当に俺、猫と会話できるのか?)

 最近の出来事を振り返ると――

◆ 猫の気持ちが“なんとなく”わかる
◆ 会話を当てる確率が異常に高い
◆ 猫が妙に懐いてくる

(……マジで、俺、ヤバい能力持ってる??)

 昭人が頭を抱えていると、真緒が 「ねぇねぇ、これさ!」 とニヤリと笑った。

「“猫語がわかるバイト”って、ウチの店の看板にしたらどう!?」

「やめろおおおおお!!!!!」

「絶対ウケるよ!! “猫語がわかる店員がいる猫カフェ”ってバズるでしょ!!」

「バズらせるなあああああ!!!!!」

 昭人は、ついに 「猫語スキルを持つバイト」として完全に認定されてしまった。
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