ねこまど~猫と人がつなぐ、奇跡のカフェ~

naomikoryo

文字の大きさ
10 / 69

10)猫語バイト、ついにお客さんにバレる!?

しおりを挟む
1
「――で、新人くんさ」

 バイト6日目の昼下がり。

 カフェの奥のソファ席でくつろいでいた 橘真緒(たちばな まお) が、ニヤニヤしながら昭人を見た。

「昨日の猫語検証、すっごい盛り上がったよね~♪」

「……盛り上がったのはお前らだけだろ」

 飯塚昭人(いいづか あきと)は、カウンターの中でコーヒーを淹れながらため息をついた。

 昨日、真緒の**「猫語検証企画」** によって、昭人の 「猫語スキル」 はほぼ確定のものとなった。

◆ ボス(茶トラ♂)の「くだらんことをさせるな」発言を的中
◆ ミルク(白猫♀)の「膝に乗せろ♡」を見抜く
◆ もなか(三毛猫♀)の「私が一番かわいいでしょ?」を即答

「いやいや、こんなのただの偶然……!」

 昭人は まだ現実を受け入れられない。

「そういうことにしておいてあげるよ~」

 真緒は適当にあしらいながら、窓際の席に座る。

 その横で、水野琴葉(みずの ことは) もお茶を飲みながらくすくす笑っていた。

「ふふ、新人くん、そろそろ “猫語バイト” って認めたら?」

「絶対イヤだ!!」

「でもねぇ……」

 真緒は、カフェの入り口を見ながら、不敵に笑う。

「今日のお客さん、たまたま 猫語バイトの噂を聞いて来た人 みたいだよ?」

「……は?」

2
「すみません、猫カフェ『ねこまど』って、猫の言葉がわかる店員さんがいるって聞いたんですけど……!」

「ぎゃあああああ!!!!」

 昭人は 全力で頭を抱えた。

「ちょっと待て!! なんでそんな噂が流れてるんだ!?」

「え? 私が昨日SNSで**『猫語がわかるバイトがいる猫カフェ!』** って投稿したからだよ♪」

「お前かぁぁぁぁ!!!」

 お客さんは、大学生らしき男女の二人組。

 どちらも猫好きらしく、目を輝かせながら昭人を見ている。

「すごいですね!! ほんとに猫語がわかるんですか!?」

「いや、違います違います!!!」

「でも、Twitterに書いてありましたよ!? 『猫の言葉を3連続で当てたバイトがいる』って!!」

「勝手に広めるなあああああ!!!」

 昭人は 全力で真緒に詰め寄った。

「お前、マジで何してくれてんの!?!」

「いやぁ、バズるかな~って思って♪」

「バズらせるなあああ!!!」

 そのやり取りを見ていた峰子(ネコ店長)が くすっと笑う。

「……まぁ、せっかく来てくれたんだし、試してみたら?」

「店長まで!?!?!?!」

3
 こうして――

 昭人は お客さんの前で猫語スキルを試されることになった。

「では! 実験開始~!!」

「いや、勝手に進めるな!!!」

 真緒が キャットタワーの上にいるもなか(三毛猫♀) に向かって声をかける。

「もなか~、なんか言ってみて?」

「にゃ~ん♪(余裕)」

「ほら、新人くん、今の翻訳して!」

「……ちくしょう」

 昭人は じっともなかの表情を見る。

(余裕そうな顔……ってことは……)

「『さぁ、存分に褒め称えなさい』」

「にゃっ!(正解!)」

「うぎゃああああ!!!」

「すごおおおおおおい!!」

 お客さんが 大興奮。

「マジで猫と会話できるんですか!?!?」

「違います!! たまたまです!!!」

「じゃあ、もう一問!!」

「まだやるのかよ!!!」

 次に、真緒は ミルク(白猫♀) に声をかけた。

「ミルク~、今の気分は?」

「にゃあ♡(甘やかせ!)」

「……」

 昭人はため息をつきながら答える。

「『おやつくれ、あと撫でろ』」

「にゃ♡(その通り!)」

「ぎゃあああああ!!!!」

「ほんとにすごおおおおおい!!!!」

 お客さんが 大興奮でスマホを取り出し始める。

「やばい、これSNSにアップしたい!!!」

「やめろおおおおお!!!!」

4
 その後――

 昭人は 3問連続で正解。

 お客さんは大満足で帰っていった。

「これは本物ですね……!! また来ます!!」

「いや、違う違う違う!!」

 昭人は全力で否定するが、真緒と琴葉は めちゃくちゃ嬉しそうにニヤニヤしていた。

「……なぁ」

「ん?」

「俺、この店で **『猫語がわかるバイト』として定着しちゃった?」

「うん、完全に」

「ぐわあああああ!!!!!」

 昭人は ついに観念した。

 こうして――

 「猫語がわかるバイト」飯塚昭人、誕生。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

通りすがりのエルフに求婚された貧乏男爵令嬢です〜初対面なのに激重感情を向けられています〜

東雲暁
恋愛
時はヴィトリア朝時代後期のイングランド。幻想が消え、文明と科学が世界を塗り替えようとしていた時代。 エヴェリーナ・エイヴェリーはコッツウォルズ地方の小さな領地で慎ましく暮らす、17歳の貧乏男爵令嬢。ある日父親が嘘の投資話に騙されて、払えないほどの借金を背負うはめに。 借金返済と引き換えに舞い込んできたのは、実業家との婚約。彼はただ高貴な血筋が欲しいだけ。 「本当は、お父様とお母様みたいに愛し合って結婚したいのに……」 その婚約式に乱入してきたのはエルフを名乗る貴公子、アルサリオン。 「この婚約は無効です。なぜなら彼女は私のものですから。私……?通りすがりのエルフです」 ......いや、ロンドンのど真ん中にエルフって通り過ぎるものですか!?っていうか貴方誰!? エルフの常識はイングランドの非常識!私は普通に穏やかに領地で暮らしたいだけなのに。 貴方のことなんか、絶対に好きにならないわ! ティーカップの底に沈む、愛と執着と少しの狂気。甘いお菓子と一緒に飲み干して。 これは、貧乏男爵令嬢と通りすがりのエルフの、互いの人生を掛けた365日の物語。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?

akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。 今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。 家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。 だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

一億円の花嫁

藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。 父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。 もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。 「きっと、素晴らしい旅になる」 ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが…… 幸か不幸か!? 思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。 ※エブリスタさまにも掲載

氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁

瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。 彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。

処理中です...